業務委託先の勤怠管理は違法?偽装請負を防ぐための勤怠・労務管理のポイントを解説
業務委託とは、自社で行う業務の一部、または全部を他社に委託することで、自社の人員やコストを削減するとともに、専門性の高い業務を効率的に行うことができるビジネスモデルです。しかし、業務委託にはリスクもあります。その1つが偽装請負です。
偽装請負とは、実際には雇用関係と同じ状況にある従業員を業務委託先として扱い、社会保険や労働基準法などの適用を逃れることです。偽装請負は、労働者の権利を侵害するだけでなく、税金や社会保険料の不正な回避にもつながります。そのため、偽装請負は法律で禁止されており、発覚すれば重い罰則が科せられます。
そこで今回は、業務委託先の勤怠管理の違法について、また偽装請負を防ぐための勤怠・労務管理のポイントを徹底解説します。業務委託契約を正しく結んで遂行し、自社の業績を上げたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
業務委託とは?メリットとリスクを簡単に解説
業務委託とは、雇用契約によらず、仕事の成果物や役務を提供することに対して報酬が支払われる仕事の仕方です。業務委託には、請負契約、委任契約、準委任契約の3つの種類があり、その総称として使われている言葉です。
以下では、業務委託のメリットとリスクを簡単に解説します。
業務委託のメリットとリスク
業務委託のメリットとリスクを簡単にまとめると、以下のようになります。
まず、専門的な知識やスキルをもった業務委託人材に業務を委託することで、自社で人材を育成する費用や人件費を抑えることが可能です。また、業務量や期間に応じて労働力を調整できるため、繁忙期やプロジェクトごとに柔軟な対応ができます。それ以外にも、社内の優秀な人材をコア業務に集中させることができるようになるため、生産性や収益性も向上するでしょう。
一方、業務委託に頼りすぎると次のようなリスクがあると考えられるため、注意が必要です。まず業務委託の場合には、正社員とは異なり、同じ職場で仕事をするとは限りません。むしろ、リモートワークなど別の仕事場で業務を進めるケースの方が多いでしょう。そのため、コミュニケーションが取りにくく、業務の進捗状況や成果物の品質管理が難しくなるケースがあります。また、業務委託先の業務レベルなどが低い場合には、仕事内容への信頼性だけでなく、自社の機密事項や顧客情報などの重要な情報が漏洩するリスクがあります。
また、業務委託先との契約内容をしっかりと定めずにいたり、労働法などの法律要件を深く理解せずに業務を遂行すると、偽装請負や労働基準法などの法律違反が起こる可能性も否定できません。
以上のように、業務委託契約を結ぶ際は、メリットとリスクを十分に検討した上で、適切な契約を結ぶことが重要です。
業務委託先の勤怠管理を行うのは違法?偽装請負の定義と判断基準を解説
業務委託先の勤怠管理を行うのが違法かどうかは、契約の内容や実態によって異なります。業務委託契約では、委託者が受託者に対して指揮命令権を持たないのが一般的で、受託者は自己の責任で業務を遂行することが原則です。そのため、委託者が受託者の勤怠を管理することはできません。
もし業務委託契約にも関わらず、委託者が受託者の作業場所や時間を拘束したり、業務の細かい指示や命令を出したりした場合は、偽装請負と見なされる可能性があるため、注意が必要です。
偽装請負の定義
偽装請負とは、実際は労働の提供である雇用契約になっているものの、仕事の完成である請負契約に偽装している場合を言います。
この偽装請負は法律により禁じられており、発覚した場合は罰金や改善措置命令、社名の公表などのリスクがあります。
そこで偽装請負にならないためには、業務委託契約と雇用契約の違いを明確にすることが重要です。
業務委託契約では、一定の結果を達成することを約束する請負契約や、一定の行為を行うことを約束する委任契約や準委任契約などがあります。これらの契約では、委託者と受託者は対等な立場であり、委託者は受託者に対して具体的な作業手順や時間帯などを指示することはできません。また、受託者は自己の責任で業務を遂行し、結果や行為に対して報酬を受け取ります。
一方、雇用契約では、雇用主は労働者に対して業務の指示や命令を出す指揮命令権を持ちます。また、労働法が適用されるので、労働時間や休暇、一方的な解雇の禁止などによって労働者は保護を受けられるのが特徴です。
以上のように、業務委託先の勤怠管理を行うかどうかは、契約形態や実際の業務遂行状況によって異なります。業務委託を行う際は、偽装請負にならないように、十分注意しましょう。
偽装請負の判断基準
偽装請負にあたるかどうかは、業務委託契約の内容や、実際の運用状況などを基に判断されます。
厚生労働省の告示によると、以下の4点はその際の判断基準であり、このうち一つでも満たさない基準があると、偽装請負に該当します。
- 事業主が作業の完成についてすべての責任を負うものであること
- 作業に従事する労働者を指揮監督するものであること
- 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律上の義務を負うものであること
- 単に肉体的な労働力を提供するものでないこと
また、以下の11点は偽装請負の判断要素であり、いずれか一つでも該当する場合は偽装請負に該当する可能性が高まりますので、注意が必要です。
- 作業内容や作業方法等に関し注文者から指示・命令を受けていること
- 作業時間や作業場所等に関し注文者から指示・命令を受けていること
