営業代行の業務委託契約書の作り方|報酬形態別の種類とテンプレート、記載内容、印紙税などのポイントを解説
企業にとって非常に重要な業務である営業職ですが、近年の人手不足の影響により、営業人材が足りない企業が増えています。
そこで活用したいのが「営業代行」です。営業代行への業務委託には「営業代行会社」と「フリーランスの営業代行人材」のどちらかを選んで契約するのが一般的です。
営業代行では顧客リストなどの秘密事項を扱うため、業務委託契約における契約書の作成が欠かせません。
企業が営業代行会社に依頼する場合には、企業間取引となるため、双方の企業のコンプライアンスに基づいた内容で契約書を作成できるでしょう。しかしフリーランスの場合には、主に企業側が契約書を作成し、双方が合意した上で契約するのが一般的です。
そこで今回は、フリーランスの営業代行人材と業務委託契約を結ぶ際の契約書の作り方やテンプレート、記載内容や印紙税などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
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営業代行と業務委託契約で契約書を作成すべき理由
営業代行との業務委託契約では、口約束ではなく、必ず契約書の作成をおすすめします。
正式な契約書を作成する理由は、次の2つにあります。
- トラブルを回避するため
- 信頼関係を構築するため
それぞれ解説します。
トラブルを回避するため
業務委託契約は、原則として口約束でも成立する契約です。しかし口約束で契約し、書面に契約内容を残していなかった場合には、不履行や契約違反が起きたとき、損害を受けた側が提訴しようとしてもはっきりとした主張ができず、責任の所在を追求できないケースもあります。
そこでトラブルを未然に防ぐためにも「いつ、だれが、だれに、どのような業務をいくらで依頼するか」といった内容を契約書に明記し、それぞれが署名・押印して保管することが大切です。
信頼関係を構築するため
業務委託契約書の作成は、業務を委託する側とされる側の両者が安心して業務を遂行するためにも有効です。
委託側は、はっきりと業務内容を明記し報告義務を記すことで、業務の進捗状況を常に把握できます。一方で業務を受託した側も、報酬金額や支払い方法が明確であるため、業務に集中できるでしょう。
このように契約書を作成することで両者に信頼関係が生まれ、より円滑に業務を遂行できるため、契約書をしっかりと作成することが重要です。
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営業代行の業務委託契約の種類
業務委託契約とは、一般的に「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3種類の契約手法を指す総称で、正式な名称ではありません。
またフリーランスの営業代行との業務委託契約では「請負契約」と「準委任契約」のどちらかの契約を行うことになります。
以下では、それぞれのケースを解説します。
請負契約
請負契約とは、業務の成果に対して報酬を支払う形態です。
営業代行を例にすると、営業で成約した売上に対してあらかじめ決められた割合の報酬を支払う「成果報酬型」の契約をする場合に「請負契約」を結ぶのが一般的です。
請負契約においては、契約書に記載された通りの成果がでなかった場合、報酬の支払いが発生しないのが特徴です。
営業代行では、比較的契約金額が高額で利益率の高い商品を販売する場合に「成果報酬」による「請負契約」を採用しています。
準委任契約
準委任契約とは、働いた時間や日数などに対して報酬が支払われる仕組みです。
営業代行との契約の場合、テレアポなどのインサイドセールスをはじめ、比較的成約確率の高い業務で「準委任契約」を結ぶケースがあります。
いずれにせよ、業務委託契約を結ぶ際は、委託する業務の内容を明確にして「業務委託契約書」に詳細な契約内容を記載することが大切です。
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営業代行の報酬形態と業務委託契約の結び方
営業代行との業務委託契約においては、報酬形態によって業務委託契約の種類が決定します。営業代行の報酬形態は、一般的に「成果報酬型」「固定報酬型」「複合報酬型」の3種類があるため、それぞれ解説します。
成果報酬型は請負契約を結ぶ
成果報酬型の営業代行とは、営業して成約した売上の何割かを報酬として受け取る契約です。そのため、基本的に売上がなければ報酬が発生しません。
このような「成果に対してのみ報酬支払う」場合は「請負契約」を結びます。
固定報酬型は準委任契約を結ぶ
