業務委託は雇用保険の加入義務がある?ない?企業が知るべき業務委託と雇用の違いやリスク管理を解説
「業務委託に雇用保険って必要なんだろうか」と考えていませんか。原則として業務委託契約は雇用ではないため、雇用保険の加入義務はありません。しかし、契約書上は業務委託であっても、実態が指揮命令下での勤務に近い場合は労働者性が強いと判断され、雇用保険の加入義務が発生する場合があります。偽装請負と認識されると、行政指導や是正対応を受けることがあるため注意が必要です。
そこで本記事では、業務委託と雇用契約の違いや、雇用と疑われる具体的なケース、企業側が取るべきリスク管理のポイントなどを整理して解説します。また、業務委託者からよく聞かれる雇用に関する質問への回答例も紹介。企業が安心して業務委託を進められるよう、実務視点でまとめました。ぜひ最後までご覧ください。
業務委託は雇用保険への加入義務がある?ない?
雇用保険は、企業と労働者のあいだに雇用関係がある場合に適用されます。業務委託契約は雇用ではなく、業務を外部に委託する契約形態のことです。そのため業務委託の場合は、原則として雇用保険への加入義務はありません。フリーランスといった業務委託先は、企業に雇用される従業員ではなく、独立した個人事業主として扱われます。社会保険や雇用保険は企業側で加入せず、本人が国民健康保険や国民年金などに加入する形です。
発注側の企業が制度面として把握しておきたい点は、2024年(令和6年)からフリーランスも一定の条件下で労災保険の対象となった点です。これは、働き方の多様化を背景に整備されたもので、業務中のケガや病気などに対して補償を受けられるものとなります。業務委託を進める企業は、今後もこうした新たな条件の追加や法令に注目しておきましょう。
参考:厚生労働省-令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました
業務委託契約と雇用契約の違い
業務委託契約と雇用契約の違いは、以下の通りです。
業務委託契約の場合、受託者は企業の指揮命令下に入らず、業務の進め方や時間配分を自らの裁量で決定します。会計・税務上での項目は外注費とし、委託内容や期間などに応じて契約を進めていく流れです。
一方、雇用契約とは、企業が労働者を雇い、指揮命令のもとで労働に従事してもらう契約のことです。労働者は、以下のような条件を満たせば雇用保険の加入対象となります。
出典:厚生労働省-雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!
これらの条件を満たす人材を雇用する場合、企業は雇用保険への加入手続き義務が発生します。その際、事業主はハローワークへ被保険者資格取得を届け出る必要があります。この届出がないと、労働者が失業した際に給付を受けられないということがあるため、きちんと対応しましょう。
フリーランス(業務委託)と正社員(雇用契約)の違い
フリーランスと正社員では、適用される社会保険、労働保険の仕組みが異なります。企業側が制度を正しく理解していないと、誤った説明や法的リスクにつながる可能性があるため注意が必要です。以下の表では、両者の主な違いを保険の観点から整理しました。
このように、フリーランスは「自分で加入・自己負担」が基本であるのに対し、正社員は「企業が加入手続きを行い、保険料を折半負担する」点が大きな違いです。
業務委託を進める際に知っておきたい発注側のリスク管理
注意すべきは、契約書上は業務委託だとしても、実態が雇用に近い場合は労働者と判断される可能性がある点です。たとえば、「勤務時間を厳格に管理している」「業務内容を細かく指示している」といった勤務を強いると労働者性が疑われ、雇用とみなされることがあります。
これは「偽装請負」と呼ばれており、該当すれば、雇用保険への加入義務が生じる可能性があり注意が必要です。業務委託で勤務の実態が雇用に近いと、以下のようなリスクが懸念されます。
引用:TRY-Partners社会保険労務士事務所 - 業務委託に潜む落とし穴「偽装請負」~副業・フリーランス活用で“労務トラブル”に陥る会社の共通点とは?