- 作業内容や作業方法等に関し注文者から監督・管理を受けていること
- 作業内容や作業方法等に関し注文者から評価・査定を受けていること
- 注文者から罰則等を科される可能性があること
- 注文者から報酬等を支払われていること
- 注文者から必要な機械・設備・材料等を提供されていること
- 注文者から必要な教育・訓練等を受けていること
- 注文者から必要な制服・名札等を支給されていること
- 注文者から必要な社会保険等への加入を求められていること
- 注文者から必要な就業規則等への遵守を求められていること
もし今現在業務委託をしている方は、上記を判断基準として、偽装請負となっていないかを確認してみましょう。
偽装請負の罰則規定
偽装請負は、次の3つの法令に違反するケースがあり、それぞれ罰則内容が異なります。
労働者派遣法による罰則
労働者派遣法では、労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要とされています。偽装請負では、この許可を受けずに労働者派遣を行っているとみなされるため、法律に違反します。この場合、偽装請負を行った請負業者と注文主に対して、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、十分な注意が必要です。
職業安定法による罰則
職業安定法では、労働者供給事業(供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させる事業)は、原則として禁止されています。偽装請負では、労働者供給事業に該当すると判断される場合があります。この場合、労働者を供給した請負業者と労働者を受け入れた注文主の双方に対して、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、十分な注意が必要です。
労働基準法による罰則
労働基準法では、中間搾取(労働者から不当に利益を得る行為)は一律に禁止されています。偽装請負では、中間搾取が発生するおそれがあります。この場合、中間搾取を行った請負業者や注文主に対して、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、十分な注意が必要です。
以上が、偽装請負による罰則の内容です。偽装請負は、法律的なリスクだけでなく、社会的な信用や評判も失う可能性があります。そのため、事業者は偽装請負を避けるように注意することが重要です。
業務委託契約で偽装請負とならないための勤怠・労務管理のポイント
業務委託契約では、委託者は受託者に対して指揮命令権を持たず、受託者は自己の責任で業務を遂行することが原則です。そのため、委託者が受託者の勤怠を管理することはできません。
業務委託契約にも関わらず、委託者が受託者の作業場所や時間を拘束したり、業務の細かい指示や命令を出したりした場合は、偽装請負と見なされる可能性があります。
上記でも解説したように、偽装請負は法律により禁じられており、発覚した場合は罰金や改善措置命令、社名の公表などのリスクがあります。
偽装請負にならないためには、業務委託契約と雇用契約の違いを明確にすることが重要です。業務委託契約では、一定の結果を達成することを約束する請負契約や、一定の行為を行うことを約束する委任契約や準委任契約などがあります。これらの契約では、委託者と受託者は対等な立場であり、委託者は受託者に対して具体的な作業手順や時間帯などを指示することはできません。また、受託者は自己の責任で業務を遂行し、結果や行為に対して報酬を受け取ります。
一方で、雇用契約では、雇用主は労働者に対して業務の指示や命令を出す指揮命令権を持ちます。また、労働法が適用されるので、労働時間や休暇、一方的な解雇の禁止などによって労働者は保護を受けられるのが特徴です。
以上のように、業務委託先の勤怠管理を行うかどうかは、契約形態や実際の業務遂行状況によって異なります。偽装請負にならないように注意しましょう。
業務委託契約には契約書の作成が必須
業務委託契約では、企業と委託先との間で業務委託契約を結ぶのが一般的です。そして、業務委託契約を交わす際は、必ず業務委託契約書を作成しましょう。
業務委託契約書を作成すべき理由は、以下のとおりです。
トラブルを回避するため
業務委託とは、発注元の企業が業務の一部または全部を、社外の業者やフリーランスなどに委託することです。その際に、委託する業務を明確にしておかなければ、委託先が思うような仕事ができない可能性があります。
もし納品された製品が、注文通りのものでなかったとしても、契約書がなければ指摘できません。また納期についても契約書に記載しておかなければ、約束通りに納品されない可能性もあるでしょう。
このようなトラブルを避けるためにも、契約書に業務内容を明確に記し、納期や支払いに関する条件等を確認することが非常に重要です。
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信頼関係を構築するため
業務委託契約書の作成は、業務を委託する側とされる側の両者が、安心して業務を遂行するためにも重要な役割を果たします。
委託側(発注元)としては、委託する業務内容を明記することで、業務の進捗状況を把握しながら確認できます。一方業務を受託した側(発注先)も、報酬金額や支払い方法が明確であるため、業務に集中できるのがメリットです。
