正社員・業務委託の人材採用大全

電子契約で業務委託契約を結ぶ7ステップ|印紙税不要で法改正にも対応

Contents

「フリーランスや副業人材と業務委託契約を結びたいけど、電子契約で本当に問題ないのか」

「フリーランス新法や2026年施行の取適法にどう対応すればよいのか」

このような悩みを持つ人事担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、業務委託を電子契約で締結する法的根拠・メリット・7つの手順・注意点を、最新の法令と公的データにもとづいて解説します。

読み終えるころには、自社で迷わず電子契約を導入し、優秀な外部人材とスピーディーに契約できる状態になりますので、ぜひ参考にしてください。

業務委託契約は電子契約で締結できる|基礎知識と法的根拠

結論から言うと、業務委託契約は電子契約で有効に締結できます。民法上、契約は当事者の合意で成立し、書面や押印は原則として成立要件ではないためです。

まずは本記事で使う用語を整理し、電子契約が法的に有効とされる根拠を確認しましょう。

業務委託・フリーランス・副業人材の違い

業務委託とは、企業が自社の業務を外部の事業者や個人に任せる契約形態の総称です。雇用契約と異なり、受託者は企業の指揮命令を受けず、自らの裁量で業務を進めます。法律上は主に「請負契約」と「委任・準委任契約」に分かれます。

フリーランスとは、従業員を雇わずに個人で仕事を受ける事業者を指します。一方、副業人材は会社員などの本業を持ちながら、業務委託で別の企業の仕事を受ける人材です。どちらも企業から見れば業務委託の相手方であり、電子契約の進め方は基本的に共通しています。

総務省「令和4年就業構造基本調査」(2023年7月公表)によると、本業がフリーランスの人は209万人で、有業者の3.1%を占めます。副業としてのみフリーランスで働く人も48.0万人おり、企業が業務委託で人材を確保する機会は広がっています(同調査は5年ごとの実施のため、2022年時点が最新値です)。

電子契約とは|電子署名とタイムスタンプの役割

電子契約とは、紙の契約書と押印の代わりに、PDFなどの電子データに電子署名を付けて締結する契約方法です。契約書の作成・送付・署名・保管までをオンラインで完結できます。

電子署名は「誰が作成したか」と「改ざんされていないか」を証明する仕組みで、紙の押印に相当します。あわせて付与されるタイムスタンプは、その時刻にデータが存在し、以後変更されていないことを示すものです。この2つがそろうことで、紙と同等以上の証拠力を確保できます。

電子契約が有効とされる法的根拠

業務委託契約を電子契約で結ぶ際の法的根拠は、大きく3つあります。契約方式の自由・電子署名法・政府見解の順に見ていきましょう。

根拠1:民法の「契約方式の自由」

民法第522条第2項は、法令に特別の定めがある場合を除き、契約の成立に書面の作成は不要と定めています。業務委託契約(請負・準委任)は書面が成立要件ではないため、電子データでの合意でも契約は成立します。

根拠2:電子署名法第3条

電子署名法第3条は、本人による一定の電子署名が行われた電子データについて、真正に成立したもの(本人の意思で作成されたもの)と推定すると定めています。紙の契約書の押印と同じく、裁判などで証拠として使える根拠になります。

根拠3:立会人型電子署名に関する政府Q&A

総務省・法務省・経済産業省は2020年に電子署名法第2条関係のQ&A(2020年7月)と第3条関係のQ&A(2020年9月、2024年1月一部改定)を公表しました。サービス事業者が利用者の指示を受けて署名する方式(いわゆる立会人型)でも、条件を満たせば電子署名法上の電子署名に該当し得ると整理されています。

第3条関係Q&Aでは、推定効を得るには「本人だけが行える」という固有性が必要とされ、例としてメール認証に加えたSMSのワンタイムパスワード等の二要素認証が挙げられています(詳細は法務省の電子署名法ページで確認できます)。

電子契約の普及状況|企業の約8割が利用

電子契約はすでに多くの企業で一般化しています。JIPDEC・ITR「企業IT利活用動向調査2025」(2025年5月発表)では、電子契約を利用している企業は約8割にのぼりました。

市場も拡大を続けており、ITRの調査を報じたIT Leaders(2025年10月)によると、電子契約サービス市場の2024年度売上金額は295億円(前年度比20.7%増)です。取引先の多くが電子契約に慣れてきたいま、フリーランスとの契約でも電子化をためらう理由は少なくなっています。

