エンジニア採用が難しい理由と6つの対策方法を解説
さまざまな業界でIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、エンジニアの需要が高まっています。その一方で、エンジニア人材の供給数が少なく、多くの企業が採用に苦戦しているのが現実です。
そこで今回は、エンジニア市場に精通したエージェントである弊社が、エンジニア採用が難しい理由と、人材不足への対策として効果的な採用活動のポイント6つを解説します。
企業の経営者の方はもちろん、採用担当者の方も、ぜひ参考にしてください。
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エンジニアの採用が難しい外部的要因
なぜ、エンジニアの採用がとくに難しいと言われているのでしょうか。それは、エンジニアの人材市場の課題としての外部的な要因と、採用側の企業に原因がある内部的な要因に分かれます。
まずは、考えられる5つの外部的要因について詳しく解説します。
- IT業界の変化が激しい
- 需要に対してエンジニアの数が足りない
- 「売り手市場」で採用競争が激しい
- 採用手段の多様化
- 就業形態の多様化
1. IT業界の変化が激しい
ITに関連する業務は、ひとつのスキルや技術がずっと使えることは稀です。そのため、転職者が持つ技術やノウハウが数年後、役に立つかどうかはわかりません。
そのため、自社に必要なスキル・技術の見極めが難しく、またそれぞれの技術に精通したエンジニアの数も多くはありません。常に学習が求められる業界であることも、つぎに述べるエンジニア人材の不足を引き起こすひとつの要因になります。
2. 需要に対してエンジニアの数が足りない
エンジニアを求める企業や市場の規模(需要)に対して人材の数(供給)が少ないのも採用が難しい一因です。
下のグラフは、経済産業省が発表した「IT人材の受給に関する調査」から抜粋したもので、IT人材の需給をここ数年から2030年まで示した予測値です。
▲出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月)
需要と供給の差=ギャップを分析しグラフ化したものであり、今後ギャップは拡大し続け2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると言われています。
需要と供給の差が大きくなるとそれだけ競争率が高まり、採用コストは多くかかるようになります。エンジニア採用では、そのことを念頭において採用活動や対策を講じなければなりません。
3. 「売り手市場」で採用競争が激しい
ただでさえ人手不足に直面する企業が多く「売り手市場」が続く現在、優秀なエンジニアを抱えている企業も手放さないために必死です。
下のグラフは転職サービス『dode』が自社サービス内の求人数(採用予定人数)、転職希望者数から独自に算出した「転職求人倍率」の数値です。
▲出典:doda
グラフを見てみると「技術系(IT・通信)」の転職求人倍率は、2014年以降、他業種をおさえてつねに高い水準をマーク。企業が必要とする人材数に実際の人材数が追いついていないことがうかがえます。
エンジニア不足は今後も続く見通しのため、会社員エンジニアの流動性はさらに低くなり、求人倍率は上がると想定されます。
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4. 採用手段の多様化
最近の傾向として、採用媒体を使わずに転職するエンジニアも多くなってきています。とくにエンジニアの場合、他業種に比べてもリファラル採用での転職者が多い傾向があります。
一方で、採用媒体としてはエンジニアに特化したサービスが出るなど、求職中のエンジニアにアプローチする方法が多様化しているのも把握しておきたい流れです。
5. 就業形態の多様化
フリーランスや副業などの人材やそれを認める会社が増えていることも、エンジニア採用が難しい原因の一つです。従来は、こういった働き方が一般化していなかったため、本業一社のみ、という働き方が主流でした。そのため、ほかの成長環境や収入を得ようと、転職活動をする人材も多かったのです。
