正社員の給料は時給換算するとどれくらい?計算方法や時給換算額の平均・相場をチェックしてみよう
正社員は月給制の雇用形態であるため、通常は時給で考えることはないでしょう。しかし、時給換算することで、適正な給料が支払えているかをチェックすることにつながります。
本記事では、正社員の給料を時給換算する方法や時給換算額の平均、正社員の時給換算額が安いのか高いのかなど、さまざまな観点から解説していきます。
正社員の給料を時給換算する方法
必要な情報が揃っていれば、正社員の月給を時給換算して割り出すことが可能です。時給換算するのに必要な情報をふまえ、具体的な計算方法をみていきましょう。
時給換算するのに必要な情報
時給換算するには、以下のような情報が必要です。
・基本給 ・1日の所定労働時間 ・年間の所定労働日数 ・各手当の金額 |
基本的に、これらの情報は給与明細書や源泉徴収票に記載されています。
一部の手当は時給換算するときに含まない
時給換算に手当を含めるかは「毎月きまって支払われるか」を基準に判断します。時給換算に含めて良いのは、基本給と同じ性質をもつ手当です。含める手当と含めない手当の例は、下記のとおりです。
含める手当 | 含まない手当 |
・役職手当 ・職務手当 ・資格手当 | ・通勤手当 ・家族手当 ・住宅手当 ・子女手当 ・精皆勤手当 ・時間外・休日労働手当 ・深夜勤務手当 ・臨時で発生する賃金(賞与など) |
役職手当や資格手当は固定額が毎月支払われる手当であるため、時給換算の計算に含めて問題ありません。含まない手当は、月毎や状況によって変動したり、臨時的に支払われる特徴があります。
残業や休日出勤、深夜勤務があれば、別途計算するようにしましょう。
手当を含めるかは実態で判断される
企業によって、さまざまな手当を設けているでしょう。時給換算の計算に含めるかは手当の名称ではなく、実態で判断されます。
たとえば、自転車通勤となるため本来は通勤にお金はかかっていない場合でも、毎月固定で2万円の通勤手当が支給されるケースでは、基本給とあわせて計算します。名称が「通勤手当」だとしても、その実態は通勤手当に該当しないため計算に含めるということです。
時給換算の計算方法
月給の時給換算額は「毎月支払われる給料(基本給+諸手当)÷月平均所定労働時間」で計算できます。具体的な計算手順は、下記のとおりです。
① 月給の総額−計算に含めない手当の総額 ② ①で算出した金額×12 ③ ②で算出した金額÷1年間の所定労働日数 ④ ③で算出した金額÷所定労働時間 |
なお、所定労働時間とは労働契約上、毎月働かなければならない平均時間のことです。正社員の場合は8時間が一般的であり、詳細は就業規則で確認できます。
具体的な時給換算の計算例
以下のケースから、実際に正社員の月給を時給換算していきます。
30代・正社員Aさん | |
月給 | 35万円 |
月給の内訳 | 基本給:28万円 職務手当:3万円 家族手当:2万円 通勤手当:1万円 |
年間所定労働日数 | 260日 |
所定労働時間 | 8時間 |
手順に当てはめて計算すると、以下のようになります。
① | 35万円−(家族手当2万円+通勤手当1万円)=32万円 |
② | 32万円×12=384万円 |
③ | 384万円÷260=1万4,769円 |
④ | 1万4,769円÷8=1,846円 |
※小数点以下切り捨て
Aさんの場合、時給換算すると約1,846円です。
ケース別に正社員の給料を時給換算|自社の正社員の時給と比較してみよう
自社の正社員の給料を時給換算してみても、それが高いのか低いのかは判断に迷うポイントです。では、一般的に正社員の給料を時給換算するとどれくらいになるのでしょうか。
ここでは、厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」のデータを元に、さまざまな角度から正社員の給料を時給換算していきます。
なお、賃金構造基本統計調査で公表されている賃金は「所定内給与額の平均」を指します。
所定内給与額は労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給された「きまって支給する現金給与額」のうち、時給換算の計算に含めない手当を差し引いた額です。ただし、所得税等を控除する前の額となります。
