人件費の相場はいくら？業界別の費用感と計算方法・費用削減方法を紹介
企業において、人件費は重要な経費の一つです。少子高齢化による人材不足や、働き方の多様化などの影響によって人手不足が深刻化する中、人件費は年々上昇傾向にあります。
そこで、自社の人件費が適正かどうかや、他社の人件費と比較した水準などを知りたい方も多いはずです。
そこで今回は、人件費の相場や内訳、計算方法、さらにコストを削減する方法などを徹底解説します。自社の人件費の水準を確認したい方はもちろん、コスト削減に取り組みたい方も、ぜひ参考にしてください。
人件費の相場と適正額を確認する方法
人件費について判断する際は、ただ金額だけで良し悪しを決めることはできません。なぜなら、企業の規模によって適正額は大きく変動するからです。
人件費が会社に与える負担は、売上に対する人件費の構成比率である「人件費率」と、付加価値額に占める人件費の割合である「労働分配率」を計算することでわかります。
この項目では、それぞれの計算方法と相場を解説します。
そもそも人件費とは？
人件費の定義は、人材を雇用することで発生する費用を指します。具体的には、以下のような費用が人件費にあたります。
- 給料（残業代、通勤交通費なども含まれる）
- 賞与
- 法定福利費（社会保険料や労働保険料など）
- 福利厚生費（健康診断費用や配偶者手当てなどの法定外福利）
人件費率の計算方法と相場
人件費率とは、売上に対して人件費がどれだけの割合を占めているかという指標です。計算方法は、以下になります。
| 人件費率（%） ＝ 人件費 ÷ 売上 × 100 |
たとえば、売上が100万円・人件費が20万円の場合の人件費率は20%になります。
この数字が大きいほど、人件費の割合が高く、会社の負担になっていることを示します。ただし、過度に低い場合は従業員に還元されていないことになり、長期的な離職や不満が高まるリスクにつながります。高すぎても、低すぎても良いわけではないのです。
各業界の相場は以下のとおりです。
| 業種 | 人件費率の相場 |
|---|---|
| 小売業 | 10〜30% |
| 飲食業 | 30％ |
| サービス業 | 40〜60% |
| 旅館・ホテル業 | 30% |
▲出典：TKC
たとえば、サービス業で接客を主とする事業を行なう場合は、他の事業が機械設備にかけるお金を人件費にあてます。このように、業界や事業によって人件費率も異なるため、相場はあくまで参考程度にするべきでしょう。
労働分配率の計算方法と相場
労働分配率とは、企業の付加価値額に対して人件費がどれくらいの割合を占めているかというものです。計算方法は、以下の通りです。
| 労働分配率 ＝ 人件費 ÷ 付加価値額 × 100 |
付加価値額とは、企業が商品に生み出した価値のこと。売上額から必要な費用を差し引いたものとも言えます。1000円で仕入れ、5000円で売った場合には、付加価値が4000円になります。
付加価値額が50万円・人件費が10万の場合、労働分配率は20%です。
労働分配率に関しても、高すぎれば経営を圧迫します。逆に低すぎる場合は、従業員に十分に還元されない状態ということです。
労働分配率の相場は、以下のようになっています。
| 業種 | 労働分配率の相場 |
|---|---|
| 小売業 | 35~65% |
| 飲食業 | 40~60% |
| サービス業 | 55~67% |
| 建設業 | 45~65% |
▲出典：TKC
人件費率と労働分配率の違い
人件費率と労働分配率は共に人件費が会社へ与える負担を計算する指標。しかし、似たような考え方であるため、違いがわからないことも。
人件費率は「売上に占める人件費の割合」を指し、労働分配率は「付加価値に占める人件費の割合」を指します。
業務の一部を外注すると考えると違いが分かりやすくなります。具体的なケースを考えてみましょう。
売上：100万円 外注費：80万円 付加価値額：20万円 （100万円 − 80万円） 人件費：10万円 人件費率：10 ÷ 100 × 100 ＝ 10% 労働分配率：10 ÷ 20 × 100 = 50% |
人件費率に比べ、労働分配率が大幅に高いことが分かります。
つまりA社の場合、社員はほとんど価値を生み出す働きになっていません。売上の大半が外注で賄われているのです。このように、労働分配率によって人件費に対し、社内の人材がどれだけの働きをしているかということが分かります。
A社のケースでは、十分な働きをしない社員は減給したり、解雇したりすることが好ましいかもしれません。
このように、人件費率に比べ、労働分配率はより公平・合理的に人件費を管理する判断材料になるのです。
