特定派遣の廃止によるIT業界への影響|人材確保の課題と解決方法を解説
特定派遣は、2015年に廃止された制度です。特定派遣は、派遣元と派遣社員が無期限の雇用契約を結び、専門的なスキルを持つ人材を派遣するというものです。しかし、この制度には労働者保護の観点から問題が多く、直接雇用の促進や派遣先での雇用期間の制限などの改正が行われました。
この特定派遣の廃止は、IT業界に大きな影響を与えるものでした。なぜなら、IT業界は人材不足や技術革新に対応するために、特定派遣を活用する企業が多かったからです。
特定派遣の廃止により、IT企業は人材確保の課題に直面し、偽装請負や法律上の制限などのリスクも高まっているのが現状です。
そこで今回は、特定派遣の廃止によるIT業界への影響や、人材確保の課題と解決方法を詳しく解説します。IT人材の確保や雇用について課題のある方は、ぜひ参考にしてください。
特定派遣とは?廃止された理由を解説
特定派遣とは、派遣元の会社と派遣社員が無期限の雇用契約を結ぶ、雇用期間に定めがない派遣事業の運営方式でした。
特定派遣は、2000年頃からIT産業などの高度なスキルを必要とする分野に多くの労働者が必要だったために制定された制度です。
特定派遣は、届出のみで事業を行えることや、派遣先での仕事が終わっても派遣元から給与が支払われることなど、派遣会社や派遣社員にとってメリットが多いと考えられてきました。
しかし、特定派遣には、いくつかの大きな問題点があります。それは、特定派遣が期間の定めのない雇用とはいえ、必ずしも正社員として雇用されているわけではなく、契約社員や準社員といった雇用形態で働かされる労働者も多かったため、労働者の立場が不安定になることです。
また、届出のみで事業を行えることから、資金力に乏しい企業が事業展開をしていたこともあり、経営が苦しくなると、労働者への給与の未払いや解雇が発生してしまうことも少なくありませんでした。
このように、特定派遣は、安定した働き方とはいえないため、廃止の方向へと進んだのです。
その結果、特定派遣は2015年の労働者派遣法改正により廃止されました。廃止に伴い、特定派遣事業を行っていた派遣会社は、一般派遣事業に移行するために国からの許可を得ることが必要となりました。
また、特定派遣として働いていた派遣社員は、派遣先企業に直接雇用を依頼するか、別の派遣会社に転籍するか、新たな派遣先を紹介してもらうといった対応をとることが求められました。
しかし、特定派遣を続けたいという派遣会社や派遣先企業もあり、偽装請負という違法な派遣状態がまん延するという事態に繋がったのです。
特定派遣廃止がIT業界に与えた影響
IT業界では、特定派遣が廃止されたことで、エンジニアの正社員化が促進されたといわれています。それは、特定派遣は派遣元と常時雇用の契約を結び、派遣先で業務を行う働き方でしたが、一般派遣に一本化されたことで、派遣期間は最大3年となり、同じ職場・部署にとどまれなくなったからです。そのため、派遣先企業から直接雇用されるケースが増えたと考えられます。
一方で、IT業界ではSES(システムエンジニアリングサービス)の活用が増え始めたともいえるでしょう。
SESは、SES企業がユーザー企業にエンジニアを送り、スキルを提供する契約形態で、準委任契約として扱われることが多いのが特徴です。SESは、効率的なエンジニア獲得方法として、今後さらに主流になっていくと予想されています。
しかし、SESを利用する場合には、偽装請負の危険性に注意する必要があります。偽装請負とは、業務委託の形をとりながら、実際には派遣と同様に派遣先企業がエンジニアに指揮命令を行うことです。偽装請負は法に触れる可能性があり、重い罰則が科されることもあるため、注意が必要です。
また、特定派遣廃止によるIT業界全体の競争力やイノベーションへの影響も考えられます。まだどの程度の影響が出ているかは明確ではありませんが、一般派遣に一本化されたことで、派遣事業者の質が向上し、派遣労働者の雇用の安定が図られるというメリットがあると考えられます。また、エンジニアの正社員化やSESの活用により、IT人材の流動性や柔軟性が高まり、IT業界の活性化に寄与する可能性もあると考えられるでしょう。
IT業界の人材確保の課題と解決方法
IT業界では、デジタル化やDXの推進に伴って、高度なIT人材の需要が急増しています。しかし、少子高齢化や教育の遅れ、海外流出などの要因で、IT人材の供給が追いついていません。事実、経済産業省の調査によると、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足すると予測されています。