また、時給換算したデータは年間労働日数を平均的な「254日」、所定労働時間を「8時間」として計算しています。
年代・男女別
年代と男女別でみた正社員の時給換算額は、以下のとおりです。
男女計 | 男性 | 女性 | |
〜19歳 | 1,139円 | 1,143円 | 1,133円 |
20〜24歳 | 1,351円 | 1,371円 | 1,328円 |
25〜29歳 | 1,557円 | 1,603円 | 1,492円 |
30〜34歳 | 1,737円 | 1,813円 | 1,596円 |
35〜39歳 | 1,931円 | 2,036円 | 1,691円 |
40〜44歳 | 2,094円 | 2,245円 | 1,752円 |
45〜49歳 | 2,209円 | 2,400円 | 1,798円 |
50〜54歳 | 2,329円 | 2,529円 | 1,861円 |
55〜59歳 | 2,391円 | 2,603円 | 1,862円 |
60〜64歳 | 2,063円 | 2,199円 | 1,715円 |
65〜69歳 | 1,847円 | 1,959円 | 1,533円 |
年齢とともに給料が上がるにつれて、時給換算額も上がっています。男性と女性は20代後半から差が目立ち始め、30代以降はその差も大きくなっていることがわかります。
企業規模別
大企業 | 中企業 | 小企業 |
2,229円 | 1,933円 | 1,793円 |
企業規模別で見ると、大企業が圧倒的に時給換算額が高く、小企業との差は436円です。1日8時間労働として単純計算すると、1日の給与差はおよそ3,500円にもなります。
なお、ここでの企業規模は下記基準から区分しています。
大企業 | 常用労働者1,000人以上 |
中企業 | 常用労働者100~999人 |
小企業 | 常用労働者10~99人 |
役職別
給料は役職によっても変わり、一般的には部長・課長・係長の順に給料が高くなります。役職別にみた時給換算額は、以下のとおりです。
男女計 | 男性 | 女性 | |
部長 | 3,520円 | 3,568円 | 3,077円 |
課長 | 2,898円 | 2,957円 | 2,544円 |
係長 | 2,190円 | 2,258円 | 1,984円 |
非役職者 | 1,719円 | 1,842円 | 1,537円 |
部長になると時給換算額は3,000円を上回ります。ここでも性別によって差がみられ、一般的には男性の方が時給換算額が高くなっています。
産業別
産業別にみた時給換算額は、以下のとおりです。
鉱業,採石業,砂利採取業 | 2,183円 |
建設業 | 2,089円 |
製造業 | 1,918円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 2,488円 |
情報通信業 | 2,293円 |
運輸業,郵便業 | 1,798円 |
卸売業,小売業 | 2,026円 |
金融業,保険業 | 2,381円 |
不動産業,物品賃貸業 | 2,121円 |
学術研究,専門・技術サービス業 | 2,385円 |
宿泊業,飲食サービス業 | 1,678円 |
生活関連サービス業,娯楽業 | 1,812円 |
教育,学習支援業 | 2,322円 |
医療,福祉 | 1,817円 |
複合サービス事業 | 1,967円 |
サービス業 (他に分類されないもの) | 1,858円 |
もっとも時給換算額が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で2,488円、もっとも低いのは「宿泊業、飲食サービス業」で1,678円でした。
医療は医師が含まれるため一般的には時給換算額が高くなるはずですが、「医療、福祉」の括りで介護職などが含まれることから、時給換算額は2,000円を下回っています。
同じ産業でも職種や役職によって、時給換算額の差は大きいでしょう。
正社員の給料は時給換算すると安いのか
