【テンプレート付き】ジョブディスクリプション(職務記述書)とは? 記載例・サンプルからメリット・デメリットを解説
職務(ジョブ)重視の人事システム「ジョブ型雇用」。専門職採用に効果的な人事システムであり、大手企業のほか、多くのベンチャー・中小企業で導入されはじめています。ジョブ型雇用を導入する際に必要になるのが、業務内容の詳細や期待する成果をまとめた「ジョブディスクリプション(職務記述書)」です。
この記事では、すぐに使えるジョブディスクリプションのテンプレートのダウンロードリンクと、ジョブディスクリプションの説明から、記載例のサンプル・テンプレートや書き方、活用するメリット・デメリットまで詳しい解説を掲載しています。
ジョブディスクリプションテンプレートのダウンロード先
すぐに使えるジョブディスクリプションのテンプレートは、こちらからダウンロードいただけますので、記事の解説と併せて、ぜひご活用ください。

ジョブディスクリプションとは
まずはジョブディスクリプションの概要や目的について解説します。
ジョブディスクリプションの概要
「ジョブディスクリプション(職務記述書)」とは職務内容や給与・待遇などを詳しく記した書類のこと。エンジニアやマーケターといった専門職の採用やジョブ型雇用と呼ばれる「仕事・職務」にあわせて人を採用する人事システムで活用されることの多い書類です。ジョブディスクリプションは、人事だけでなくその部署のマネージャー、場合によっては役員なども参加し作成することが通例です。
欧米諸国では、このジョブディスクリプションが採用をするために必要不可欠なものとして活用されています。
ジョブディスクリプションの目的
ジョブディスクリプションには、下記の2つの目的があります。
- 職務内容をはっきりさせるため
- 職務内容に基づいた賃金を確定するため
ジョブディスクリプションを作成することで、それぞれの社員が担当する職務について明確に規定できます。そうすると非効率な業務や無駄な時間を排除でき、組織全体の生産性が向上します。
また、「ジョブ型雇用」では本来、「同一賃金・同一労働」の原則があり、年齢や経験などに寄らず、職務内容に基づいて賃金を決定します。ジョブディスクリプションには、待遇なども明記しておくことで、客観的で公平な待遇が担保され、第三者から見た際の不公平感が抑えられます。
「ジョブ型雇用」の導入はどのくらい進んでいる?
パーソル研究所が2021年6月に発表した調査によると、従業員規模300人以上の日本企業で、「ジョブ型」を導入しているのは18%、導入を検討しているのが39.6%、一方で導入しない方針の企業が28.5%という結果がでました。
(出典:パーソル総合研究所)
この調査から1年以上が経った2022年現在は、上記よりもより導入が進んでいると考えられます。また、その中でも自社が導入する「ジョブ型」の仕組みについて、ウェブサイトなどで公表している大手企業、4社を紹介いたします。
富士通株式会社
(出典:同社HP https://pr.fujitsu.com/jp/news/2022/04/21.html)
株式会社日立製作所
(出典:同社HP https://www.hitachi.co.jp/recruit/hrsystem/message/)
資生堂株式会社
(出典:同社HP https://corp.shiseido.com/report/jp/2020/value/people)
KDDI株式会社
(出典:同社HP https://career.kddi.com/environment/diversity.html)
どんな目的をもって「ジョブ型」を導入し、どんな制度を構築したのか、ぜひ参考にしてみてください。
ジョブディスクリプションが注目されている背景
これまで多くの日本企業では、ジョブ型雇用とは真逆といえる「メンバーシップ型雇用」と呼ばれるシステムを採用してきました。メンバーシップ型雇用とは、終身雇用をベースとした雇用システムで、新卒一括採用、ジョブローテーションを基盤とし、組織に必要なゼネラリストの育成をめざします。ただし、能力・スキルでの一元的な評価がしづらく、年齢とともに給与が上がる「年功序列」という形を取るのが通例でした。
しかし近年では、専門職の人手不足や外国人雇用の増加などにより専門職の活用が重要視されはじめたことで、「ジョブ型雇用」を導入する企業が増加。このような専門職の需要の高まりやジョブ型雇用の普及に伴い、入社前から職務を明確に規定する「ジョブディスクリプション」に注目が集まっているのです。
ジョブディスクリプションを活用するメリット・デメリットについては、記事後半でご紹介します。