人件費の内訳
一口に「人件費」といっても、全てが同じ費用ではありません。直接的な給与以外にも支払わなければならない費用があります。
大きく以下の3点に分けて、説明していきます。
- 給与手当・賞与
- 法定福利費
- 福利厚生費
1. 給与手当・賞与
給与手当には、社員毎に定められた基本の給与（基本給）のほかに業績に応じたボーナスや諸手当などが含まれます。
基本給は労働そのものに対する報酬として支給される賃金です。諸手当は労働や生活にかかる経費として支給要件に該当する場合にのみ支払われるのが一般的で、具体的には次のようなものが挙げられます。
| 種別 | 給与手当 |
|---|---|
法的に支払義務の |
|
法的に支払義務の |
|
2. 法定福利費
企業が福利厚生を目的として支払う費用のうち、法律によって支払いを義務付けられている費用のことを法定福利費といいます。具体的には以下の保険料が該当します。
| 種類 | 詳細 |
|---|---|
| 社会保険料 |
|
| 労働保険料 |
|
これらの保険料は、企業と従業員がそれぞれの負担割合に応じて支払うことになっています。ほとんどの保険は労使折半ですが、労災保険は企業側の全額負担です。
3. 福利厚生費（法定外福利費）
企業が福利厚生を目的として支払う費用のうち、上記の保険料以外のものを福利厚生費（法定外福利費）といいます。
そもそも福利厚生とは「企業が従業員に提供する給与以外の報酬やサービス」の総称で、主に人材確保や既存従業員の労働意欲の向上を目的として企業側の任意で実施するものです。
そのため内容は多岐にわたりますが、中でも代表的なものとして以下の費用が挙げられます。
- 社員旅行や各種レクリエーション活動の費用
- 慶弔見舞金（結婚祝い金・死亡弔慰金・災害見舞金 など）
- 家賃・食事などの補助
- 従業員の互助会への支出 など
なお、経団連の資料によれば、この福利厚生費と法定福利費を合算した費用は「従業員1人につき1ヶ月あたり約10万円」となっています。企業が人件費の削減を考える場合に、このような給与以外に支払う費用を見直すことも1つの選択肢でしょう。
人件費の代表的な削減方法3選
ここでは、代表的な人件費の削減方法について解説していきます。
1. 社員やアルバイトの給与を減額する
社員やアルバイトの給与を減給することで、直接的に人件費を削減できます。
しかし、この方法はあまりおすすめできません。給料を減らすことで社員やアルバイトのモチベーションを削ぐことになってしまうためです。
社員のモチベーションが下がると、業務効率が落ち、業績すら落ちてしまう悪循環に陥る可能性が大きくなります。
事業拡大や中長期的に会社を成長させたい場合はこの方法は不向きと言えます。
2. AIやITシステムを導入して業務効率を図る
AIやITシステムを導入することで、人件費を減らすという方法もあります。
人力で行なっている単純作業をAIやITシステムに自動化させることで、人員の削減が可能です
テクノロジーの進化に伴い、現在話題になっている「RPA」もその代表例。
RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略でこれまで人間が操作していた業務を人間に代わって自動化するシステムのことです。
たとえば顧客データの収集や、在庫状況の確認、請求書データの入力といった作業もシステムが行ないます。
これらのシステムを利用することで長期的には人件費の削減に繋がりますが、導入コストがかかってしまうというデメリットもあります。
残業代を削減する
残業代を削減することは優先的に見直すべき項目の一つと言えます。
その理由として、仕事内容が明確に決まっていないことが原因になっていることが多いためです。
効率的な業務分担ができていないと、残業時間の増加につながり、結局無駄な人件費の発生につながります。
- ノー残業デーを設ける
- 残業を事前に申請する制度にする
- 勤怠管理システムを利用する
以上のような施策をとり、残業時間を減らすよう取り組むのがおすすめです。
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人件費を削減する際の手順
人件費を削減するための方法については、次の手順を踏むことが大切です。
1. 課題のある部署・部門・業務フローを特定する
まず、課題のある部署や部門、業務フローを特定します。残業時間の照会や現場でのヒアリングなどの方法が有効です。残業時間が多い場合は、業務の効率化や人員の再配置などの改善策を検討しましょう。
2. 課題の解決方法を検討する