そのため発注側には、指揮命令関係を生じさせない体制づくりと、継続的な運用管理が求められます。具体的には、定期的な運用チェックの実施や、業務委託に関する社内ガイドラインの整備などが有効です。現場任せにせず、人事・法務を含めた共通ルールを明確にしておくことが重要です。
特に、時給制で業務を依頼するケース(準委任契約など)は、働き方が雇用に近づきやすく、偽装請負と判断されるリスクが高まります。そのため、成果物の定義や業務範囲をあらかじめ明文化し、「どこまでが委託業務なのか」を明確にしておきましょう。現場と人事・法務の間で共通認識を持ち、業務内容や指示系統を可視化しておくことが、雇用リスクを未然に防ぐポイントです。
関連記事:偽装請負の判断基準とは?罰則の事例や業務委託の問題点を徹底解説
業務委託でも雇用が疑われるケース
ここでは、業務委託でも雇用が疑われる4つのケースを紹介します。(参考:厚生労働省-「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」を労働基準監督署に設置します )
ケース1. 実際の勤務体制が指揮命令下となっている
業務委託契約であっても、実際の働き方が企業の指揮命令下にあると判断される場合、雇用とみなされる可能性があります。たとえば、以下のような勤務スタイルとなっている場合は注意が必要です。
本来、業務委託は成果物や業務遂行そのものを委ねる契約であり、働く時間や手段は受託者の裁量に委ねるのが原則です。仮に社員と同様の管理をしていると雇用契約と判断され、さまざまな問題へと発展するリスクが高まるため注意が必要です。
ケース2. 他社との取引が実質的に制限されている
業務委託は、独立した事業者として業務を受託する契約形態です。そのため受託者は、複数の企業と自由に取引できることが前提となります。しかし、実態として以下のような勤務となっていると、経済的従属性が強いと判断されることがあります。
特に、合理的な理由のない競業禁止や、過度な専属の要求は、実質的に雇用とみなされます。業務委託契約を締結する際は、独立性・裁量性が確保されているかを確認し、過度に専属性を求める運用になっていないかを確認しましょう。
ケース3. 代替性が低い
業務委託であっても、「その人でなければならない」という状態は、雇用と判断されるリスクが高まります。たとえば、以下のような状況は代替性が低いと判断されやすいです。
本来、業務委託は成果や業務の遂行を委ねる契約であり、誰が行うかについて一定の裁量があるのが原則です。にもかかわらず、実質的に特定の人へ専属的に依頼している場合は、労働者性が高いと判断される可能性があります。
特に創業して間もない企業の場合、社員数が少ないため、多くの業務をフリーランスといった外部人材に任せてしまいそうになるでしょう。重要なのは「その人がいなくても業務が回せる設計になっているか」という視点です。「再委託や代理対応の可否を明確にする」「ドキュメントを整備する」といった対応をとり、属人化を防ぎましょう。
ケース4. 社員と同様の扱いをしている
業務委託契約であっても、実態として社員と同様の管理を行っている場合、雇用と判断されるリスクが高まります。たとえば以下のような行為は、労働者性を強めます。
本来、業務委託は業務の成果や遂行を委ねる契約であり、企業が人事権を行使する関係ではありません。実態として勤務態度の評価や処分を行っている場合は、雇用と見なされる可能性があるため注意が必要です。
フリーランス・副業人材に業務委託する場合の注意点
一言に「フリーランス」といっても、その働き方は多様です。たとえば、専業の「独立系フリーランス」と、本業を持つ「副業系フリーランス」は、立場や前提条件が異なります。以下の図のように、業務形態によって適用法や、社会保険制度が異なるため注意が必要です。
出典:フリーランス協会 - フリーランス独立・副業の手引き/確定申告や取り巻く法制度
独立系フリーランスは経営者、個人事業主、すきまワーカーなどに分類され、特定の企業と雇用関係を持ちません。たとえば経営者は法人を設立し法人名義で契約することが多く、個人事業主は自ら案件を獲得して継続的に業務委託で働きます。すきまワーカーは空き時間に単発業務を請け負う形です。いずれも雇用契約ではなく、社会保険や税務は自己管理となり、確定申告が必要です。