固定報酬型の営業代行とは、月単位や日数、時間単位で報酬を支払う契約です。この場合は、成約の有無に関係なく報酬が支払われます。この場合には「準委任契約」を結びます。
複合報酬型は準委任契約を結ぶ
複合報酬型の営業代行は、時間や日給、月給にプラスして、営業成績による成果報酬を支払う契約です。この場合も、契約形態は「準委任契約」となります。
営業代行では報酬形態によって契約形態が変わるため、企業とフリーランスの間でしっかりと契約内容のすり合わせを行い、契約することが重要です。
営業代行との業務委託契約書のテンプレート
業務委託契約書を自社で作成する場合は、下記の業務委託契約書のテンプレートを利用することで、契約内容の不備によるトラブルを回避できます。
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営業代行との業務委託契約書の記載内容と書き方の流れ|12ステップ
フリーランスの営業代行と業務委託契約を結ぶ際は、次の12のステップを踏むことで、契約書の作成がスムーズにできます。
- 業務委託契約書の種類を明記する
- 委託する業務内容を明記する
- 報酬形態や支払い方、支払い期限を明記する
- 経費の取り扱い方を明記する
- 契約期間を明記する
- 契約更新・契約解除に関する事項を明記する
- 営業代行スタッフとの連絡手段や報告方法を明記する
- 秘密保持に関する内容を明記する
- 損害賠償請求について明記する
- その他の事項を明記、確認する
- 万一に備え、所轄裁判所を会社近くの裁判所に決めておく
- 契約書を2通作成し、双方で署名・押印する
それぞれ解説しますので、ぜひ参考にしてください。
1.業務委託契約書の種類を明記する
営業代行の業務委託契約の種類は、報酬形態によって変わるため、報酬をどのようなルールに沿って支払うかによって「請負契約」か「準委任契約」を選択しましょう。
2.委託する業務内容を明記する
ここでは、委託する営業代行の業務内容を明確に記載します。
訪問による商品やサービスの販売、電話によるテレアポ業務、インターネットを使ったインサイドセールスなど、営業代行の業務は多岐にわたるため、具体的で明確な業務内容を記載することが大切です。
3.報酬形態や支払い方、支払い期限を明記する
営業代行の報酬形態は「成果報酬型」「固定報酬型」「複合報酬型」のいずれかになります。そこで、報酬形態を明確にするとともに、支払い条件や支払い方、支払期限を明確にして記載します。
4.経費の取り扱い方を明記する
営業代行では、交通費や電話代、インターネット費用など、さまざまな経費が発生する可能性があります。あらかじめ発生する経費をすべて書き出し、誰がどのように負担するかを明記します。
一般的には、交通費については発注する企業が負担し、電話料金やインターネット費用は営業代行者が負担します。また交通費などの経費については、金額が明確に分かるように報告を義務付け、契約書に記載することが大切です。
5.契約期間を明記する
営業代行の契約については、月単位や週単位などの契約期間を定め、しっかりと記載します。また、勤怠管理の実施方法も記しておくことも忘れないようにしましょう。
6.契約更新・契約解除に関する事項を明記する
営業代行については、契約の更新と解除条項の明記が重要です。もし契約期間内に成約件数が目標に達しない場合には、契約途中でも解除できるといった条件を盛り込むケースがあります。
このようなケースにおいては、契約前にすり合わせをしっかりと行い、双方合意の上で契約書を作成することが大切です。
7.営業代行スタッフとの連絡手段や報告方法を明記する
営業代行の業務においては、常に進捗状況を把握しながら業務を遂行する必要があるため、業務時間内の連絡手段や報告方法、報告手順をしっかりと決めておきましょう。
一般的にはチャットサービスを利用して、リアルタイムに進捗を管理できるように準備することが大切です。
8.秘密保持に関する内容を明記する
営業代行では、大量の顧客リストを営業代行の委託先に提供して業務を遂行するため、秘密保持の条項に関する取り決めを行い、どのように管理するかを明確にしておく必要があります。
顧客情報の漏洩が起きると、法的なペナルティだけでなく、自社のイメージダウンにも直結する可能性があります。
そのため秘密保持に関する契約は、別途秘密保持契約を締結し、次に解説する損害賠償請求についても言及しておきましょう。
フリーランスとの契約においては、責任を追求しても履行できないケースがあるため、できるだけ弁護士などの専門家を通じた契約をおすすめします。
9.損害賠償請求について明記する
営業代行では、上記で解説したように、顧客情報の漏洩といった秘密保持違反に関する損害賠償請求の可能性があります。またその他にも、自社の商品やサービスの機密事項など、考えられるすべてのリスクを明確にし、契約書に記載しましょう。