▼ジョブ型雇用について詳しく知りたい方は以下の資料をご確認ください。

ジョブディスクリプションの書き方|記載すべき6つの項目
ジョブディスクリプションは、以下の6つの項目を中心に記載します。
- ポジション(職名)
- 具体的な職務内容
- 期待される目標
- 職務の予算
- 期待する成果
- 責任や権限の範囲
ポジションや業務内容を明確にしておけば、その仕事に合わせた人材が集まりやすく、採用ミスマッチの低減にもつながります。
ジョブディスクリプションのサンプル(記載例)
下図が、ジョブディスクリプションのサンプルです。
各項目でどのような点を意識して記載すべきか、一覧表でまとめてみます。
項目 | 記載すべき点 |
---|---|
職務内容 | 職務内容では、実際におこなう業務を説明する。たとえば「営業」でも、顧客先へ行くのか、社内で電話するのかなど内容はさまざま。どのような仕事を任せるのか、必要であれば項目化しながら社外の人でも分かるように記載する。 |
目標 | 可能な限り具体的な目標を設定する。分かりやすい場合は売り上げ〇〇円などの数値目標だが、まだ十分なスキルを見込まない場合には電話を月に◯本など行動目標でも可。 |
知識・技術 | 営業であればセールスフォースなどのSFAツールの使用経験、デザイナーであれば、figmaやSketchなどのデザインツールなど、具体例を用いて明記する。とくに思いあたらない場合には、マイクロソフトのオフィスツールなどを記載するだけでも問題ない。 |
経験・学歴 | とくに中途採用の場合、「営業として◯年以上の経験がある」などの制限を設けることで、絞り込みがしやすくなる。学歴の場合は、「デザインを専門に学んだデザイナー」などに用いることが可能。 |
ジョブディスクリプションを作成する際は上記の項目に沿って、それぞれ具体的に明記することで、採用したい人材像を明確にできます。また、項目をあらかじめ用意した、テンプレートに沿って作成すれば、初めての方でも有用なジョブディスクリプションが作成できます。
ジョブディスクリプションのテンプレートは以下から無料でダウンロードいただけますので、参考にしてみてください。

ジョブディスクリプション作成時の3つの注意点
ジョブディスクリプションを作成する際に気をつけたい3つのポイントを解説します。
1. 記載した職務と実務にズレがないように作成する
ジョブディスクリプションに記載した職務内容と実際の業務に違いがあると、離職やミスマッチにつながります。
反対に、あまりに限定した業務しか記述しないとかえって全体の仕事が非効率になってしまう可能性もあります。ある程度の業務内容を網羅したジョブディスクリプションを作成し、同時に連携部署との関係なども記載するようにしましょう。
2. 人事だけで作成しない
記載内容と実際の業務のズレを生まないために、人事だけでジョブディスクリプションを作るのは止めましょう。
採用した人物が配属される部署の現場社員やマネージャーなど、現場を知る人の意見を取り入れることが重要です。社内連携が重要となるポジションであれば、配属先だけでなく連携する部署の人もジョブディスクリプションの作成に携わるとよいかもしれません。
3. 定期的に内容を見直す
会社の状況や人材のニーズは頻繁に変化します。したがって、採用したい人材の要件も高い頻度で変わってくるでしょう。
どれだけ優れたジョブディスクリプションを作成できても、会社の変化に対応できていないと結果的にミスマッチとなる可能性があります。定期的にジョブディスクリプションを見直し、自社が求める人材を適切に条件として提示できるようにしておきましょう。そのために変化に対応しやすいジョブディスクリプションにすることも重要です。
ジョブディスクリプションを活用するメリット
ジョブディスクリプションは、ジョブ型雇用の採用面においても重要なだけでなく、採用面以外の場面でも利用するメリットが多くあります。以下がジョブディスクリプションを利用するメリットです。
- 採用の質が向上する
- 成果が明確になる
- 職務に対して給与設定がしやすい
- 専門性が高い人材を雇用できる
採用の質が向上する
業務内容が漠然とした求人を出した場合、求職者は仕事内容や必要なスキルなどをイメージしにくくなります。その結果、条件を満たさない求職者ばかりが応募してきたり、本来求める人材が応募しなくなってしまうケースも。
職務に関する条件を細かくまとめたジョブディスクリプションを求人に活用すると、こうした状態を回避して、理想に合った人材をスムーズに確保できるようになり、採用の質を上げられます。
成果が明確になる