このように、契約書の作成によって両者に信頼関係が生まれ、より円滑に業務を遂行できるため、契約書の作成は必須といえるでしょう。
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業務委託契約書の作成方法と記載すべき13項目
業務委託契約書の作成にあたり、記載すべき13項目は次の通りです。
- 委託業務の内容
- 委託料(報酬額)
- 支払条件、支払時期、支払い方法など
- 成果物の権利
- 再委託の可否
- 秘密保持に関する条項
- 反社会的勢力の排除
- 禁止事項の詳細
- 契約解除の条件
- 損害賠償について
- 契約期間について
- 所轄の裁判所について
- その他の事項
それぞれ解説します。
1.委託業務の内容
まず、業務委託する業務の内容や、成果物についての詳細を明記しましょう。この内容によって、次に紹介する「業務委託契約の種類」が変わるため、委託内容は非常に重要な項目です。
2.委託料(報酬額)
委託料とは、委託先に支払う報酬です。報酬額がいくらなのか、税抜きと税込み金額を明記しましょう。
3.支払条件、支払時期、支払い方法など
業務委託契約書に記載するのは、委託金額とともに支払い条件や、時期、方法なども明記します。請負契約では、契約書に記載した通りの製品を、納期までに納品しなかった場合、契約不履行となり報酬を支払わないケースがあるため、しっかりと記載しましょう。
4.成果物の権利
業務委託契約では、委託した業務が成果物の納品を目的としていた場合に、その成果物の権利が発注先から発注元に移るのか否かも記載しましょう。このようなケースでは、著作権や商標権などが絡む取引となるため、事前に弁護士などに相談した上で契約書を作成すると安心です。
5.再委託の可否
業務委託では、委託した仕事をさらに二次下請けや三次下請けに回すこともあります。このようなケースでは自社の機密事項などが漏れやすくなるリスクがあるため、禁止する場合には、契約書にしっかりと明記しておきましょう。
6.秘密保持に関する条項
業務委託契約において、最も注意したい項目の1つが、この「秘密保持」に関する条項です。近年は個人情報の管理や企業のコンプライアンスを重視する傾向が強く、自社だけでなく、顧客情報などの取り扱いにも十分な注意が必要です。
もし委託する業務に自社の機密事項や取引先、顧客の情報がある場合には、別途秘密保持契約を交わし、万一に備える必要があります。
7.反社会的勢力の排除
こちらも企業のコンプライアンスに違反しないために注意すべき項目です。自社はもちろんのこと、相手先にも反社会的勢力とのかかわりがないか確認しましょう。
8.禁止事項の詳細
業務委託契約を結ぶ際に、上記以外の禁止事項があれば記載しましょう。できるだけ詳細に明記することが大切です。
9.契約解除の条件
契約書に記載した内容に違反があった場合などに、契約を解除できる条件を記載しておきます。万一の際に自社を守るための切り札となる条項ですので、あらゆるトラブルを想定して内容を決めましょう。また、契約解除は委託先にとっても一番厳しい条件となるため、常識の範囲内で設定すること。また、契約先と内容をすり合わせながら決めることが重要です。
10.損害賠償について
損害賠償についての項目も、万一の際に有効です。成果物の不備や欠陥、納期の遅れが許されない業務委託契約の場合には、損害賠償に関する条項を設けておきましょう。
11.契約期間について
契約期間を定めた取引する場合には、しっかりとその期間を明記します。契約期間の詳細によっては、契約書にかかる印紙税額が変わるため、こちらにも留意しながら記載しましょう。
12.所轄の裁判所について
業務委託契約書には、万一のトラブルで裁判となった場合に、所轄の裁判所がどこになるかを明記することが大切です。
特に遠方の業者や個人と契約を結ぶ際には、トラブルが発生した際の所轄の裁判所を明記しておかなければ「両者の中間の裁判所」を指定されるケースもあります。
そこで、あらかじめ発注者の最寄りの裁判所を明記しておき、委託先の合意を得ておきましょう。
実際に裁判に発展するトラブルは少ないものの、裁判所を記載しておくことがトラブルの抑止にも繋がります。
13.その他の事項
その他の事項には、上記以外で記載すべき内容があれば明記しましょう。
業務委託契約書テンプレート【すぐに使えるひな形】
ここまで業務委託契約書の作成方法や注意点について解説してきました。業務を委託する場合は下記のテンプレートを参考に業務委託契約書を作成してみてください。
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9.ランサーズエージェント
▲出典:ランサーズエージェント
クラウドソーシングサービスで有名なランサーズ株式会社のグループ会社が運営するランサーズエージェント。
ランサーズの運営だけに他のフリーランスエージェントと比較して登録者数が多いのが特徴です。
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10.ITプロパートナーズ
▲出典:ITプロパートナーズ
ITプロパートナーズは、フリーランスのITエンジニアやWEBデザイナーを探す際におすすめのサービスです。
特徴・メリット |
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11.クラウドテック
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