10.その他の事項を明記、確認する
営業代行の業務委託契約では、上記以外に次の条項を記載しておきます。
- 委託業務の遂行方法や再委託の可否について
- 上記以外の禁止事項について
- 反社会的勢力の排除について
その他にも、自社で守るべきルールがあれば、明確に記載しておきましょう。
11.万一に備え、所轄裁判所を会社近くの裁判所に決めておく
業務委託契約書には、万一のトラブルで裁判となった場合に、所轄の裁判所がどこになるかを明記することも大切です。
リモートワークでフリーランスに業務を委託する場合には、トラブルが発生した時の所轄の裁判所を明記しておかなければ「両者の中間の裁判所」を指定されるケースもあります。あらかじめ発注者の最寄りの裁判所を明記しておき、委託先の合意を得ておきましょう。
実際に裁判になるケースは少ないものの、裁判所を記載しておくことがトラブルの抑止にも繋がります。
12.契約書を2通作成し、双方で署名・押印する
業務委託契約書は必ず2通作成します。そして、企業側と営業代行社の双方で署名・押印し、保管します。もし電子契約書を作成する場合でも、契約書は両者で保管することが大切です。
▼以下では、業務委託を結ぶフリーランス人材の働き方調査のレポートをご覧いただけます。ぜひご参照ください。
営業代行の契約書の印紙税について
業務委託契約を結ぶ場合、請負契約か準委任契約かによって契約書が「課税文書」となるかが異なります。
印紙税がかかる契約書とかからない契約書
印紙税とは、課税文書にかかる税金です。一般的には、請負契約の契約期間や契約金額によって印紙税額が決まります。また準委任契約は、契約金額に関わらず「非課税」です。
請負契約で契約期間が4ヶ月以上ある場合は、一律で4,000円の印紙税が必要となります。契約期間の定めがない請負契約の場合には、下記の契約金額(税抜)に応じた印紙税が必要です。また、印紙税は契約書2通それぞれに契約金額に応じた下記の印紙を購入し添付・消印する必要があるため、企業と営業代行者の双方で負担します。
印紙税額は、2022年8月現在以下の通りです。
請負契約金額(税抜)と必要な印紙税額 | |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上100万円未満 | 200円 |
100万円以上200万円未満 | 400円 |
200万円以上300万円未満 | 1千円 |
300万円以上500万円未満 | 2千円 |
500万円以上1千万円未満 | 1万円 |
1千万円以上5千万円未満 | 2万円 |
5千万円以上1億円未満 | 6万円 |
1億円以上5億円未満 | 10万円 |
5億円以上10億円未満 | 20万円 |
10億円以上50億円未満 | 40万円 |
50億円以上 | 60万円 |
契約金額の記載がない契約書の場合 | 200円 |
電子契約書は印紙税がかからない
上記のように、契約金額が大きくなると、印紙税も高額となります。しかし電子契約書を作成すれば、契約書にかかる印紙税が「非課税」となります。
これは印紙税が「紙媒体の課税文書」にかかる税金であるためです。そこで近年は、電子契約書の利用が増えています。
営業代行で契約書がないとどうなる?
ここでは、口約束でも一応は成立する業務委託契約について、契約書を作成しなかった場合のリスクについて解説します。
契約書を作成しなかった場合のリスク
もし契約書を作成しなかった場合には、発注した営業代行が自社の機密情報や顧客情報などを外部に漏らした場合に「責任を追求できない」可能性があります。また何らかのペナルティを課すことができても、損害に見合った回収ができないでしょう。
契約書を作成する意味は、トラブルが起きてからの対応だけでなく、トラブルを引き起こさないための「抑止」にあります。契約内容を企業と営業代行社が相互に理解することで、お互いに安心して業務に取り組むことができるでしょう。従って、契約金額や期間が少ない案件でも、契約書の作成は必須です。
弁護士や行政書士に依頼もできる
業務委託契約書の作成については、弁護士や行政書士に依頼することも可能です。特に機密事項や顧客リストなどを扱う案件は、専門家に契約書の作成を依頼することをおすすめします。
ただし専門家に契約書の作成を依頼すると、作成費用が高額になる可能性があります。重要事項を扱う割に契約金額が低いといった業務委託契約では「コストが割に合わない」ケースもあるでしょう。
営業代行では同じ案件を多くの営業代行に依頼することが多いため、最初に専門家に依頼して自社の雛形を作成してもらい、その契約書を複製して活用するのも良い方法です。
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