ジョブディスクリプションを作成しておくことで、募集職種の業務内容は明確になります。事業の目標を達成するために必要な目標や成果に対する視点もクリアになり、よりパフォーマンスを出しやすい体制が整えられるでしょう。
職務に対して給与設定がしやすい
ジョブディスクリプションでは、募集する業務に対して必要なスキル・業務難易度・稼働工数などを明確に記載します。これにより業務に対しての費用相場を算出しやすく、誤った金額でアサインするリスクを低減でき、待遇面による採用機会の損失を防げます。
また、賃金は職務内容に基づいて算出するため、成果に対する人件費率も明確になります。
専門性が高い人材を雇用できる
ジョブディスクリプションが用いられるのは、具体的に職種を定めて採用するジョブ型雇用です。したがって、デザイナーやエンジニアなど専門性の高い職種と相性がいいといえます。総合職だけでなく、こうした専門職を雇用できるようになるのもジョブディスクリプションのメリットです。
さらにジョブディスクリプションを社内の人材にも応用することで、各自がおこなう業務を明確化し、専門性を高めた育成も期待できます。
ジョブディスクリプションのデメリット
一方で、職務内容が決まっているからこそ起こり得る問題もあります。今後ジョブディスクリプションを導入する企業は、想定されるリスクに対する解決策も考えておくことが重要です。
- チームの連携が弱くなるリスクがある
- 業務が属人化するリスクがある
- 社内組織が不安定になる
チームの連携が弱くなるリスクがある
ジョブディスクリプションで職務範囲を明確にすることで、採用した人材が範囲を超えた業務をおこなわないことや、チームよりも個人のスキルを重視して働きたいと考える人材も増えるでしょう。
これらの理由により、メンバー間の協力体制が希薄になり、チームの連携が弱くなるリスクがあります。個々のスキルやモチベーションは高くても、チームとして稼働しなければ、仕事は前に進みません。ジョブディスクリプションを作成する際には、職務範囲は暫定的かつ、さまざまな範囲の職務をフォローできるような記載にしましょう。
業務が属人化するリスクがある
必要なスキルなどを明確にしたうえで採用活動などをおこなえることがジョブディスクリプションの利点です。しかし、一つの業務に特化した人材が集まると、業務の属人化が進むケースも。担当者が1人休むだけで現場の業務がストップしてしまうことも少なくありません。 個人のスキルを重視しつつ、過度に個人に依存せずバランスを取ることが求められます。
社内組織が不安定になる
ジョブディスクリプションでは、基本的に有期で目標を設定します。特に専門性の高い人材の場合には、目標を達成したらまた転職する人もいます。実際に、ジョブ型雇用が一般的な海外では転職が多く、必要な仕事が終われば会社を離れることも少なくありません。
つまり、ジョブ型雇用の導入とジョブディスクリプションにより、自社で長期にわたって働く人材の獲得が疎かになり社内組織が安定しないリスクもあります。このようなことを防ぐためにも、即戦力の採用は「ジョブ型雇用」。長期的な雇用は「メンバーシップ雇用」などと区別することをおすすめします。
リスクを抑えてジョブ型雇用を導入する方法
先に挙げた3つのリスクはいずれも、専門性の高い人材の採用によって引き起こされる人材・チームの問題であり、長期的に見た人材の「ミスマッチ」です。
つまり、ジョブディスクリプションを運用するなかでも「いかにミスマッチを起こさないようにするか」という観点を持ち工夫することで、リスクを抑えられます。ミスマッチを防ぐ手法はさまざまですが、その中でもジョブ型雇用と相性がよく、試しやすい手段の一つに「フリーランスの活用」があります。
ジョブ型雇用と相性が良い「フリーランスの採用」
ジョブ型雇用は、フリーランスや副業人材と非常に相性のいい採用方式です。
フリーランスはデザイナーやエンジニアなど特定の職種のスキルを活かして働く人が多く、スキルを判断しやすい人材です。また、業務を発注し始めてから数回の業務は、企業とフリーランスの双方にとって「ミスマッチを確かめる」意味合いが強く、ミスマッチのリスクを大きく防ぐことができます。
実際にフリーランスを採用する企業は増加しており、ジョブ型雇用の先駆け的な人材と言えるでしょう。
さらに、フリーランスには以下のようなメリットもあります。
- 正社員よりも人件費コストが低い
- 数ヵ月などの短期から働いてもらうことが可能
- リモートOK(オフィス準備不要)など柔軟な働き方に対応できる
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