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企業が契約社員を雇うメリットとは?正社員との違いや雇用時の注意点などを解説

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契約社員は、雇用期間に定めのある社員のことです。多様な雇用形態の従業員を採用する傾向が高まる中、契約社員の雇用を検討している企業も少なくないでしょう。さまざまな雇用形態がある中、契約社員を雇うメリットは気になるポイントです。

本記事では、契約社員と正社員の違いをふまえ、企業が契約社員を雇うメリットや注意点などを解説します。

契約社員とは

契約社員とは、労働契約期間に定めのある有期雇用の社員のこと。労働基準法での扱いは有期雇用社員となり、企業によって「限定社員」「準社員」「嘱託社員」など契約社員の呼び方はさまざまです。

契約期間の最長は3年となり、契約更新しない場合は自動的に契約終了します。引き続き働いてもらうには、契約更新が必要です。

派遣とは何が違う?

派遣も契約社員と同じ有期雇用社員ですが、大きな違いは雇用元です。契約社員の雇用元は企業であり、企業が直接採用しています。一方、派遣の雇用元は派遣会社です。

契約社員と正社員の違い

契約社員を採用・雇用するにあたって、正社員との違いを押さえておくこともポイントです。違いを詳しくみていきましょう。

雇用期間

正社員には雇用期間の定めがなく、定年や自主退職、解雇がない限りは雇い続けます。一方、契約社員は雇用期間に最長3年の定めがあり、企業と労働者の合意のもと、3年以内で自由に雇用期間を決められます。

契約を更新するかは企業と契約社員の意思に委ねられます。たとえ労働者に契約更新の意思があっても、企業にないと契約更新はおこなわれません。

仕事内容

契約社員は、契約内容で定められた業務以外をおこなうことは基本的になく、それ以外の業務を任せると契約違反となります。ただし、契約更新時に仕事内容を見直すことは可能です。

また、正社員には配置転換や昇進・昇格のような機会がありますが、契約社員は契約期間や仕事内容が限定されているため、そういった機会はありません。契約が更新されていても、契約社員が昇進するケースは少ないでしょう。

給料・ボーナス

正社員は基本的に月給制となり、そこに各種手当や残業代がプラスされます。国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均給与は530万円でした。ボーナスの有無は企業によって異なりますが、ボーナス制度がある場合には年1〜2回支給されます。

一方、契約社員の給与形態はさまざまです。東京都産業労働局「令和5年度 契約社員に関する実態調査」によると、もっとも多い給与形態は月給であり、ついで時給、日給でした。

また、10月に支払われた給与額は「20万円以上30万円未満」の割合がもっとも多く、年収見込額は「300万円以上400万円未満」がもっとも多い結果となりました。割合は少ないですが、正社員の平均給与と同水準、あるいはそれ以上の給与をもらっている契約社員も存在します。

なお、ボーナスについては、「ある」の回答が66%、「ない」が25.6%でした。ボーナスをもらっている人の割合の方が多く、支給額は「20万円以上40万円未満」がボリュームゾーンです。

社会保険

正社員は健康保険、厚生年金保険、雇用保険の社会保険の加入が必須です。契約社員は条件を満たす場合に加入対象となり、正社員と同じ労働条件であれば加入が必要です。

 

社会保険の種類

加入条件

健康保険

・週の労働時間が20時間以上

・給与が月額88,000円以上

・契約期間が2ヶ月を超えている

厚生年金保険

雇用保険

・週の労働時間が20時間以上

・31日以上の雇用を見込む


東京都産業労働局「令和5年度 契約社員に関する実態調査」によると、契約社員の社会保険の加入割合は以下のとおりでした。

 

社会保険の種類

加入している人の割合

健康保険

94.9%

厚生年金

90.2%

雇用保険

93.0%


基本的に契約社員は社会保険に加入すると考えて良いでしょう。

福利厚生

社会保険の加入のような法定福利厚生は、正社員も契約社員も平等に受けられます。一方、企業が独自に導入する法定外福利厚生は、正社員に限定されている場合もあります。

しかし、契約社員に正社員と同じ仕事・責任を課す場合には、「同一労働同一賃金」のもと福利厚生を適用させなければなりません。同一労働同一賃金は、福利厚生だけでなく、給料やボーナス、各種手当や退職金などあらゆる待遇に適用されます。

契約社員を雇用するメリット

企業が契約社員を雇用する主なメリットには、下記が挙げられます。

・雇用調整しやすい

・人件費を抑えられる

・専門スキルを持つ人材を確保できる

メリットを詳しくみていきましょう。

雇用調整しやすい

契約社員は契約期間に定めがあるため、雇用調整しやすい点が企業側の大きなメリットです。繁忙期や新規事業の立ち上げなどに伴い、臨時的・一時的に雇用することも可能です。

契約社員を雇用することで正社員がコア業務に集中できる環境を整えたり、現場のリソース不足を解消できたりします。

人件費を抑えられる

正社員と同じ範囲の業務や責任を課さないのであれば、正社員より少ない給料での雇用が可能です。ボーナスや福利厚生の面でもコストを削減できるでしょう。また、労働契約を更新しないことで、その分の人件費を柔軟に調整できます。

専門スキルを持つ人材を確保できる

フルタイム勤務が難しい人の中にも、能力が高い人は存在します。契約社員として雇用することで、専門スキルを持つ人材を確保することにもつながるでしょう。契約社員は他社で多くの経験を積んでいるため、即戦力に期待できます。