このような状況に対応するためには、IT人材を確保するために、さまざまな手段や方法が必要です。以下に、いくつかの例を挙げます。
社内のIT人材育成体制の構築
既存の社員をIT人材として育成することで、即戦力となる人材を確保できます。また、社内でスキルアップのための環境が整っていることで、新規に採用したいIT人材が魅力的に感じるのもメリットです。
柔軟な働き方の導入・好条件の採用の実施
日本のIT人材は、重労働かつ低賃金という印象が強い傾向にあります。そのため、他社より労働環境が整っていることで、採用がしやすくなるでしょう。
賃金を上げることはもちろんのこと、テレワーク可能・時短勤務可能・副業許可などの柔軟な働き方を導入することにより、採用したいIT人材を引きつけることが可能です。
多様な採用方法の導入
自社で採用する方法のほかにも、外部の会社から客先常駐としてエンジニアに来てもらう方法や、M&AによってIT人材を含む企業を買収する方法などがあります。これらの方法は、自社で採用するよりも短期間でIT人材を確保できるというメリットがありますが、コストや管理面での課題もあります。
優秀な人材の採用にはフリーランスがおすすめ
ここでは採用戦略の選択肢の1つである、フリーランス人材の活用についてご紹介します。
フリーランス人材を活用する企業の増加
フリーランス人材については、働き方改革の影響もあり、近年多くの企業が活用しています。
以下の表は、2019年に経済産業省が行なった調査の結果を示したものです。およそ半分の企業がフリーランスを活用、または検討していることがわかります。
■ 個人事業主・フリーランスとの契約状況
■ 個人事業主・フリーランス活用状況(業種別)
人材を採用する企業にとっては、少子高齢化や人材市場の縮小という背景もあり、今後はフリーランス人材の活用が欠かせなくなるでしょう。
フリーランス活用のメリット
フリーランス人材の活用にはどのようなメリットがあるのかについて、以下の3つを紹介します。
要件 | メリットの詳細 |
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コスト | もっとも大きなメリットがコストの低さです。フリーランスに業務委託することで、正社員のような社会保険や福利厚生などの費用負担がないため、企業は報酬を支払うだけで済みます。浮いた費用を報酬に回すことで、市場価値の高い、優秀な人材を採用できるでしょう。 |
柔軟性 | フリーランスへの業務委託により、自社の条件に合わせた働き方をしてくれるのもメリットです。たとえば、週3日だけ働いてもらったり、リモートで働いてもらうこともできます。 |
スピード感 | 基本的には個人事業主との契約となるので、双方の合意があれば最短で即日稼働も可能です。競合サービスに先行するために1日でも早くサービスをリリースしたい場合などは、大いに役立つでしょう。 |
このようなメリットに魅力を感じたり、自社の弱みを補ってくれる場合は、フリーランスや副業人材の活用を検討してはいかがでしょうか。
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優秀な人材採用におすすめの人材サービス13選
人材サービスの利用には費用がかかるものの、採用活動のサポートサービスが充実しており、困ったことがあれば人材採用に精通した担当者に相談しながら進められます。
また人材サービスを使った採用活動は基本的にオンラインとなるため、採用活動費用の項目が減り、会計処理も簡単になります。
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以下では、採用コストの削減におすすめの人材サービス13選を紹介します。
1. Workship|国内最大級のフリーランスマッチングサービス
▲出典:Workship
「Workship」は国内最大級の登録者数を誇るフリーランスマッチングサービスです。
特徴
- 登録者数:48,500人以上
- 三者間契約のため、安全に業務委託できる
- さまざまな採用手法が利用でき、最短1日で契約した事例もあり
- 人材のスキル/経歴を分析しスコア化
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2. ワークポート|全国規模の対応が持ち味
▲出典:ワークポート
ワークポートは全国の多種多様なネットワークが持ち味のエージェントです。
特徴
- 幅広いネットワークで、全国の多様な業種に対応
- 採用成功まで費用がかからない完全成果報酬型
3. リクルートエージェント|業界最大級の実績
▲出典:リクルートエージェント