▼業務委託の契約形態の違いを整理したい方は、下記の資料をご覧ください。無料でダウンロードできます。


業務委託の契約形態 比較表

・業務委託の契約形態について知りたい
・業務委託の基礎知識【委任契約と準委任契約の違い】
・契約形態の比較表と人材サービス利用時の注意

enterprise.goworkship.com

業務委託の契約形態 比較表

書面契約と電子契約の比較|業務委託ではどちらが有利か

業務委託契約では、スピード・コスト・管理のしやすさのいずれでも電子契約が有利です。ただし、相手方の環境によっては紙を併用する場面もあるため、違いを正しく把握しておきましょう。

書面契約と電子契約の比較表

紙の契約書と電子契約の主な違いを一覧にまとめました。特に印紙税と締結までの日数は、フリーランスを多く起用する企業ほど差が大きくなります。

比較項目書面契約電子契約
収入印紙請負契約書(第2号文書)などは必要不要
締結までの期間郵送の往復で数日〜2週間程度最短で当日中
コスト印刷・郵送・印紙・保管スペースサービス利用料(無料プランあり)
相手方の負担押印・返送の手間メールやスマホで署名できる
保管・検索キャビネット保管、検索は手作業クラウド保管、取引先名・日付で検索
更新・期限管理台帳で別途管理が必要期限アラート機能を持つサービスが多い
電子帳簿保存法紙で保存(スキャン保存は任意)電子取引データとして要件を満たす保存が必要
リモート対応出社・押印が必要になりやすい場所を問わず締結できる

表のとおり、電子契約は紙に比べて手間とコストの大半を削減できます。一方で、電子帳簿保存法の保存要件など、電子ならではの対応も必要になる点に注意してください。

立会人型と当事者型の違い|業務委託では立会人型が現実的

電子署名には「立会人型(事業者署名型)」と「当事者型」の2種類があります。立会人型は、電子契約サービスの事業者が、メール認証などで本人確認した利用者の指示にもとづいて署名する方式です。相手方は事前登録が不要で、届いたメールのリンクから署名できます。

当事者型は、契約当事者それぞれが認証局から電子証明書を取得して署名する方式です。本人性の証明力は高いものの、証明書の取得に費用と手間がかかります。

比較項目立会人型当事者型
本人確認の方法メール・SMS認証など認証局が発行する電子証明書
相手方の事前準備不要電子証明書の取得が必要
相手方の費用負担原則なし証明書の取得費用がかかる
向いている取引フリーランス・副業人材との業務委託高額取引・厳格な本人確認が必要な取引

個人のフリーランスや副業人材に電子証明書の取得を求めるのは現実的ではありません。業務委託では立会人型に二要素認証を組み合わせる運用が、スピードと証拠力のバランスが取れた選択肢です。

業務委託で電子契約を使う5つのメリット

業務委託で電子契約を使う最大のメリットは、印紙税の削減と締結スピードの向上です。とくに優秀なフリーランスは複数社から声がかかるため、契約手続きの速さがそのまま採用成功率に影響します。

メリット1:収入印紙が不要になる

電子契約で締結した契約書には印紙税がかかりません。印紙税は「文書」の作成に課される税であり、電子データは課税文書に当たらないためです。2005年の政府答弁書でも、電磁的記録は課税対象にならないとの考え方が示されています。

紙の場合、成果物の完成を約束する請負契約書は第2号文書に当たり、記載金額1万円以上100万円以下で200円から印紙税がかかります(国税庁、2026年4月1日現在)。継続的な請負取引の基本契約書は第7号文書として1通4,000円です。なお、委任に関する契約書は原則として課税文書に当たりません。印紙の詳細は「業務委託契約書に印紙は必要?」で解説しています。

メリット2:契約締結が速くなり、優秀な人材を逃さない

紙の契約書は印刷・押印・郵送・返送で、締結までに1〜2週間かかることも珍しくありません。電子契約なら、条件がまとまったその日のうちに締結できます。

即戦力のフリーランスほど、条件提示から稼働開始までのスピードを重視します。契約手続きで待たせている間に、他社の案件に決まってしまうリスクを減らせる点は、採用担当者にとって大きな利点です。

メリット3:印刷・郵送・保管のコストと工数を削減できる

電子契約では、印刷代・郵送費・封入作業・返送の催促・キャビネットでの保管が不要になります。1件あたりの手間は小さくても、契約数が増えるほど効果が積み上がります。

フリーランスとの契約は、3か月や6か月ごとの更新が多いのが特徴です。更新のたびに紙をやり取りする負担がなくなるため、複数の外部人材を同時に起用する企業ほどメリットが大きくなります。

