嘱託社員と契約社員の違いと採用する際のメリットとデメリットを徹底解説
企業が人材を採用する際に、正社員だけでなく、嘱託(しょくたく)社員や契約社員という雇用形態もよく利用されます。しかし、嘱託社員と契約社員の違いについては、正直よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
嘱託社員と契約社員の法的な定義や労働条件、コストやパフォーマンスなど、採用する際に知っておくべきポイントがあります。
この記事では、嘱託社員と契約社員の違いと採用する際のメリットとデメリットを徹底解説します。採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
嘱託社員と契約社員の定義と特徴
嘱託社員と契約社員の定義と特徴について、以下のように説明できます。
嘱託社員とは
嘱託社員とは、法律上で明確な定義がない雇用形態の一つです。
一般的には、定年退職した正社員を非正規社員として一定期間再雇用する場合に「嘱託社員」と呼ばれることが多いです。
嘱託社員は、会社と有期の労働契約を結んで働くため法律上は労働者にあたり、労働基準法や最低賃金法などの労働関係の法律に守られています。
嘱託社員の働き方や契約期間は雇用先によって異なっていますが、嘱託社員の5割以上は6か月以上の契約で働くのが一般的です。
契約社員とは
契約社員も法律上で明確な定義がない雇用形態の一つです。
厚生労働省の定義では「常用労働者のうち、フルタイム勤務で雇用期間の定めがあり、嘱託以外の者」とされています。
契約社員は専門的な能力を生かすことを目的とした雇用が一般的です。契約社員も有期の労働契約を結んで働くため、法律上は労働者にあたり、労働基準法や最低賃金法などの労働関係の法律に守られます。
嘱託社員と契約社員の主な違い
嘱託社員と契約社員は、期間の定めがある直接雇用の労働者としては同じですが、以下のような違いがあります。
嘱託社員が定年後の再雇用を主に対象としているのに対して、契約社員は専門的な能力を生かすことを目的とした雇用が一般的です。
契約社員はフルタイム勤務が多いのに対し、嘱託社員は短時間勤務や週3回勤務などフルタイム以外のことも多いです。
現在、有期雇用労働者として契約更新が5年を超えると、労働者から無期労働契約に変更する申し出ができますが、有期雇用労働者全員に適応されるものではありません。定年後の再雇用の場合は、特例として無期雇用の対象から外れているため、定年再雇用の嘱託社員の場合は、契約更新が通算5年を超えても、無期転換の申し出の権利が発生しません。
嘱託社員を採用するメリットとデメリット
嘱託社員を採用するメリット3つ
嘱託社員を採用する主なメリットは次の3つです。
1.生産性や効率が上がりやすいこと
嘱託社員は、職場や業務に慣れているため、ゼロから人材を育てるよりも、すぐに業務に取り組めます。
2.経験や能力を活用しやすいこと
嘱託社員は、長年のキャリアを持っているため、専門的な知識やスキルを発揮できます。
3.人件費を抑制できること
嘱託社員は、正社員時よりも給与や待遇が低くなることが一般的なので、人件費の削減にもなります。
嘱託社員を採用するデメリット2つ
一方、嘱託社員の採用には以下のようなデメリットがあります。
1.病気やケガのリスクが増える
嘱託社員は、中高年が多いため、健康面でのトラブルが起きやすくなります。
2.短期間での退職リスクが高い
嘱託社員は、年齢に伴って働く意欲や能力が低下する可能性があります。また、無期転換の申し出権が発生しないため、安定感に欠けることもあります。
契約社員を採用するメリットとデメリット
契約社員を採用するメリット3つ
契約社員を採用する主なメリットは次の3つです。
1.需要に応じて柔軟に採用できること
契約社員は、契約期間が短い場合が多いため、業務量や予算に合わせて人員を調整できます。
2.専門的な能力を持った人材を確保できること
契約社員は、特定の分野やプロジェクトにおいて高いスキルや知識を持っている場合が多いため、業務の質や効率を向上させることができます。
3.長期的な社員育成につながること
契約社員は、無期転換の申し出権が発生する可能性があるため、有能な人材を正社員として確保するチャンスにもなります。
契約社員を採用するデメリット2つ
一方、契約社員の採用には以下のようなデメリットがあります。
1.採用コストや人件費がかかること
契約社員は、専門的な能力を持っているため、採用活動に時間や費用がかかる場合があります。また、給与や待遇も正社員と同等の水準である場合もあります。
2.業務に慣れるまでに時間がかかること
契約社員は、契約期間が短い場合が多いため、職場や業務に馴染むまでに時間がかかる場合があります。また、正社員とのコミュニケーションや連携にも課題が生じる可能性があります。
嘱託社員と契約社員を採用する際の潜在リスクと対策方法3つ
嘱託社員と契約社員の採用における法的なリスクと対策について、以下のようにまとめられます。
1.雇用形態の不適切な区分けや偽装請負に関するリスク