しかし、副業が認められれば転職するリスクを取らなくとも、成長環境や収入が得られます。また、スキルの高いエンジニアはフリーランスとして独立することで自由度が高くなり、場合によっては会社員以上に収入を稼げます。
フリーランス人材の増加を受け、大手企業などもフリーランス・副業人材の受け入れ/自社社員の副業解禁などを始めました。こうした働き方の多様化が急速に進んでいることも、転職するエンジニアが少なくなる理由の一つと考えられます。
エンジニアの採用が難しい内部的要因
次に、エンジニア採用を難しくさせる内部的理由、つまり採用側の原因を見てみましょう。代表的な理由として、以下の3つがあると考えられています。
- 人材のペルソナ設定の難しさ
- スキルの見極めの難しさ
- 条件・待遇面での合意の難しさ
1. 人材のペルソナ設定の難しさ
ひとくちにエンジニアといってもスキルや業務範囲はさまざまです。また、会社ごとに転職者に求めるスキルも異なります。そのため、他の部署と同じ採用フローですすめた場合、ペルソナが明確化しきらず、効果的な求人ができていない場合があります。
それゆえ「求める応募者が来ない」「採用後のミスマッチ」などの問題につながってしまう場合があります。
2. スキルの見極めの難しさ
専門性が高い職種のなかでも、エンジニアはとくにスキルの見極めが難しい職種です。
そのため、非エンジニアの採用担当者にとっては、現場で本当に必要なスキルの見極めは、まずできません。また、現場担当者が採用に加わることでスキルレベルの判断ができたとしても、人事・採用部署側で「社風・文化に合わない」などを理由に採用にいたらないケースもあります。
3. 条件・待遇面での合意の難しさ
先ほどもお伝えしたとおり、エンジニアの人材市場では「売り手市場」が続いており、条件・待遇面でも高い水準が求められる場合があります。
いざ優秀な人材が見つかっても、求職者が求める条件・待遇に経営陣からの許可がおりなかった、あるいは他社が提示する条件・待遇に負けてしまった、などでチャンスを逃してしまうケースもあるようです。
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エンジニア採用を成功させるポイント6選
「エンジニア採用が難しい」といわれる理由を、企業の外と中に分けて説明してきましたが、ここからは具体的に自社のエンジニア採用状況を改善させるのに効果的な方法を6つご紹介します。
- 自社エンジニアや経営陣とすり合わせる
- 求めるエンジニア像を明確にする
- ジョブディスクリプションを作り込む
- 連絡・応対はていねいにすばやく
- 発信文化を形成する
- 就業形態や求めるスキルを再検討する
1. 自社エンジニアや経営陣とすり合わせる
既存社員のエンジニアの意見をヒアリングすることは重要です。どのようなスキルや経験が必要なのか、現場と「求めるペルソナ」を一致させ、ミスマッチを防ぎましょう。
自社エンジニアに実際の求人内容も確認してもらうのもおすすめ。エンジニアにとって魅力のある求人になっているか、記載が漏れている情報がないか判断してもらえば、より訴求力のある求人が作成できます。面接にも同席してもらうのがベターです。
また、いざ優秀な人材が応募してきたとき、条件や待遇面で他社に負けないためにも経営陣にエンジニアの採用要件の合意をとっておくことは非常に重要です。優秀な人材と出会うためだけでも採用コストが多くかかっているものだと心得ておきましょう。
2. 求めるエンジニア像を明確にする
求める人物像が明確になればなるほど、ミスマッチのリスクは低下します。また、求職者のインサイトも想像しやすくなり、効果的な採用活動ができるようになるでしょう。
「求める人物像」は、自社のエンジニアと協力して作成します。その際、以下の項目は忘れずに決めておきましょう。
- 扱えるプログラミング言語
- 使用できるソフトウェア、ツール
- 即戦力 or 育成枠
- 範囲業務
- パーソナル面(性格や志向)
以下のような表にまとめると、社内での共有もしやすくおすすめです。
▲出典:type
3. ジョブディスクリプションを作り込む
ジョブディスクリプション(職務記述書)とは、募集する職種の業務範囲・報酬・責任・条件などをわかりやすくまとめた募集要項のことです。