メリット4:契約書の管理・検索・更新が楽になる

電子契約サービスでは、締結済みの契約書がクラウド上に自動で保管され、取引先名・締結日・金額で検索できます。担当者の異動や退職があっても、契約書の所在がわからなくなる心配がありません。

契約期間の満了日を通知する機能を備えたサービスも多く、更新漏れや無契約状態での稼働を防げます。後述するフリーランス新法の中途解除の予告義務に対応するうえでも役立ちます。

メリット5:法令対応の証跡を残しやすい

電子契約では、送信日時・署名日時・署名者の情報が記録として残ります。「いつ、どの条件を明示したか」を客観的に証明できるため、フリーランス新法や取適法で求められる取引条件の明示の証跡として活用できます。

紙の場合は控えの紛失や記載漏れが起こりがちですが、電子なら契約書テンプレートに明示事項をあらかじめ組み込んでおくことで、記載漏れそのものを仕組みで防止できます。

▼業務委託で使う契約書のひな形を手元に置いておきたい方は、下記の資料をご覧ください。無料でダウンロードできます。


【ポイント解説付】業務委託に必要な4つの契約書テンプレート

・業務委託の種類と特徴
・業務委託契約で作成する契約書の種類
・契約書のテンプレート

enterprise.goworkship.com

【ポイント解説付】業務委託に必要な4つの契約書テンプレート

業務委託の電子契約で押さえるべき5つの法律【2026年最新】

業務委託の電子契約では、フリーランス新法・取適法・電子帳簿保存法・印紙税法・偽装請負の判断基準の5つを押さえれば、主要な法的リスクをカバーできます。とくに2026年1月施行の取適法は、競合記事でもまだ十分に解説されていない最新論点です。

5つの法律の一覧表|電子化の可否と相手方の承諾

各法律が業務委託の電子契約にどう関わるかを一覧にまとめました。いずれの法律でも電子での対応は可能ですが、保存方法や明示事項に固有のルールがあります。

法律電子契約との関係電子での対応相手方の承諾
フリーランス新法(2024年11月施行)取引条件の明示義務メール・チャット・SNS等で明示可不要
取適法(2026年1月施行)発注内容の明示義務電磁的方法で提供可不要(旧下請法では必要)
電子帳簿保存法電子取引データの保存義務電子のまま要件を満たして保存-
印紙税法課税文書の範囲電子契約は課税対象外-
労働者派遣法等(偽装請負)契約形式と実態の一致契約書の電子化とは無関係に実態で判断-

※2026年10月時点で公正取引委員会・国税庁・厚生労働省の公表資料をもとに作成。

フリーランス新法|取引条件の明示は電子でも可能

2024年11月1日に施行されたフリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)は、フリーランスに業務を委託する企業に取引条件の明示などを義務づけています。従業員を使用しない個人であれば、副業として受託する人も対象になり得ます。

明示しなければならない事項

公正取引委員会のQ&Aによると、明示事項は次のとおりです。電子契約のテンプレートにこれらを項目として組み込んでおくと、明示漏れを防げます。

  • 当事者の名称、業務委託をした日
  • 給付・役務の内容、提供期日、提供場所
  • 報酬の額と支払期日
  • 検査をする場合は検査完了日、現金以外で支払う場合は支払方法

電磁的方法での明示と保存

明示は書面だけでなく、電子メール・チャット・SMS・SNSのメッセージ機能などの電磁的方法でも行えます。明示事項を載せたWebページのURLを送る方法も認められていますが、後から確認できるよう記録を保存しておくことが望ましいとされています。

電子契約サービスで契約書を締結すれば、明示と記録の保存を同時に行えるため、チャットでの口約束よりも証跡管理がはるかに確実です。

書面交付を求められた場合の対応

電磁的方法で明示した後にフリーランスから書面を求められても、原則として応じる義務はありません。ただし、フリーランスに責任がない理由で明示内容を閲覧できなくなった場合は、書面で交付する必要があります。

相手方が紙を強く希望する場合は、電子契約で締結したPDFを印刷して渡すなど、関係性を損なわない柔軟な対応を検討しましょう。

支払期日・中途解除のルール

フリーランス新法では、給付を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間内に支払期日を定める必要があります。また、6か月以上継続する業務委託を中途解除・不更新とする場合は、原則として30日前までの予告が必要です(公正取引委員会)。