特定した課題に対して、解決方法を検討します。業務プロセスの見直しや自動化、効率化のためのツールやシステムの導入、他部門との連携や業務の再設計などが考えられます。
段階的な改善を進めることで、効果的な人件費削減を実現可能です。
3. 業務効率化による生産性向上を図る
人件費削減の本質は業務効率化による生産性の向上です。
効率的な業務フローの確立や効果的なツールの活用により、作業時間や手間を削減し、生産性を向上させます。これにより、人件費率を下げることができるでしょう。
上記の3つのの手順を踏みながら人件費の削減を進めることで、企業の業務効率化と生産性向上が図れます。ただし、各企業の状況や課題に応じて具体的な施策を検討し、柔軟な対応が必要です。
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人件費の削減にはフリーランスの活用がおすすめ
景気の長期低迷が続く中、人件費削減を検討している企業も多いでしょう。
しかし、人件費削減を実際に行なうのは簡単ではありません。やり方を間違えると効果を得られないばかりか、従業員の労働意欲を低下させ、結果として業務の質や生産性を下げるリスクもあります。
そこでおすすめしたいのが、フリーランス人材の採用です。フリーランスの採用は単に業務の外注化を実現するだけでなく、以下のようなメリットがあります。
- 報酬以外の諸費用をカットできる
- 人件費が固定費から変動費になる
ここからは、この2つのメリットについて詳しく説明していきます。
報酬以外の諸費用をカットできる
先述したとおり、従業員を自社で直接雇用した場合には、給与以外に諸手当や福利厚生費、法律に基づいた保険料などの支払いが必要になります。
一方、フリーランスは個人事業主の一種であり、企業と直接的な雇用関係は結びません。契約は業務単位で行なわれるため、企業側が支払うのは成果に対する報酬のみで、それ以外の金銭的なコストが発生することはほぼありません。
さらに、フリーランスは即戦力としての活躍が見込めることもメリットです。すでに保有している知識や技能を活用できるため、教育研修にかかる費用の削減にもつながります。
特に資金力に不安のある企業にとって、フリーランスは積極的に活用すべき人材と言えるでしょう。
人件費が固定費から変動費になる
人件費は固定費にあたる主な経費の一つであり、削減するには従業員の給与や諸手当を削減するか、人員を削減するしかありません。業績が低迷した企業の多くがリストラに踏み切るのはそのためです。
しかし、そうした方法で固定費を削減すると、従業員の労働意欲が低下することも。業務の質が落ちてますます業績が悪化しては、本末転倒です。
雇用契約を結ばないフリーランスであれば必要な時に必要な業務のみを依頼できるため、人件費が変動費となり経営状況に合わせてコントロールすることが可能となります。
特に繁閑の波が大きい業種は、固定費が変動費化することでより多くの作業を手掛けることができようになるでしょう。うまく活用することで経営体質を改善・強化できるのがフリーランスです。
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実際にフリーランスを活用している企業は多い
以下の表は、2019年に経済産業省が行なった調査の結果を示したものです。
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この事実からも、コストを抑えつつ事業発展を進められるフリーランスの活用は多くの企業にとって効果的な施策と考えられているとわかります。
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5. i-common tech｜案件から依頼可能
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ITエンジニアは日本全体で不足している状態ですが、フリーランスとして働きたいと考えているエンジニアも多くいます。そのため、正社員や契約社員として雇用するのではなく、案件ごとに依頼する場合は求める人材が見つかりやすい傾向にあります。
i-common techでは、案件単位で依頼できるので、優れたスキルを持つフリーランスエンジニアとマッチングしやすいでしょう。また、完成までの時期が読みづらく、期間を限定して採用することが難しいときでも活用できます。プログラミング言語を指定してエンジニアを検索できるので、すぐに働いてもらえる点もi-common techの特徴といえます。
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- ITエンジニア専門の採用媒体