ジョブディスクリプションでは、業務条件の他にも「業務の難易度」や「必要なスキル」がまとめられているため、求職者は自分の能力にマッチした業務を選択し、安心して応募できます。
もともと欧米で使われていたジョブディスクリプションですが、昨今のエンジニア業界でもこのジョブディスクリプションを利用してミスマッチの少ない採用を目指す企業が増えています。
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4. 連絡・応対はていねいにすばやく
エンジニアに限らず採用活動において、連絡対応のスピード・ていねいさは重要です。とくに優秀なエンジニアは、並行して複数社と交渉している場合がほとんどのため、対応が遅くなるほど辞退される可能性が高くなります。
そのため、レスポンスや面接日程の調整はできるだけ迅速に。自社に適した人材が見つかった場合は即座に内定を通知することを意識しましょう。連絡が速くていねいだと、応募者の印象にも残りやすく、内定承諾率の向上にもつながります。
5.発信文化を形成する
自社の採用ポリシーや企業文化を積極的に発信することも重要です。自社の採用ホームページやブログ、SNSなどを使って、以下のようなことを意識しながら発信を心がけましょう。
- エンジニアへの待遇
- 社内の成長機会
- 描くことのできるキャリア
- 働き方の自由度、副業可否など
- オフィスの様子
労働環境、既存社員のスキルや人柄を重視するエンジニアも多くいるため、こうした情報は求職者側からも正しく自社を理解してもらうのに役立ちます。ただし、必要以上に良く見せてしまうと、結果的にミスマッチにつながりやすくなるので注意が必要です。
なお、これらの発信はエンジニア採用だけではなく、他職種の採用でも有効な手段です。
6. 就業形態や求めるスキルを再検討する
自社が採用したいエンジニア像を明確にすることは重要です。しかし、その人材要件が採用市場の状況に適しているかは、定期的に検討できるようにしましょう。
たとえば、次のようにエンジニアの要件を定義していたとします。
- エンジニア経験が7年以上
- 特定のプログラミング言語を扱える
- これまでにプロジェクトマネージャーを務めた経験あり
- 即戦力として期待できる人材
これらの条件をすべて満たす人材は、じつはそれほど多くありません。条件にこだわりすぎていると、結局採用できない状態が続いてしまいます。
採用活動が長く行き詰まっている場合には、スキル条件を満たさなくても自社教育を視野に入れる、あるいは、フリーランスなど業務委託を活用するなど、柔軟に採用手法を変更しましょう。
代表的なエンジニアの採用手段5つ
難易度の高いエンジニア採用を成功させるためには、さまざまにある採用手段のなかでも自社に適したものを選びたいところです。
この項目では、エンジニア採用におすすめの手段をご紹介、あわせて選び方もご説明します。
- 求人広告
- ダイレクトリクルーティング
- リファラル採用
- 人材エージェント
- フリーランスエンジニアの活用
1. 求人広告
内容 | ・費用を払い、求人情報をサイトに掲載する |
メリット | ・広告を出す以上の手間がかからない |
デメリット | ・企業の知名度がないと応募が集まりにくい |
求人広告サイトはほとんどの求職者が確認しますが、そのぶん企業の掲載数も多く競争率が高いのが特徴です。また、求人広告サイトの種類も多く、それぞれ集まりやすい人材に違いがあります。自社が求めるエンジニアのレベルや条件などを踏まえながら、どの求人広告サイトを使うべきか選択しましょう。
一般的には、社名やサービスの知名度が高い企業におすすめの採用手法です。成果報酬型の求人広告サイトもあるので、条件が合えば出稿するのもいいでしょう。
2. ダイレクトリクルーティング
内容 | ・SNSなどを通して直接求職者にアプローチする |
メリット | ・求める人材に絞って採用活動ができる |
デメリット | ・ほかの手段よりも工数がかかる |
SNSやスカウト型サイトを使用して、求職者に直接メッセージを送るダイレクトリクルーティング。企業の知名度が低くても求職者とのコミュニケーションに力を入れるなど対応次第で優秀な人材を採用できます。