電子契約サービスの期限通知機能を使い、更新判断のタイミングを満了日の30日より前に設定しておくと安心です。契約書の具体的な書き方は「フリーランス新法に適応した契約書の作り方」も参考にしてください。

取適法(中小受託取引適正化法)|電子での明示に承諾が不要に

2026年1月1日、下請法を改正した取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)が施行されました。資本金や従業員数の基準に該当する企業が、システム開発やデザイン制作などを中小事業者や個人に委託する場合に適用されます。

発注内容の電子提供に相手方の承諾が不要

旧下請法では、いわゆる3条書面を電子で交付するには下請事業者の事前承諾が必要でした。取適法では、中小受託事業者の承諾の有無にかかわらず、電磁的方法で発注内容を提供できるようになりました(公正取引委員会 改正法説明資料)。

これにより、電子契約を導入するハードルは一段と下がりました。ただし、取引の実情に応じて相手方が内容を確認しやすい方法を選ぶ配慮は引き続き重要です。

電子契約にも影響する主な変更点

取適法では、電子化の承諾要件以外にも、契約条件の設計に関わる変更が行われています。契約書テンプレートを旧下請法のまま使っていないかを確認しましょう。

  • 従業員基準の追加:役務提供委託等では従業員100人を基準に追加
  • 手形払等の禁止:支払期日までに満額の現金化が難しい方法を禁止
  • 協議に応じない一方的な代金決定の禁止
  • 用語の変更:親事業者→委託事業者、下請事業者→中小受託事業者

フリーランス新法と取適法の両方が適用される取引もあるため、両法の明示事項を満たすテンプレートを用意しておくと実務がシンプルになります(公正取引委員会 取適法ページ)。

電子帳簿保存法|電子契約データは電子のまま保存する

電子契約で締結した契約書は、電子帳簿保存法上の「電子取引データ」に当たります。2024年1月以降、電子で受け取った取引情報は電子のまま保存する義務があり、印刷した紙での保存に代えることはできません(国税庁パンフレット、2024年11月)。

保存にあたっては、次の要件を満たす必要があります。多くの電子契約サービスはこれらに対応していますが、導入前に対応状況を確認しておきましょう。

  • 真実性の確保:タイムスタンプの付与、訂正削除の履歴が残るシステムの利用、事務処理規程の運用のいずれか
  • 検索機能の確保:「日付・金額・取引先」で検索できること(一定の小規模事業者は条件付きで不要)
  • ディスプレイ・プリンタ等の備え付け

なお、要件を満たせない「相当の理由」があり、税務調査時にデータのダウンロードや出力書面の提示に応じられる場合の猶予措置も設けられています(国税庁 一問一答)。

印紙税法|電子契約は課税対象外

前述のとおり、電子契約には印紙税がかかりません。注意したいのは、電子契約で締結した後に紙の契約書を別途交付すると、その紙は課税文書になるという点です。

国税庁の文書回答事例(福岡国税局、2008年)でも、PDFを電子メールで送るだけなら印紙税はかからない一方、紙を別途交付すれば課税されると整理されています。相手方から紙を求められた場合は、「控え(写し)」として渡すなど扱いを明確にしておきましょう。

偽装請負|電子契約でも実態が雇用なら違法になる

契約書を電子化しても、実態として企業が業務の進め方や労働時間を指示していれば「偽装請負」と判断されるおそれがあります。偽装請負は契約の形式ではなく実態で判断されるためです。

厚生労働省の労働者派遣・請負を適正に行うためのガイドでは、業務遂行方法の指示や労働時間の管理を受託者自らが行っているかなどが判断の基準とされています。詳しくは「業務委託における偽装請負の判断基準」も確認してください。

業務委託を電子契約で締結する7ステップ

業務委託を電子契約で締結する流れは、「契約形態の決定」から「保存・更新管理」までの7ステップです。初めて導入する企業でも、この順番で進めれば法令対応の漏れを防げます。

7ステップの全体像

各ステップの目安期間と主な担当を一覧にしました。STEP1〜4は導入時に一度整備すれば、2件目以降は大幅に短縮できます。

ステップ内容目安期間主な担当
STEP1契約形態(請負・準委任)を決める1〜3日事業部・人事
STEP2契約書と明示事項を整える3日〜2週間法務・人事
STEP3電子契約サービスを選ぶ1〜2週間法務・情報システム
STEP4社内ルール・保存方法を決める1週間程度法務・経理
STEP5相手方に電子契約の流れを説明する当日〜数日人事・現場担当
STEP6契約書を送信し、署名・締結する当日〜数日人事・承認者
STEP7保存し、更新・終了を管理する契約期間中人事・経理