一方、副業・兼業ワーカーは本業の勤務先と雇用契約を結んでおり、一定の所定労働時間を満たしていれば、原則としてその企業で雇用保険に加入しています。また、複数の企業と雇用契約を結ぶケースでは「原則的に主たる職場1社でのみ加入※1」「65歳以上の労働者は複数事業所の労働時間を通算して適用する※2」といった要点を押させておくことが重要です。
※1出典:日本年金機構-複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き / ※2出典:65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します
業務委託の募集で「社会保険完備」と記載する企業側の意図
時々、業務委託の募集要項に「社会保険完備」と記載している場合があります。原則として業務委託は雇用契約ではないため、企業が社会保険に加入させる立場にはありません。
この内容を記載する企業の意図として多いのは、「応募者を広く集めたい」「長期的・安定的に関わってほしい」などがあります。他にも、正社員採用と業務委託募集を同時に行っている場合、求人テンプレートをそのまま流用していることも考えられます。
一見すると応募者が集まりやすそうな表現ですが、あいまいな記載をするとフリーランス新法における「誤解を招く表示」や、「取引条件の明示義務違反」に該当する恐れがあるため注意が必要です。(出典:2025年公正取引委員会フリーランス法特設サイト)募集要項では、契約形態や保険の取り扱いを正確に記載することを推奨します。
【企業向け】業務委託で雇用保険のリスクを避けるチェックリスト
法的リスクを回避するためにも、以下のようなセルフチェックで業務委託の実態を観察しましょう。
- 勤務時間・場所を企業側が細かく指定していないか?
- 業務の進め方まで具体的に指示していないか?(成果ではなくプロセス管理になっていないか?)
- 他社案件を実質的に制限していないか?
- 代理・再委託を一律に禁止していないか?
- 社員と同様の人事評価・懲戒・就業規則を適用していないか?
- 業務が過度に属人化し、代替が困難になっていないか?
社内浸透のポイントは、「資料化して終わり」にしないことです。人事・法務主導でガイドラインとして明文化し、管理職研修に組み込みましょう。
また、業務委託契約の締結時にチェックリスト確認を必須化し、稟議時にセルフチェックを提出させる運用にすると定着しやすくなります。さらに定期的な運用レビューを行い、実態との乖離を点検することも重要です。
業務委託者から聞かれやすい「雇用」に関する質問とその回答例
ここでは、業務委託者から聞かれやすい「雇用」に関する質問とその回答例を紹介します。
Q.失業手当はどうなりますか?
失業手当とは、雇用保険に加入していた労働者が、離職後に一定の要件を満たした場合に支給される制度のことです。そのため業務委託契約のみで働いている場合、原則として失業手当の対象にはなりません。
なお、雇用契約で働いていた人が離職後に事業を開始した場合、事業開始や準備に専念した期間を受給期間に換算しない特例が設けられ、最大3年間の延長申請が可能となりました。(出典:厚生労働省-Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)そのため失業手当について問われた場合は、以下のように回答するといいでしょう。
■ 回答例
今回の契約は雇用契約ではなく業務委託契約となりますので、雇用保険への加入はございません。そのため、契約終了時に失業手当(雇用保険の基本手当)の支給対象とはならない点をご理解いただけますと幸いです。なお、雇用契約で離職された後に独立される場合には、受給期間の特例制度もございますので、詳細は管轄のハローワークへご確認ください。
Q.被保険者証は配布されますか?
雇用保険の被保険者証は、企業と雇用契約を結び、雇用保険に加入した労働者に対して発行されるものです。業務委託契約は雇用ではなく、受託者は独立した事業者(個人事業主)として扱われるため、企業側で雇用保険の加入手続きや、雇用保険に紐づく被保険者証の発行・配布はされません。
企業側としては、「契約形態が雇用ではないこと」と「雇用保険の適用がないこと」を、あらかじめ明確に伝えておくとトラブル防止につながります。
■回答例
本契約は雇用契約ではなく業務委託契約となるため、雇用保険への加入手続きはございません。そのため、雇用保険の被保険者証の発行・配布も行っておりません。制度面についてご不明な点がございましたら、遠慮なくお知らせください。
Q.再就職手当はもらえますか?