リクルートエージェントは各業界に精通したアドバイザーによる手厚い対応が売りのエージェントです。
特徴
- 完全成果報酬型の料金形態
- 業界最大級の登録者数
4. quick AGENT|最短2分で紹介
▲出典:quick AGENT
quick AGENTは、デザイナーとエンジニアに特化した採用媒体です。
案件を公開してデザイナーからの応募を待つこともできますが、案件を登録すると専属のエージェントが適した人材を紹介してくれるので、比較的早めに人材が決まることも特徴です。
タイミングにもよりますが、登録からデザイナー紹介まで最短2分で進むこともあります。今すぐデザイナーを採用したい企業や即戦力を求めている企業に適した採用媒体といえるでしょう。
特徴
- デザイナーとエンジニアに特化している
- 早めに採用まで決まりやすい
5. レバテック|エンジニアとデザイナー特化
▲出典:レバテック
レバテックはエンジニアとデザイナーの採用に特化したエージェントです。
特徴
- 社員、派遣、フリーランス希望者の中からニーズに合わせてご紹介
- エンジニア、デザイナー専門のエージェント
- 採用課題から必要な人材像を整理し、求めるスキルにマッチする人材を推薦
6. ITプロパートナーズ|問い合わせから60分以内に人材紹介
▲出典:ITプロパートナーズ
ITプロパートナーズは迅速かつ丁寧な対応に定評があるエージェントです。
特徴
- 迅速かつ手厚いサポート対応
- 豊富な人材データベース
7. スタンバイ|幅広い雇用形態に対応
▲出典:スタンバイ
スタンバイは日本最大級の人材紹介サービスです。
登録しているエンジニアも多く、スキルや経験を限定して適した人材が選べます。
また、正社員や契約社員、フリーランスなどのさまざまな働き方を希望するエンジニアが登録しているので、企業がどのようなエンジニアを採用したいかによって適する働き方のエンジニアとマッチングできます。勤務地も限定できるので、通勤してもらうエンジニアを探す場合にも活用しやすい採用サイトといえるでしょう。
特徴
- 幅広い雇用形態に対応
- 勤務地を限定できる
8. SOKUDAN|Facebookとの連携で安心
▲出典:SOKUDAN
SOKUDANは面接までの時間が短く、Facebookと連携するなど、信頼性の高いフリーランスマッチングサービスです。
特徴
- 会社の状況にあった料金プランの提案
- 最短当日のマッチング
9. CODEAL|豊富なハイスキル人材
▲出典:CODEAL
CODEALは多くのハイスキルなデザイナーのデータベースをもつフリーランスマッチングサービスです。
特徴
- 豊富な利用実績
- 即戦力人材が多い
10. MOREWORKS|スキルからピンポイント採用
▲出典:MOREWORKS
MOREWORKSは、デジタル・クリエイティブ業界特化型の求人サイトです。
エンジニア、デザイナー、ディレクター、プロデューサーの4つの職種から人材を探せるので、エンジニア以外の人材を採用する際にも活用できます。
特徴
- デジタル/クリエイティブに特化している
- エンジニア以外にもデザイナー、ディレクター、プロデューサーを探せる
- プログラミング言語でエンジニアを指定できる
11. Crowdtech|最短3日で即戦力を契約可能
▲出典:Crowdtech
Crowdtechは、日本最大級のアウトソーシングサービスであるCrowdworksの関連サイトです。
登録しているデザイナーの数も多く、最短3日で即戦力のデザイナーと契約できます。
特徴
- 最短3日で即戦力のデザイナーを採用できる
- 掲載費用がかからないので採用コストを抑えやすい
12. green|カジュアルな転職を可能に
▲出典:green
greenはカジュアルな転職を目指した採用媒体です。
専門の人事担当者がスカウトに介入するので、応募者のスキルや希望する条件とマッチングしやすいのもgreenの特徴です。IT/WEB専門の採用媒体なので、ITエンジニアの登録が多いことも希望に近い人材と出会いやすいポイントです。
特徴
- 応募者と面談することが可能
- 希望条件と応募者のスキルがマッチしやすい
13. Midworks
▲出典:Midworks
Midworksは、IT系のフリーランスエンジニアやデザイナー専門のエージェントサービスです。
フリーランス人材と採用企業の間に立ち、双方のマッチングをサポートします。
特徴
- 企業が登録した技術や要望に合わせた最適な案件を提案
- エンジニアとの契約や交渉事も代行
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