※目安期間は一般的な目安であり、社内の承認フローや契約内容によって前後します。

STEP1:契約形態(請負・準委任)を決める

最初に、成果物の完成を約束する「請負」か、業務の遂行そのものを任せる「準委任」かを決めます。Webサイト制作のように納品物が明確なら請負、開発チームへの参画や運用支援のように継続的な業務なら準委任が一般的です。

契約形態によって、報酬の支払条件や責任の範囲、印紙税の扱いが変わります。実際の働き方に合った契約形態を選ぶことが、後の偽装請負リスクを避けるうえでも重要です。

STEP2:契約書と明示事項を整える

次に、業務委託契約書のテンプレートを用意します。フリーランス新法と取適法の明示事項を網羅したうえで、業務範囲・報酬・支払期日・知的財産権の帰属・秘密保持・再委託の可否・契約期間と更新条件を定めましょう。

継続的な取引では、基本契約書で共通ルールを定め、案件ごとの条件を個別契約書や発注書で明示する二段構えにすると、更新や条件変更の手続きが軽くなります。電子契約で締結することを前提に、「本契約は電磁的記録により締結する」旨の条項も入れておくと安心です。

STEP3:電子契約サービスを選ぶ

契約書の準備ができたら、電子契約サービスを選定します。業務委託で重視すべきは、相手方がアカウント登録なしで、スマートフォンからでも署名できるかです。

あわせて、電子帳簿保存法への対応、二要素認証の有無、テンプレート機能、料金体系を確認しましょう。選び方の詳細は次の章で解説します。

STEP4:社内ルール・保存方法を決める

誰が契約書を作成し、誰が承認し、誰の名義で送信するのかを決めます。送信権限を持つ担当者と承認フローを明確にしておくことで、無権限での締結や二重契約を防げます。

電子帳簿保存法の要件を事務処理規程で満たす場合は、国税庁が公開しているひな形を参考に規程を整備しましょう。ファイル名の付け方(例:締結日_取引先名_金額)を統一しておくと、検索要件への対応も容易になります。

STEP5:相手方に電子契約の流れを説明する

フリーランスや副業人材のなかには、電子契約に慣れていない方もいます。送信前に、「どのアドレスからメールが届くか」「費用はかからないこと」「署名の手順」を伝えておくと、締結がスムーズに進みます。

副業人材の場合は、本業の会社の就業規則で副業が認められているか、競業にあたらないかを、このタイミングで確認しておくとトラブルを防げます。契約前の確認を電子契約のチェックリストに組み込むのがおすすめです。

STEP6:契約書を送信し、署名・締結する

社内承認が完了したら、電子契約サービスから相手方へ契約書を送信します。相手方はメールのリンクから内容を確認し、署名します。双方の署名が完了した時点で契約締結となり、締結済みの契約書が双方に共有されます。

重要なのは、稼働開始日より前に締結を完了させることです。契約前に業務を始めると、条件をめぐるトラブルや明示義務違反のリスクが高まります。

STEP7:保存し、更新・終了を管理する

締結後は、電子帳簿保存法の要件を満たした状態で保存します。法人税法上の帳簿書類の保存期間は原則7年間であり、電子データも同じ期間保存が必要です【要確認:欠損金がある場合の10年保存など自社の該当状況】。

更新時期が近づいたら、継続か終了かを判断します。6か月以上の継続案件を終了する場合は、フリーランス新法にもとづき30日前までに予告しなければなりません。電子契約サービスの通知機能を活用して、判断期限を管理しましょう。

▼契約書に必要な項目を漏れなくチェックしたい方は、下記の資料をご覧ください。無料でダウンロードできます。


【チェックリスト付】フリーランス・副業人材との業務委託契約書作成ガイド

・「業務委託契約」3つの種類と報酬タイプ
・契約締結に必要な契約書と記載する項目
・契約書 作成チェックリスト

enterprise.goworkship.com

【チェックリスト付】フリーランス・副業人材との業務委託契約書作成ガイド

業務委託向け電子契約サービスの選び方5つのポイント

業務委託向けの電子契約サービスは、「相手方の使いやすさ」と「法令対応」を軸に選ぶのが基本です。料金の安さだけで選ぶと、フリーランスが署名に手間取り、かえって締結が遅れることがあります。

