直接雇用と派遣の違いやメリットデメリットを企業側の視点から解説
企業が人材を採用する際、直接雇用と派遣のどちらを選ぶべきかは重要な課題です。それぞれの雇用形態には独自のメリットとデメリットがあり、企業の状況やニーズに応じて適切な選択をすることが求められます。
直接雇用は、長期的な関係を築きやすく、社員のエンゲージメントやモチベーションが向上する一方で、コストや法的責任が増加するリスクがあります。一方、派遣は柔軟性が高く、必要に応じて人材を調整できるメリットがありますが、企業文化への理解や、仕事へのモチベーションの維持が難しいといった点がデメリットです。
本記事では、直接雇用と派遣の違いや、それぞれのメリットデメリットを企業側の視点から解説します。ぜひ参考にしてください。
直接雇用と派遣の基本的な違いとは?
直接雇用とは、企業が労働者と直接契約を結ぶ雇用形態です。直接雇用では、一般的に労働者が企業の正社員として働きます。また、企業が給与、福利厚生、労働条件を提供し、労働者は企業の指示に従って業務を遂行するのが特徴です。
一方、派遣契約とは、労働者(派遣社員)が派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で働く形態を指します。派遣社員は派遣会社から給与や福利厚生を受け取りながら、派遣先企業で指定された業務を遂行するのが特徴です。
以下では、直接雇用と派遣の基本的な違いを一覧で比較します。
直接雇用 | 派遣 | |
雇用形態 | 企業と労働者が直接契約する | 派遣会社と労働者が契約し、派遣先で働く |
給与・福利厚生 | 企業が直接提供する | 派遣会社が提供する |
契約期間 | 基本的に無期限 | 一定期間ごとに更新(原則3年が最長) |
業務の指示 | 企業が直接指示 | 派遣先の企業が指示 |
法的責任 | 企業が負う | 派遣会社が負う |
雇用コスト | 長期的には高くなる可能性がある | 短期的なコスト管理がしやすい |
柔軟性 | 解雇や配置転換が難しい | 契約期間ごとにリソース調整が可能 |
組織の安定 | 長期的な雇用関係が築ける | 短期間のプロジェクトに適している |
上記を参考に、自社に適した雇用形態を選択することが重要です。
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企業が直接雇用を選ぶメリット5つ
企業が直接雇用を選ぶメリットには、次の5つが挙げられます。
- 従業員の忠誠心とモチベーションの向上に寄与する
- 長期的な人材育成とキャリアパスの提供が可能
- 企業文化の浸透と一体感を強化できる
- 労働力の安定確保と計画的な人材配置が可能
- 法的リスクの軽減と企業イメージの向上につながる
それぞれ解説します。
1.従業員の忠誠心とモチベーションの向上に寄与する
直接雇用により、従業員は企業との長期的な関係を築くことができ、企業に対する忠誠心が高まります。また、安定した雇用関係がモチベーションを向上させ、生産性の向上に寄与します。
2.長期的な人材育成とキャリアパスの提供が可能
直接雇用では、長期雇用を前提とした従業員のスキルアップやキャリア開発への積極的な投資が可能です。従業員への投資を行うことで、従業員が自身の成長を実感し、企業内でのキャリアパスを明確にできるでしょう。
3.企業文化の浸透と一体感を強化できる
直接雇用では、従業員が企業文化や価値観を深く理解して共有する機会を提供しやすいため、チームの一体感が強まり、より良いコミュニケーションと協力体制を構築できます。
4.労働力の安定確保と計画的な人材配置が可能
直接雇用では、企業が労働力を安定して確保できるため、計画的な人材配置が可能です。安定的な事業の運営を実現することで、長期的な視点でのプロジェクト遂行や、業務の継続性が保証されます。
5.法的リスクの軽減と企業イメージの向上につながる
直接雇用で法的な安定性を提供することで、労働基準法などの規制に対するコンプライアンスを強化できます。企業が法的リスクを軽減することで、健全な労働環境を維持できるだけでなく、企業イメージの向上にもつながります。
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企業が派遣を選ぶメリット6つ
企業が派遣を選ぶことで、次のようなメリットがあると考えられます。
- 繁忙期など必要な時期に人材を確保できる
- 専門性の高い人材を確保できる
- 業務の効率化が期待できる
- 採用コストを削減できる
- 雇用リスクを回避できる
- 柔軟な労働力を確保できる
それぞれ解説します。
1.繁忙期など必要な時期に人材を確保できる
派遣を利用することで、企業は繁忙期や特定のプロジェクト期間中に必要な人材を迅速に確保できるため、ピーク時のリソース不足を解消し、効率的な業務遂行が可能となります。
2.専門性の高い人材を確保できる
派遣会社はさまざまな分野に特化しているため、必要なスキルセットを持つ比較的専門性の高い人材を確保できます。特定のプロジェクトや業務において、即戦力となる人材を導入できるため、質の高い成果に期待ができるでしょう。