正社員は月給制であるため、一般的には時給で考えられることはありません。しかし、1時間の仕事量やパフォーマンスを考えると、その時給は安いのか高いのかは気になるポイントでしょう。
ここでは、最低賃金や時給制の短時間労働者の賃金とあわせて、正社員の給料について考えていきます。
最低賃金と正社員の時給換算額
日本では、地域ごとに最低賃金が定められています。下記で、最低賃金と正社員の時給換算額を一覧で比較していきます。
最低賃金 | 正社員の時給換算額 | 最低賃金 | 正社員の時給換算額 | ||
北海道 | 1,010円 | 1,704円 | 滋賀 | 1,017円 | 1,789円 |
青森 | 953円 | 1,476円 | 京都 | 1,058円 | 1,866円 |
岩手 | 952円 | 1,533円 | 大阪 | 1,114円 | 2,008円 |
宮城 | 973円 | 1,706円 | 兵庫 | 1,052円 | 1,871円 |
秋田 | 951円 | 1,544円 | 奈良 | 986円 | 1,784円 |
山形 | 955円 | 1,51円1 | 和歌山 | 980円 | 1,760円 |
福島 | 95円5 | 1,650円 | 鳥取 | 957円 | 1,525円 |
茨城 | 1,00円5 | 1,842円 | 島根 | 962円 | 1,587円 |
栃木 | 1,004円 | 1,90円 | 岡山 | 982円 | 1,717円 |
群馬 | 985円 | 1,752円 | 広島 | 1,020円 | 1,753円 |
埼玉 | 1,078円 | 1,873円 | 山口 | 979円 | 1,713円 |
千葉 | 1,076円 | 1,828円 | 徳島 | 980円 | 1,602円 |
東京 | 1,163円 | 2,176円 | 香川 | 970円 | 1,650円 |
神奈川 | 1,162円 | 2,069円 | 愛媛 | 956円 | 1,651円 |
新潟 | 985円 | 1,596円 | 高知 | 952円 | 1,612円 |
富山 | 998円 | 1,736円 | 福岡 | 992円 | 1,756円 |
石川 | 984円 | 1,715円 | 佐賀 | 956円 | 1,591円 |
福井 | 984円 | 1,685円 | 長崎 | 953円 | 1,519円 |
山梨 | 988円 | 1,726円 | 熊本 | 952円 | 1,589円 |
長野 | 998円 | 1,699円 | 大分 | 954円 | 1,603円 |
岐阜 | 1,001円 | 1,727円 | 宮崎 | 952円 | 1,502円 |
静岡 | 1,034円 | 1,803円 | 鹿児島 | 953円 | 1,584円 |
愛知 | 1,077円 | 1,900円 | 沖縄 | 952円 | 1,567円 |
三重 | 1,023円 | 1,800円 |
最低賃金と正社員の時給換算額の差は、600〜1,000円ほどです。首都圏・都市部の最低賃金が高い傾向にあるのと同じで、正社員の時給換算額も首都圏・都市部では2,000円ほどとなります。
正社員の月給の時給換算額が最低賃金を下回るのは違法
正社員の時給換算額が最低賃金を下回ると、最低賃金法・労働基準法の違反となります。労働基準法第28条では、雇用者は労働者に対して最低賃金以上の賃金を支払わなければならないことが定められています。
正社員は月給制となるため最低賃金が関係ないと思われがちですが、時給換算額が最低賃金を下回っていなかをチェックすることが必要です。
正社員の給料を時給換算した際にチェックすべきポイント
正社員の給料を時給換算することは、労働基準法を適切に守れているか、従業員の労働環境に問題ないかを確認することにもつながります。そのためにも、以下のようなポイントをチェックしてみましょう。
1.時給換算額が平均を下回っていないか
年齢や役職、業種などに応じて、給料にはだいたいの相場があります。年齢別でいえば、20代正社員は1,300〜1,500円台、30台正社員は1,700〜1,900円台が平均的な時給換算額です。
地域によっても差はありますが、自社の正社員の時給換算額が最低賃金だけでなく、平均を下回っていないかもチェックしましょう。