ポイント1:相手方がアカウント登録なしで署名できるか

フリーランスや副業人材に、新たなアカウント登録やソフトのインストールを求めるのは負担になります。メールのリンクを開くだけで署名できる立会人型のサービスを選びましょう。

スマートフォンでの表示や署名に対応しているかも重要です。副業人材は日中に本業があるため、移動中や夜間にスマホで手続きできると締結までの時間が短くなります。

ポイント2:本人確認の強度(二要素認証)を選べるか

電子署名法第3条の推定効を得やすくするには、本人だけが署名できる仕組みが重要です。メール認証に加えてSMS認証やアクセスコードを設定できるサービスを選ぶと、なりすましのリスクを下げられます。

すべての契約で最高水準の認証を求める必要はありませんが、報酬額が大きい契約や機密性の高い業務の契約では、認証レベルを契約ごとに切り替えられると便利です。

ポイント3:電子帳簿保存法に対応しているか

タイムスタンプの付与、訂正削除履歴の保持、取引先・日付・金額での検索機能など、電子帳簿保存法の保存要件を満たす機能があるかを確認します。

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を取得しているサービスは、要件への適合を判断する目安になります【要確認:導入候補サービスのJIIMA認証取得状況】。他社から受け取った電子契約も一元管理できるかもチェックしておきましょう。

ポイント4:テンプレートと一括送信に対応しているか

複数のフリーランスと同じ条件で契約する場合、テンプレートに明示事項を組み込んで使い回せる機能があると、作成時間と記載漏れを大きく減らせます。

更新時期が重なる場合は、一括送信機能が役立ちます。報酬額や期間だけを差し替えて複数人に送信できれば、更新業務の工数を最小化できます。

ポイント5:自社の契約件数に合った料金体系か

電子契約サービスの料金は、月額固定費と送信件数に応じた従量課金を組み合わせた体系が一般的です。年間の契約件数(新規+更新)を試算してからプランを選びましょう。

契約件数が少ない段階では無料プランで始め、件数が増えた時点で有料プランに切り替える方法もあります。ただし無料プランは送信件数や保存機能に制限があることが多いため、電子帳簿保存法の要件を満たせるかは必ず確認してください。

業務委託の電子契約でよくある5つの失敗と対策

業務委託の電子契約で多い失敗は、明示事項の漏れと、契約形式と実態のズレです。公正取引委員会の公表データからも、こうした基本的なミスが多いことがわかります。

失敗1:取引条件の明示漏れ

公正取引委員会の令和7年度フリーランス法の運用状況(2026年6月公表)によると、同年度の指導は1,542件、勧告は10件にのぼりました。違反類型では取引条件の明示義務違反が1,126件、支払期日に関する違反が1,135件と、基本的な義務の不備が大半を占めています。

対策は、電子契約のテンプレートに明示事項を必須項目として組み込むことです。チャットで条件を伝えただけで済ませず、契約書として正式に締結する運用を徹底しましょう。

失敗2:相手方が電子契約に不慣れで締結が遅れる

メールが迷惑メールフォルダに入って気づかれない、署名方法がわからず放置される、といったケースはよくあります。結果として稼働開始日までに締結が間に合わないことになりかねません。

送信前に、送信元アドレス・署名期限・手順をチャットなどで事前に伝えておきましょう。署名期限の2〜3日前にリマインドする運用を決めておくと、締結漏れを確実に防げます。

失敗3:契約書は業務委託なのに、実態は指揮命令になっている

契約書を電子で整えても、現場で始業・終業時刻を指定したり、作業手順を細かく指示したりすれば、偽装請負と判断されるリスクがあります。電子化はあくまで手続きの効率化であり、実態の適正化とは別の問題です。

契約書には「業務の遂行方法は受託者の裁量による」旨を明記し、現場の担当者にも業務委託と雇用の違いを研修などで共有しておきましょう。指示は成果物や業務範囲に関するものにとどめるのが原則です。

失敗4:PDFをメールで送っただけで保存要件を満たしていない

契約書のPDFをメールでやり取りし、そのままメールボックスに放置しているケースも少なくありません。この状態では、電子帳簿保存法の検索要件や真実性の要件を満たさないおそれがあります。

電子契約サービスを使うか、事務処理規程を整備したうえで決められたフォルダにファイル名規則に沿って保存するなど、保存ルールを明確にしておきましょう。

失敗5:稼働開始後に契約を締結している

「人手が足りないので、契約は後から」と稼働を先行させるケースは、報酬や成果物の範囲をめぐるトラブルの原因になります。フリーランス新法上も、業務委託をした時点で直ちに取引条件を明示する必要があります。