3.業務の効率化が期待できる
派遣社員は即戦力として導入されることが多く、特定の業務に対する専門知識や経験を持っているため、業務の効率化が期待できます。さらに、新しい視点やアプローチを取り入れることで、プロセスの改善や生産性の向上も図れるでしょう。
4.採用コストを削減できる
派遣を利用することで、採用プロセスにかかるコストや時間を削減可能です。派遣会社が候補者の選定やスクリーニングを行うため、企業は手間をかけずに即戦力人材を確保できます。
5.雇用リスクを回避できる
派遣社員の雇用期間は一定期間で契約されるため、企業は長期的な雇用リスクを回避できます。経済状況や業務需要に応じてリソースを柔軟に調整できるため、リスク管理もしやすくなるでしょう。
6.柔軟な労働力を確保できる
派遣を利用することで、企業は労働力の柔軟な確保が可能となります。必要な時期や業務内容に応じて派遣社員を導入し、業務の変動に対応しやすくなるため、労働力の適切な配置を実現できるでしょう。
直接雇用のデメリットとその対策
一方で、直接雇用には、以下のようなデメリットがあります。
- 固定費が増加する
- 柔軟性が欠如する
- 雇用リスクが増加する
- 採用と育成のコストがかかる
- 離職率の管理が必要
以下では、それぞれの対策を含めて解説します。
1.固定費が増加する
直接雇用により、固定給や福利厚生の提供が必要となり、企業の固定費が増加します。そこで、労働者の生産性向上により、コストパフォーマンスを高めることが重要です。また、固定費に見合った成果を得るためのKPIを設定し、定期的に評価を行うことが有効です。
2.柔軟性が欠如する
直接雇用では、労働者の解雇や配置転換が難しくなり、企業のリソース調整が柔軟に行えなくなります。そこで、契約社員やパートタイム労働者の活用を検討し、必要に応じて柔軟な労働力を確保することで、直接雇用社員の固定的な負担を軽減できます。
3.雇用リスクが増加する
直接雇用では、企業が労働者に対する法的責任を負うため、労働トラブルや法的リスクが増加します。そこで、法務部門の強化や労務管理の専門家を導入することで法的リスクを低減し、迅速に対応できる体制を整えることが重要です。
4.採用と育成のコストがかかる
直接雇用では、採用プロセスや新人研修、継続的なスキルアップのためのトレーニングにコストがかかります。そこで、効果的な採用戦略を策定し、適切な人材を見極めることが必要です。また、トレーニングプログラムを効率化し、コスト削減を図る工夫も求められるでしょう。
5.離職率の管理が必要
直接雇用では、離職率が高いと企業にとって大きなコスト負担となります。新人の採用や育成が頻繁に必要となるため、業務の安定性が損なわれることがあります。そこで、従業員満足度を高めるための施策を導入し、働きやすい職場環境を整えることが重要です。また、定期的なフィードバックと評価制度を実施し、離職防止策を講じることも大切です。
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派遣のデメリットとその対策
派遣には、以下のようなデメリットがあると考えられます。
- 雇用が不安定になる
- 採用期間に制限がある
- 長期的な雇用が難しい
- 労働意欲が低い可能性がある
以下では、それぞれの対策を含めて解説します。
1.雇用が不安定になる
派遣社員は契約期間が限られているため、長期間同じ職場で働ける保証がないために、労働者の不安感が高まる可能性があります。そこで、派遣社員とのコミュニケーションを強化し、契約更新の見通しや可能性を早めに伝えることで、労働者の不安を軽減しましょう。また、契約期間が終了する前に、新しいプロジェクトや派遣先を見つける支援を行うのも有効です。
2.採用期間に制限がある
日本では、派遣社員の雇用期間に制限があるために長期的な人材確保が難しく、プロジェクトの継続性が損なわれることがあります。そこで、法的な制限を理解した上で、計画的に派遣社員を活用することで、プロジェクトのリソースを効果的に管理できます。また、直接雇用への切り替えを検討し、優秀な人材を長期的に確保することも一つの方法です。
3.長期的な雇用が難しい
派遣社員は契約期間が限られているため、長期的な視点での雇用が難しいため、組織の一体感や社員のエンゲージメントが低下することがあります。そこで、派遣社員に対しても企業文化や価値観を共有し、チームの一体感を高める取り組みを行うことで、エンゲージメントの向上を図りましょう。定期的な評価やフィードバックを通じて、労働者のモチベーションを維持することが重要です。
4.労働意欲が低い可能性がある
派遣社員は短期間の契約が多いため、長期的なキャリアパスを見据えたモチベーションを維持することが難しい場合があります。そこで、派遣社員にもキャリアパスや成長機会を提供し、目標を持って働ける環境を整えることが大切です。また、優秀な派遣社員を派遣終了後に直接雇用する制度を設けることで、労働意欲を高めることができるでしょう。
直接雇用と派遣のコストを比較