雇用形態の不適切な区分けとは、嘱託社員や契約社員として雇用しているにもかかわらず、実際には正社員と同じような労働条件や業務内容で働かせていることです。これは、同一労働同一賃金の原則に反する可能性があり、労働者から不当な賃金差別や待遇差別の訴えを起こされるリスクがあります。
偽装請負とは、嘱託社員や契約社員を業務委託契約として雇用しているにもかかわらず、実際には雇用契約に該当するような指揮命令や管理監督を行っていることです。これは、労働者の保護を目的とした労働基準法や社会保険法の適用を逃れるための不正行為であり、労働者から雇用契約の確認や未払い賃金や退職金の請求などの訴えを起こされるリスクがあります。
これらのリスクを回避するためには、嘱託社員や契約社員として雇用する場合は、正社員と明確に区別できるような労働条件や業務内容を設定し、雇用契約書に明記することが必要です。また、業務委託契約として雇用する場合は、指揮命令や管理監督を行わず、委託者の自主性や自由裁量を尊重することが必要です。
2.雇用契約書の不備や変更に関するリスク
雇用契約書の不備とは、嘱託社員や契約社員として雇用する際に、労働基準法で定められている事項(雇入れ期間・更新の有無・賃金・労働時間・休日・退職・解雇など)を書面で交付しないことです。これは、労働者から雇用契約書の交付請求や内容確認請求などの申し立てを受けるリスクがあります。
雇用契約書の変更とは、嘱託社員や契約社員として雇用した後に、労働条件や業務内容を変更することです。これは、労働者から不利益変更の無効や損害賠償などの訴えを起こされるリスクがあります。
これらのリスクを回避するためには、嘱託社員や契約社員として雇用する場合は、必ず書面で雇用契約書を交付し、労働者の同意を得ることが必要です。また、雇用契約書の内容を変更する場合は、労働者の合意を得ることが必要です。
3.雇用期間の延長や解雇に関するリスク
雇用期間の延長とは、嘱託社員や契約社員として雇用した期間が満了する前に、その期間を延長することです。これは、労働者から無期転換の申し出権が発生するリスクがあります。現在、有期雇用労働者として契約更新が5年を超えると、労働者から無期労働契約に変更する申し出ができるようになっています。
解雇とは、嘱託社員や契約社員として雇用した期間が満了する前に、その雇用関係を終了させることです。これは、労働者から不当解雇や損害賠償などの訴えを起こされるリスクがあります。契約期間中の解雇は、やむを得ない事由がある場合でなければ許されません。
これらのリスクを回避するためには、嘱託社員や契約社員として雇用する場合は、雇用期間や更新の有無・条件を明確に定め、雇用契約書に明記することが必要です。また、雇用期間の延長や解雇をする場合は、労働者の合意を得るか、やむを得ない事由を証明できるようにすることが必要です。
嘱託社員と契約社員の労働条件の比較
嘱託社員と契約社員の労働条件の比較について、以下のようにまとめられます。
給与や賞与
嘱託社員の給与は、正社員から雇用継続して働いても、正社員時より減少する可能性が高いです。勤務日数や業務量の減少、役職から外れるなどの正社員との違いが起因している場合もあれば、勤務体系の変動がないにもかかわらず下がる人もいます。ボーナスの支給についても正社員より少ない場合があり、嘱託社員は、正社員と比較して、年収が低くなる傾向にあります。
契約社員の給与は、正社員と同じく月給や年俸制で支払われることが多く、正社員と同等の水準である場合もあります。ただし、契約期間が短い場合は、正社員よりも低くなることもあります。ボーナスの支給については、契約内容や会社の方針によって異なりますが、一般的には正社員よりも少ないか、ない場合が多いです。
労働時間や休日
嘱託社員の労働時間は、雇用先によって異なりますが、一般的には短時間勤務や週3回勤務などフルタイム以外のことも多いです。休日も雇用先によって異なりますが、有給休暇や介護休暇など法律で定められている制度は、契約状況に応じて取得できます。
契約社員の労働時間は、フルタイム勤務が多いです。休日も正社員と同じく週休2日制や祝日・年末年始休暇などが適用されることが多いです。有給休暇や介護休暇など法律で定められている制度も取得できます。
福利厚生や保険
嘱託社員の福利厚生は、雇用先によって異なりますが、一般的には正社員よりも劣ることが多いです。退職金や育児・介護休業制度などはほとんど適用されません。保険については、健康保険や雇用保険のような社会保険は、勤務日数などの要件を満たしていれば加入が可能です。厚生年金や労災保険については、雇用形態に関係なく加入することが義務付けられています。
契約社員の福利厚生は、正社員と同様に給与や福利厚生が与えられることが多いです。退職金や育児・介護休業制度なども適用される場合があります。保険については、社会保険や厚生年金、労災保険に加入することが義務付けられています。
雇用期間や更新
嘱託社員の雇用期間は、雇用先によって異なりますが、一般的には6か月以上の契約で働いています。契約期間満了後に更新されるかどうかは、雇用先の判断によりますが、更新されなければ雇用が終了することになります。現在、有期雇用労働者として契約更新が5年を超えると、労働者から無期労働契約に変更する申し出ができますが、定年後の再雇用の場合は、特例として無期雇用の対象から外れているため、定年再雇用の嘱託社員の場合は、契約更新が通算5年を超えても、無期転換の申し出の権利が発生しません。