電子契約なら最短当日で締結できるため、「締結完了まで稼働しない」というルールを社内で徹底することが現実的に可能です。

▼フリーランス活用に関わる法律をまとめて確認したい方は、下記の資料をご覧ください。無料でダウンロードできます。


【無料資料】フリーランス活用に関わる法律解説まとめ

・フリーランス活用時に注意しなければならない法律
・守るべき義務
・必要な手続きなどをお伝えしています。

enterprise.goworkship.com

【無料資料】フリーランス活用に関わる法律解説まとめ

フリーランス・副業人材との電子契約ならWorkshipがおすすめ

フリーランスや副業人材との業務委託を、人材探しから電子契約まで一つのサービスで完結させたい企業には、株式会社GIGが運営する「Workship」がおすすめです。契約書の作成や締結手続きの負担を抑えながら、即戦力人材とスピーディーに契約できます。

Workshipの契約の仕組み|三者間の準委任契約をオンラインで締結

Workshipでは、機能ページにあるとおり、Workship・企業・フリーランスの三者間の準委任契約をオンライン上で締結できます。企業とWorkship、フリーランスとWorkshipがそれぞれ準委任契約を結ぶ形です。

成約後は運営事務局が契約手続きを案内し、稼働開始日より前に手続きを完了させる流れになっています。請求や報酬の支払いもWorkshipを介して行われるため、企業が個々のフリーランスと契約書をゼロから作成・管理する負担を軽減できます。

Workshipが向いている理由

Workshipは、業務委託の電子契約を初めて導入する企業や、採用に苦戦している企業にとって次の4つの点で使いやすいサービスです。

理由1:直接スカウトとエージェント提案の両方が使える

約65,000人の人材データベースから企業が直接スカウトできるうえ、エージェントからの人材提案も受けられるハイブリッド型です。自社で探す時間がない場合でも、専任スタッフが求人作成から人材提案まで伴走します。

理由2:成約まで無料で、最短3日でアサインできる

Workshipは成約まで費用がかからないため、まずは試しに募集を出してみることができます。導入企業数は1,800社以上で、最短3日でのアサインにも対応しています。契約手続きがオンラインで完結するため、条件が合えばすぐに稼働を開始できます。

理由3:募集から契約・稼働管理までシステム内で完結する

募集作成・面談・契約・稼働管理までを一つのシステム内で完結できるため、電子契約サービスや請求管理ツールを個別に導入する必要がありません。最短1か月からの準委任契約にも対応しています。

理由4:双方合意があれば正社員転換も可能

業務委託で一緒に働いたうえで、双方が合意すれば正社員へ転換することも可能です。株式会社GIGが人事・採用経験者122名に行った調査では、54.7%の企業がフリーランスから正社員への採用実績ありと回答しています。また、フリーランス308名への調査では、65.9%が企業からの正社員オファーを検討すると回答しました。

業務委託で実力や相性を確かめてから正社員として迎える「トランジション採用」は、採用ミスマッチを減らす選択肢として注目されています。

Workshipの導入事例

Workshipの導入事例では、時間がない状況で期待以上の人材を確保でき、契約までのスピード感を評価した企業の声が紹介されています。ほかにも、問い合わせから1か月で即戦力デザイナーが参画した企業や、利用開始2週間で複業エンジニア2名を採用したスタートアップなどの事例があります。

【要入力:電子契約・契約手続きの効率化に関する具体的な導入事例(企業名・課題・成果の数値)】

よくある質問

Q. 業務委託契約を電子契約で結んでも法的に有効ですか?

A. はい、有効です。民法上、業務委託契約は書面がなくても当事者の合意で成立します。さらに電子署名法第3条により、本人による一定の電子署名がある電子データは真正に成立したものと推定されるため、紙の契約書と同様に証拠として活用できます。

Q. 電子契約なら業務委託契約書に収入印紙は不要ですか?

A. はい、不要です。印紙税は紙の「文書」に課される税であり、電子データは課税対象になりません。ただし、電子で締結した後に紙の契約書を別途交付すると、その紙には印紙税がかかる場合があるため注意してください。

Q. フリーランスが電子契約を嫌がった場合はどうすればよいですか?

A. まずは費用がかからないこと、アカウント登録が不要なこと、スマホで署名できることを説明しましょう。それでも紙を希望される場合は、紙で締結することも可能です。なお、フリーランス新法では電磁的方法で明示した後の書面請求に原則として応じる義務はありませんが、関係性を考えて柔軟に対応するのがおすすめです。