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6. スタンバイ｜幅広い雇用形態に対応
スタンバイは日本最大級の人材紹介サービスです。
登録しているエンジニアも多く、スキルや経験を限定して適した人材を選ぶことができます。
また、正社員や契約社員、フリーランスなどのさまざまな働き方を希望するエンジニアが登録しているので、企業がどのようなエンジニアを採用したいかによって適する働き方のエンジニアとマッチングできます。勤務地も限定できるので、通勤してもらうエンジニアを探す場合にも活用しやすい採用サイトといえるでしょう。
【特徴】
- 日本最大級の人材紹介サービス
- 幅広い雇用形態に対応している
- 勤務地を限定できる
7. Crowdtech｜最短3日で即戦力を契約可能
Crowdtechは、日本最大級のアウトソーシングサービスであるCrowdworksの関連サイトです。
登録しているエンジニアの数も多く、最短3日で即戦力のエンジニアと契約できます。
なお、Crowdtechでは完全成功報酬制を採用しているため、案件の掲載や提案に費用はかかりません。実際に契約が成立し、採用者が稼働してから支払いが発生するので、ほかの採用媒体と並行して活用することができます。
【特徴】
- 最短3日で即戦力のエンジニアを採用できる
- 掲載費用がかからないので採用コストを抑えやすい
8. green｜カジュアルな転職を可能に
greenはカジュアルな転職を目指した採用媒体です。
気軽に応募者と会えるシステムのため、社風に合いそうかどうか確かめてから面接に進めます。
また、専門の人事担当者がスカウトに介入するので、応募者のスキルや希望する条件とマッチングしやすいのもgreenの特徴です。IT／WEB専門の採用媒体なので、ITエンジニアの登録が多いことも希望に近い人材と出会いやすいポイントです。
【特徴】
- 応募者と面談することが可能
- 希望条件と応募者のスキルがマッチしやすい
- ITエンジニアの登録が多い
9. forkwell｜スキルを評価システムで可視化
forkwellは、ITエンジニアに特化した採用媒体です。
エンジニアのスキルが独自の評価システムにより可視化されて表示されているので、希望するレベルのエンジニアを探せるという特徴があります。
また、エンジニアのアプライを待つだけでなく、スキルに合うエンジニアを選び、企業側から直接スカウトメールを送信することも可能です。スキル重視でITエンジニアを選びたいときにも、活用できる採用媒体といえるでしょう。
【特徴】
- ITエンジニアに特化している
- 企業からスカウトメールを送ることも可能
10. paiza転職｜成果報酬制によりコストを抑えられる
paiza転職は、エンジニアのスキルでスクリーニングできる採用媒体です。
広告掲載費用は無料の成功報酬制なので、採用が決まるまでコストがかからないのも特徴です。また、paiza転職では選考プロセスをフォローする体制があり、エンジニアと企業側の認識にずれがないようにチェックしながら採用を進められます。
【特徴】
- スキルでエンジニアを選定可能
- 採用が決まるまでコストがかからない
- 選考プロセスをフォローしてくれる
11. レバテック｜エンジニアとデザイナー特化
レバテックはエンジニアとデザイナーの採用に特化したエージェントです。
【特徴】
- 登録者数：20万人
- 社員、派遣、フリーランス希望者の中からニーズに合わせてご紹介
- エンジニア、デザイナー専門のエージェント
- 採用課題から必要な人材像を整理し、求めるスキルにマッチする人材を推薦
12. ITプロパートナーズ｜問い合わせから60分以内に人材紹介
ITプロパートナーズは迅速かつ丁寧な対応に定評があるエージェントです。
【特徴】
- 登録者数：37,000人
- 迅速かつ手厚いサポート対応
- 豊富な人材データベース
- 紹介実績3,000社以上
13. ワークポート｜全国規模の対応が持ち味
ワークポートは全国の多種多様なネットワークが持ち味のエージェントです。
【特徴】
- 登録企業数：10万社以上
- 幅広いネットワークで、全国の多様な業種に対応
- 転職相談実績50万人
- 採用成功まで費用がかからない完全成果報酬型
14. リクルートエージェント｜業界最大級の実績
リクルートエージェントは各業界に精通したアドバイザーによる手厚い対応が売りのエージェントです。
【特徴】
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