再就職手当とは、雇用保険の基本手当を受給できる人が、所定給付日数を一定以上残して早期就職した場合に支給される制度のことです。業務委託契約は雇用契約ではないため、原則として再就職手当の対象ではありません。
ただし、個人事業主として開業する場合、要件を満たせば再就職手当の対象となる場合もあります。たとえば「7日間の待期期間満了後に事業を開始したこと」や、「過去3年以内で再就職手当を受けたことがない」などの条件をクリアする必要があります。発注側となる企業は、その旨を反映させつつ、以下のように簡潔に説明することをおすすめします。
(参考:ハローワークインターネットサービス - 就職促進給付)
■ 回答例
今回の契約は雇用契約ではなく業務委託契約となります。そのため、雇用保険を前提とした再就職手当の対象には原則該当しません。独立開業の場合は要件を満たせば対象となる可能性もありますので、制度の詳細につきましては最寄りのハローワークへご確認ください。業務委託契約の形態については丁寧にご説明いたします。
関連記事:業務委託先の社会保険料は誰が払うの?外注のメリットやデメリットを企業向けに解説
業務委託を安全に進めたい企業にWorkshipが選ばれている3つの理由
『Workship(ワークシップ)』は、フリーランス・副業人材とのマッチングに特化したプラットフォームです。契約形態・リスク管理・運用までを見据えた仕組みとなっており、多くの企業が活用しています。ここでは、業務委託を安全に進めたい企業に、Workshipが選ばれている理由を解説します。
1.企業・Workship・フリーランスの三者間契約だから
業務委託を企業とフリーランスの直接契約で進める場合、契約書の整備や支払い管理、トラブル時の対応などをすべて自社で担う必要があります。その結果、契約不備や認識のズレが生じ、思わぬ法的リスクにつながるケースも存在します。
Workshipでは、企業・Workship・フリーランスの三者間契約を採用しているため、契約や報酬のやり取り、各種手続きが整理された形で進みます。間にプラットフォームが入ることで、契約条件の透明性が高まり、トラブルの未然防止につながります。
また、当事者間だけでは判断が難しい問題が発生した場合も、第三者としての立場から調整・サポートが可能です。こうした仕組みによって、企業はリスクを抑えながら安心してフリーランス活用を進められます。
2.賠償責任保険が適用されるから
業務委託では、成果物の不具合や情報漏えい、業務上の過失などが発生した場合、損害賠償問題に発展するリスクがあります。特にフリーランスとの直接契約では、万が一のトラブル時に「誰がどこまで責任を負うのか」が不明瞭になり、企業側が想定外の負担を背負うケースも少なくありません。
Workshipでは、一定の条件のもとで賠償責任保険が適用される仕組みが整っているため、業務遂行中の事故やトラブルに備えられます。これにより、企業はリスクを最小限に抑えながらフリーランスに業務を委託できます。
3.専任の担当者が候補者を随時提案するから
業務委託を進めるうえで、「適任者を探す時間がない」「自社に合った人材とすぐに出会いたい」といった企業も多いでしょう。
Workshipでは、専任のカスタマーサクセスが貴社の条件にあった候補者を随時提案しています。「雇用リスクを避けながら、即戦力人材を活用したい」という企業に、安心して導入できるサービスとして選ばれています。
業務委託の雇用リスクに悩んだら、まずはWorkshipにご相談ください!
業務委託は、社会保険や法令などへの理解が不十分なまま進めると、思わぬトラブルや遡及対応につながる可能性があります。「指揮命令関係が発生していないか」「副業人材の就業状況に配慮できているか」といった観点を押さえ、法的リスクを回避していきましょう。
フリーランス専門のマッチングサービスの『Workship(ワークシップ)』は、現在、約60,000人以上の優秀な人材が登録。三者間契約の仕組みや賠償責任保険の適用、専任担当者による人材紹介など、企業が安心して業務委託ができる環境を整えています。

「雇用リスクを避けながら、優秀なフリーランス・副業人材に仕事を依頼したい」とお考えの企業様は、ぜひ一度Workshipへご相談ください。貴社に合った最適な人材をご紹介いたします。

以下の動画では、Workshipの概要が3分程度でわかります。ぜひお気軽にご視聴ください。
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