2.残業代が影響していないか
年収や月給が高くとも、時給換算すると平均を下回ったり、最低賃金に近かったりする場合は、残業が多い可能性が考えられます。時給換算の計算には残業代以外にも除外する手当がありますが、その中でも残業代の割合が大きい場合も多いでしょう。
本来は所定労働時間内で働くことが求められるため、時給換算額があまりにも低い場合には労働環境の見直しが必要です。
まとめ
正社員の給料を時給換算して考えることは通常ありませんが、時給換算することで従業員の業務量やパフォーマンスが見合っているか、平均的な給料が出せているかなどを確認できます。
基本的には月給などからその点を判断して問題ありませんが、残業が多く、最低賃金を下回っていると労働基準法違反となる可能性もあります。今回ご紹介したさまざまなデータを参考に、時給面からも自社の正社員の給与が適正かを確認してみましょう。
多様な働きかたを実現するには登録無料の『Workship』がおすすめ
採用活動をスムーズに進めていき、高いマッチング率を実現できるようにするには母集団形成に力を注ぐのが大切です。
自社にもともと興味を持っていて共感を抱いている母集団ができれば目的に応じた適材を最小限の採用コストで獲得できるようになります。
SNSを利用する方法や転職エージェントに依頼する方法もありますが、おすすめなのはフリーランスの起用です。『Workship』では、優秀な人材を紹介・マッチングするだけでなく、煩雑な業務委託契約に関する手続きをすべて代行いたします。
できるだけ早く優秀な人材を探してすぐにでも業務委託を進めたい。また社内のリソースが足りず、手続きや契約内容のすり合わせに時間が取れないといった場合は、安心してWorkshipにお任せください。
人材マッチングと契約手続きのプロが、責任を持って対応いたします。そして正社員の保有リスクを持たずに、優秀な人材を採用できます。
Workshipには、現在マーケターやディレクター、エンジニア、デザイナーなどおよそ47,100人以上の優秀な人材が登録されています。
人材の質や、自社ツールを使った管理のしやすさが好評で、朝日新聞社やChatwork株式会社など、これまでに累計1,000社以上にご活用いただいています。
Workshipのサービスの特徴を簡単にお伝えします。
アカウント登録が無料!
Workshipはアカウント登録料無料で、次のさまざまな機能をご利用いただけます。
・ニーズに合わせたマッチ度の高い候補者を随時提案
・スカウト機能
・フリーランス検索
・求人掲載は無制限
・無制限のメッセージ機能で候補者と直接交渉が可能
・オンライン面談
・求人作成代行
・オンラインサポート
・印紙代不要の電子契約
・正社員転換契約
・賠償責任保険が自動で適用
・稼働管理
※自動で費用が発生することはありません。
※料金はユーザーとの成約が完了した時点で発生します。
また、ご利用いただく中でお困りのことがあれば、随時丁寧にサポートいたします。
三者間契約でインボイス制度の不安がない
フリーランスを活用する上で、採用担当者様の工数負担が大きいのが、契約書の取り交わしです。Workshipでは成約時に企業 ⇄ Workship ⇄ フリーランスの三者間契約を締結し、その契約手続きを代行します。クライアント企業となるお客様の契約先はWorkshipとの契約となるため、フリーランス活用でネックとなるインボイス制度への対応も問題ありません。また、毎月の請求処理も代行して行ないます。
Workshipで稼働と進捗管理も安心
成約後のフリーランスの稼働管理も、Workshipの管理画面内から行なえます。管理画面ページを閲覧するだけで、稼働時間や業務の進捗など定期チェックもしやすくなります。
成約まで費用は発生しません!成約後も14日間の返金保証アリ!
Workshipでは、外部のフリーランスを活用し始めるまでは月額費用がかかりません。そのため、自社にマッチする人材をじっくりと見定められます。また、成約後であっても14日間は返金保証があり、ミスマッチを起こす可能性が低くなります。
▼以下では、Workshipのサービス資料を無料でダウンロードできます。ぜひ貴社の採用活動にお役立てください。
【導入事例はこちら】