ほかの採用手法と比べて手間がかかるため、採用枠が少ない場合に向いています。
時間や手間をかけても、自社との適性を見極めたいという場合や条件以上の人材を採用したい場合におすすめです。
3. リファラル採用
内容 | ・社員に人材を紹介してもらう |
メリット | ・採用コストが低い |
デメリット | ・人間関係への配慮が必要 |
手間やコストがかからない、手軽に始められる採用手法です。紹介元の社員から求職者の情報が多く得られるため、ミスマッチも起こりにくく、自社に適した人材を採用しやすい特徴があります。
しかし、出会える人材は少ないため、あくまでサブの採用手法として利用しましょう。採用人数が少ない創業期の企業や、スピードよりも確度の高さを重視したい場合におすすめです。
導入する際には社内の協力体制を整え、紹介料などのインセンティブを用意しておくといいでしょう。
4.人材エージェント
内容 | ・エージェントに希望する人材の条件を伝え、提案してもらう |
メリット | ・提案される人材のレベルが高い |
デメリット | ・支払う費用が高い |
採用市場に精通した担当者のサポートが受けられるため、自社に適した人材を短期間で効率的に採用できます。
エンジニアの採用経験が少ない企業にとっては、ひじょうに有効な手段です。人材の紹介を受けつつ、採用活動のノウハウや、人材まわりの市場の現況を知れ、長期的な成果につながります。
5. フリーランスエンジニアの活用
内容 | ・フリーランスとして活動するエンジニアに協力してもらう |
メリット | ・業務内容、稼働時間を柔軟に対応してもらえる |
デメリット | ・継続的に仕事がお願いできるとは限らない |
正規雇用ではなく、フリーランスエンジニアの力を借りるのも一つの手段です。フリーランスの場合、働き方、業務内容、対価は交渉次第。レベルの高いエンジニアにコンサルティングとして加わってもらうこともできますし、逆に、手を動かしてほしい、ピンポイントで一部分だけお願いしたいなど融通がききます。
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採用成功事例から学ぶエンジニア採用のコツ
以下では、エンジニア採用成功事例2社の採用の特徴を解説しています。
エンジニア採用事例:株式会社K
「上流工程から参画できる」
株式会社K様の成功事例では、4名のエンジニアの採用を成功させました。
昨今エンジニアはエンジニア技術だけでなく、PM(プロジェクトマネージャー)としての経験や、リーダーとしてのコミュニケーション能力も問われています。
そのため、求人や面談の際に「上流工程の職務も経験できる」とエンジニアとして「成長できる」ポイントを推し出したことで、採用を成功させました。
自社のホームページ内のブログで働いている状況・どんな業務を任せているのかを求人視点で紹介するコンテンツを運用していたことで、求職者からの信頼を強めていたのもポイントです。
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エンジニア採用事例:株式会社M
「ミスマッチを極限まで減らす」
株式会社M様の成功事例では、応募してくるエンジニアと極限までミスマッチを減らすことでエンジニア採用を成功させました。用いた手法は「リファラル採用」のみ。主にフリーランスエンジニアとの契約を中心に4年間で20名以上のエンジニア採用を成功させました。
この会社では、社内の人脈を駆使し、多くのエンジニアと直接話すことで、自社で働くイメージを持ってもらうことに力を入れました。社内で働くエンジニアの実情を話したり、体験入社制度を取り入れたりすることで求職者とのミスマッチを減らし、紹介してくれた社員には特別報酬を与えるなど、長期的にエンジニア採用を強める文化を作りました。
これらの成功事例には「ダイレクトリクルーティング」という共通点があります。
ダイレクトリクルーティングとは企業が直接エンジニアにコンタクトを取り、積極的に採用する手法です。これまでの求人を出して応募を待つ採用手法ではなかなかエンジニアを集められません。
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