正社員登用制度があり、本人に意思があれば正社員への転換も可能です。契約社員として働いてもらう期間で実際の仕事ぶりや人柄などを見極められ、ミスマッチが少ない採用を実現できます。さらに、一から採用するよりも、採用コストや育成コストがかからない点もメリットです。

契約社員を雇用するデメリット

一方で、契約社員の雇用には以下のようなデメリットもあります。

・契約期間中は解雇できない

・仕事内容が限定される

・契約社員の入れ替わりによる現場の負担が発生する

契約期間中は解雇できない

能力やスキルが不足しているなどの理由があっても、契約期間中は解雇できません。法律で厳しく制限されているため、契約期間中の解雇は正社員の解雇よりも難しいでしょう。そうならないためには、採用する契約社員の見極めが重要です。

反対に、優秀な契約社員がいて契約を更新したいといった場合、契約社員側に更新の意思がないと引き続き雇用することは難しくなります。

仕事内容が限定される

待遇を同じにすれば、正社員と同じ範囲の仕事や責任のある仕事を任せられます。しかし、契約期間が決まっているため、長期スパンでの業務を任せることは難しいでしょう。契約更新を視野に入れて任せることはできても、契約が更新できるかは確実ではない点で仕事内容が限定されてしまいます。

契約社員の入れ替わりによる現場の負担が発生する

契約期間終了後、更新しない場合はその分のリソースを確保する必要があります。契約が終了する社員の業務の引き継ぎが発生したり、新たに人材を雇った場合には教育も必要です。契約期間は最長3年であり、更新がない場合は最大で3年ごとに一から指導・教育が必要となってしまいます。

契約社員を雇用する際の注意点

契約社員を雇用する際は、以下ポイントに注意が必要です。

・契約期間は3年が上限

・雇い止めには一定の制限が設けられている

・雇用期間が通算5年を超えた場合には無期労働契約への転換が必要

トラブルにならないためにも、しっかりと確認しておきましょう。

契約期間は3年が上限

労働基準法では、有期雇用契約の契約期間の上限を3年と定めています。ただし、契約更新を挟み、契約期間の通算が3年以上となるのは問題ありません。

なお、厚生労働大臣が定める高度な専門知識を有する下記のような職種は、最長5年の契約期間が認められています。

・公認会計士

・システムエンジニア

・医師

・一級建築士

・不動産鑑定士 など

雇用期間の下限はありませんが、極端に短い契約期間にすることは労働契約法で禁止されています。

雇い止めには一定の制限が設けられている

契約更新せず、契約期間満了で終了することを「雇い止め」といいます。契約に定められている期間での終了であるため、解雇とは異なります。しかし、この雇い止めにも一定の制限が設けられている点に注意が必要です。

以下のようなケースでは、一方的な更新停止ができない仕組みになっています。

・これまで3回以上雇用契約が更新されている

・1年を超えて継続して勤務している

上記のような契約社員を雇い止めする場合、契約期間終了の30日前までに予告しなければなりません。また、労働契約法第19条にて、労働実態が正社員と変わらない場合や契約社員が雇用継続を期待することが合理的であるといえる場合は、客観的・合理的な理由なしに雇い止めできないことが定められています。

雇用期間が通算5年を超えた場合には無期労働契約への転換が必要

契約更新を重ね、雇用期間が通算5年を超えた場合は、働契約法第18条にもとづき無期転換ルールが適用されます。

無期転換ルールは、企業側の雇用安定と有機契約労働者の雇い止めへの不安解消を目的とした制度であり、2013年4月より施行されています。

無期転換ルールが適用される要件は、以下のとおりです。

・契約期間が通算5年を超えている

・契約を1回以上更新している

・現時点で、同一の企業と契約している

無期転換ルールは、契約社員の申し出によって適用され、企業はそれを断れません。

たとえば、雇用期間3年で契約した契約社員と同じ条件で2回目の契約更新を行った場合、契約更新後に5年を超えます。無期転換の申込権が発生するため、企業側はその旨を契約社員に伝える義務があります。

ただし、年収1,075万円以上であったり、医師やシステムエンジニアなど高度専門職の契約社員や定年後の雇用継続者には、無期転換ルールは適用されません。

契約社員の正社員化で助成金が受け取れる

契約社員のような有期雇用労働者を正社員化した場合、キャリアアップ助成金の支給対象となります。助成額は、以下のとおりです。

  

正社員化前の雇用形態

有期雇用労働者

無期雇用労働者

中小企業

80万円(40万円×2期)

40万円(20万円×2期)

大企業

60万円(30万円×2期)

30万円(15万円×2期)

※1事業所あたりの支給申請上限人数20人

雇用期間が通算5年を超えた契約社員は、転換前の雇用形態が無期雇用とみなされる点に注意しましょう。

まとめ

契約社員を雇用するメリットは、雇用調整のしやすさや人件費などのコスト面にあります。繁忙期や新規事業の立ち上げなどで一時的に人員がほしいといった場合、契約社員が最適です。しかし、企業が引き続き契約したい優秀な人材がいたとしても、契約社員側に契約継続の意思がなければ人員を失うことになります。

メリット・デメリットや雇用時の注意点などを押さえた上で、契約社員を雇用するか検討しましょう。

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