以下では、直接雇用と派遣のコストを比較します。
項目 | 直接雇用 | 派遣 |
基本給与 | 高い(福利厚生込み) | 比較的低い(派遣会社が管理) |
福利厚生 | 企業が提供 | 派遣会社が提供 |
社会保険 | 企業が負担 | 派遣会社が負担 |
採用コスト | 採用プロセスやトレーニングに高コスト | 派遣会社が採用、トレーニング済み |
解雇コスト | 高い(法的手続きが必要) | 低い(契約終了時に終了) |
上記のように、直接雇用の場合は、企業が労働者に対して高い基本給与や福利厚生、社会保険を提供しなければならないため、長期的なコストが高くなる可能性があります。また、直接雇用では採用プロセスや新人研修にかかるコストも高くなることが一般的です。さらに、解雇する際には法的手続きを経る必要があり、解雇コスト(早期の退職金など)が増加します。労働リスク管理も企業自身が負うため、トラブルが発生した場合の対応も必要です。
一方、派遣の場合には、基本給与や福利厚生、社会保険を派遣会社が管理するため、比較的低コストで企業が労働力を確保できます。派遣会社が候補者の選定やトレーニングを行うため、企業は採用にかかる手間やコストを削減できるのもメリットです。契約期間が限られているため、解雇のリスクやコストが低いのも特徴です。法的責任も派遣会社が大部分を負うため、企業側の労働リスク管理の負担も軽減されるでしょう。また、派遣社員を利用することで、企業は必要に応じて柔軟に労働力を調整できるメリットがあります。
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企業のニーズに応じた契約形態の選び方
以下では、主な契約形態ごとの特徴と選び方を比較して解説します。
契約形態 | 特徴 | 選び方 |
正社員 | 長期雇用、福利厚生充実、安定的な労働環境 | 企業の中核となる人材として長期的に活躍してほしい場合 |
契約社員 | 一定期間の契約、専門性を持つ、契約更新の可能性 | 特定のプロジェクトや期間限定の業務に専門知識を活かしてもらいたい場合 |
パート・アルバイト | 短時間労働、柔軟な勤務時間、福利厚生は限定的 | フレキシブルな働き方を求める業務や短期的な人手不足の補完 |
派遣社員 | 派遣会社との契約、特定の業務に従事、一定期間で契約更新 | 即戦力を求めるプロジェクトや、短期的なリソース需要の補完 |
業務委託 | 独立した形態、契約に基づく仕事、自己管理が求められる | 専門的なプロジェクトや特定の業務を委託したい場合 |
正社員
正社員は、企業の中核となる人材として重要です。長期的な雇用関係を築き、企業文化や価値観を深く理解し、共有してもらうことで、組織の一体感を高めます。福利厚生も充実しているため、社員のエンゲージメントやモチベーションを向上させることができます。
契約社員
一定期間の契約で働く契約社員は、特定のプロジェクトや業務において専門性を発揮してもらうことが期待されます。契約更新の可能性があるため、プロジェクトの完了までの期間や業務の進行状況に応じて柔軟に対応してくれる人材です。
パート・アルバイト
パート・アルバイトは、短時間労働や柔軟な勤務時間に向いているのが特徴です。パートやアルバイト人材は、学業や家庭との両立がしやすく、短期間での人手不足の補完にも適しています。業務が比較的単純な場合や、ピーク時のサポートとして活躍してくれる人材です。
派遣社員
派遣社員は、派遣会社との契約に基づき、特定の業務に従事する人材です。派遣社員は即戦力として働くことができるため、短期間で成果を上げたいプロジェクトや突発的なリソース需要に対応する際に有効です。派遣会社が労働条件を管理するため、企業の管理負担も軽減されます。
業務委託
業務委託はフリーランスとして独立した形態で働くため、特定のプロジェクトや業務において専門的なスキルを持つ人材を柔軟に活用できます。契約に基づく仕事であり、自己管理が求められるため、プロジェクトベースでの業務に適しています。
出典:ランサーズ より
上記のように、近年は企業が業務委託を活用するケースが増加しており、特に人材不足が顕著なデジタル人材やクリエイターなどへの業務委託が目立っています。
また、昨今では業務委託やフリーランスから正社員へ転換する「トランジション採用」というカルチャーも普及しつつあります。
下記の記事では、実際に働いているフリーランス人材が正社員へ転換したいと考えている確率を、Wroskhipを運営する株式会社GIGがフリーランス41,622名に調査した結果をお伝えしています。
昨今のフリーランス・正社員採用の動向を詳しく知りたい方は下記の記事をぜひご参照ください。
「フリーランスの約35%が正社員転換を検討」キャリア動向調査を実施しました
▼以下では、業務委託のメリットと注意点を詳しく解説しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
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