契約社員の雇用期間は、労働基準法14条にて「原則として3年」であるものの、契約上の定めによります。ただし、3年を超えて契約はできず、3年を超えて契約をしたい場合は契約終了後に再度契約することが必要です。契約期間内はやむを得ない事由がない限りは退職できないことが労働契約法で定められています。ただし、暫定的には、契約日から1年経過した後は、いつでも退職することができることとなっています。現在、有期雇用労働者として契約更新が5年を超えると、労働者から無期労働契約に変更する申し出ができますが、このルールは契約社員にも適用されます。
嘱託社員と契約社員のコストとパフォーマンスの比較
嘱託社員と契約社員のコストとパフォーマンスの比較について、以下のようにまとめられます。
採用コストや人件費
嘱託社員は、定年退職した正社員を再雇用することが多いため、採用コストはかかりません。また、給与も正社員時より低くなることが一般的なので、人件費の削減にもなります。ただし、嘱託社員は有期契約なので、契約更新の手続きに手間がかかる可能性があります。
契約社員は、専門的な能力を持った人材を採用することが多いため、採用コストはかかります。また、給与も正社員と同等の水準である場合もあります。しかし、契約期間が短い場合は、人件費を抑えることができます。
業務内容やスキル
嘱託社員は、定年退職した正社員を再雇用することが多いため、業務内容やスキルに変化はあまりありません。しかし、役職から外れることで責任や権限が減少する可能性があります。
契約社員は、専門的な能力を持った人材を採用することが多いため、業務内容やスキルに変化があります。しかし、契約期間が短い場合は、業務に慣れるまでに時間がかかる可能性があります。
モチベーションや離職率
嘱託社員は、定年退職した正社員を再雇用することが多いため、モチベーションは高いとは言えません。また、給与や待遇が低下することで不満を感じる可能性もあります。しかし、慣れ親しんだ職場で働けることや希望に合わせた働き方ができることはメリットです。離職率は低いと考えられます。
契約社員は、専門的な能力を持った人材を採用することが多いため、モチベーションは高いと言えます。また、給与や待遇も正社員と同等の場合もあります。しかし、契約期間が短い場合は、安定感に欠けることや次の仕事への不安があることはデメリットです。離職率は高いと考えられます。
優秀な即戦力人材の採用にはフリーランスがおすすめ
最近では、正社員や嘱託社員、契約社員などの雇用契約だけでなく、フリーランスを活用するケースも増えています。
上記の調査によれば、半分以上の企業が「フリーランスを活用・または活用を検討している」と回答していることがわかります。
フリーランスを採用するメリット
それでは、どうして多くの企業がフリーランスを採用し始めているのでしょうか?
そのメリットをいくつか説明します。
コスト | 一番大きなメリットと言えるのはコストです。 正社員と異なり、退職金や保険金などの福利厚生を支払う必要はありません。仮に給与が同じであったとすれば、企業にとっては大幅なコスト削減が見込めます。 |
柔軟性 | フリーランスは個人事業主なので、柔軟性が非常に高いです。 正社員であれば週5日のフルタイムで働き、オフィスにも席を用意する必要があります。一方フリーランスの場合、「週3日だけ」や「リモート完結」という働き方も可能であり、企業にとっても負担が少なくて済みます。 |
スピード感 | フリーランスと企業間双方の合意さえあれば、即日で稼働してもらうことが可能です。 特に競合他社がいる場合などは、1日でも早くサービスを展開したいという場合もあるのではないでしょうか。そのような際に即日で業務に取り掛かってもらえるのは、大きなメリットとなります。 |
高スキル | フリーランスの人は、エンジニアやデザイナーなど特定の職能に長けたスペシャリストの人がほとんどです。 ジェネラリストが社内に多い場合には、フリーランスを雇用することで専門性を補うことができます。フリーランスから教育を受けるという形を取ることも可能です。 |
さらにフリーランスと正社員の違いについて知りたい方は、「【企業向け】フリーランスと正社員どちらにメリットがある?雇用形態の違いとおすすめを紹介」の記事もご覧ください。
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9.ランサーズエージェント
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10.ITプロパートナーズ
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ITプロパートナーズは、フリーランスのITエンジニアやWEBデザイナーを探す際におすすめのサービスです。
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