Q. チャットやメールで条件を伝えるだけでも問題ありませんか?

A. フリーランス新法上、取引条件の明示はメールやチャットでも行えます。ただし、明示事項に漏れがあると違反になるうえ、後から内容を確認しづらくなります。明示事項を網羅した契約書を電子契約で締結するほうが、証跡管理の面で確実です。

Q. 副業人材との業務委託契約でも電子契約は使えますか?

A. はい、使えます。手続きはフリーランスとの契約と同じです。副業人材は日中に本業があるため、スマホで署名できる電子契約はむしろ相性がよいといえます。あわせて、本業の就業規則で副業が認められているか、競業にあたらないかを契約前に確認しておきましょう。

Q. 2026年1月施行の取適法で電子契約のルールは変わりましたか?

A. はい、変わりました。旧下請法では発注内容を電子で提供するのに相手方の事前承諾が必要でしたが、取適法では承諾の有無にかかわらず電磁的方法で提供できるようになりました。あわせて手形払等の禁止などの変更もあるため、契約書テンプレートの見直しをおすすめします。

Q. フリーランス・副業人材との業務委託契約におすすめのサービスはありますか?

A. 人材探しから電子契約までをまとめて効率化したい場合は、株式会社GIGが運営する「Workship」がおすすめです。主なおすすめポイントは次の4つです。

  • 契約がオンラインで完結:Workship・企業・フリーランスの三者間の準委任契約をオンラインで締結でき、契約書をゼロから作成・管理する負担を減らせます
  • 直接スカウトとエージェント提案の両方:約65,000人の人材データベースから直接スカウトでき、専任スタッフからの人材提案も受けられます
  • 成約まで無料・最短3日でアサイン:費用をかけずに募集を始められ、条件が合えばすぐに稼働を開始できます
  • 正社員転換も可能:業務委託で実力や相性を確かめたうえで、双方合意があれば正社員として迎えられます

導入企業数は1,800社以上で、募集作成から面談・契約・稼働管理までシステム内で完結します。初めて業務委託や電子契約を導入する企業でも、専任スタッフの伴走サポートを受けながら進められます。

あわせて読みたい関連記事

契約・法律・労務

業務委託・フリーランス活用

副業人材の活用

導入事例

まとめ

業務委託契約は電子契約で有効に締結でき、印紙税の削減と締結スピードの向上によって、優秀なフリーランスや副業人材を逃さない体制づくりにつながります。最後に要点を振り返りましょう。

  • 業務委託契約は民法と電子署名法にもとづき電子契約で有効に締結できる
  • 電子契約なら収入印紙が不要で、最短当日に締結できる
  • フリーランス新法の取引条件の明示は電磁的方法でも可能
  • 2026年1月施行の取適法で、電子での発注内容の提供に相手方の承諾が不要になった
  • 電子契約データは電子帳簿保存法の要件を満たして電子のまま保存する
  • 契約書を電子化しても、実態が指揮命令なら偽装請負になる点に注意する

まずは自社の業務委託契約書テンプレートがフリーランス新法と取適法の明示事項を満たしているかを確認し、相手方が使いやすい電子契約の仕組みを整えましょう。人材探しから契約までをまとめて効率化したい場合は、電子契約にも対応した業務委託マッチングサービスの活用が近道です。

株式会社GIGが運営する「Workship」は、IT・DX領域の即戦力となるフリーランスや副業人材を、低コストかつスピーディーに採用できる業務委託向けマッチングプラットフォームです。約65,000人の豊富な人材データベースから企業が直接スカウト可能で、エージェントからの提案も受けられるハイブリッド型のサービスを提供しており、双方合意があれば正社員転換も可能です。

  • 導入企業数 1,800社以上
  • フリーランス・副業人材登録数 64,900人以上
  • 掲載案件数 5,300件以上
  • 最短3日でのアサイン

募集作成から面談・契約・稼働管理までシステム内で完結する利便性、そして成約まで無料というコストパフォーマンスとスピード感が強みです。

「IT人材の正社員採用が難航している」「一時的に開発リソースが足りない」「初めて業務委託を活用したい」といったお悩みがあれば、ぜひWorkshipにご相談ください。

専任のスタッフが、求人作成から人材提案まで伴走してサポートいたします。

無料で資料ダウンロード 無料アカウント登録