業務委託契約書はどちらが作成する?法律や注意点、記載すべき13項目と作り方を解説
業務委託契約を結ぶ際は、契約内容を詳細に記した契約書の作成が欠かせません。なぜなら、厳密に言えば契約書の作成は義務ではないものの、契約書を作成することでさまざまなトラブルを回避できるからです。
ただ契約書を作成するにあたっては、業務委託を発注する側(発注元)とされる側(発注先)のどちらが作成すれば良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。
まず、業務委託契約書の作成に関しては「発注元」がおすすめです。その理由は、業務内容や納期などを明確に指定でき、契約のトラブルを回避しやすいからです。
今回は、業務委託契約書の作成に関する法律や注意点、作り方を徹底解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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業務委託契約書はどちらが作る?
自社の業務の一部、または全部を社外の業者や個人に委託する際は、業務委託契約を結ぶのが一般的です。そして、業務委託契約を結ぶ際は、業務委託契約書の作成が欠かせません。
しかし業務委託契約では、契約書の作成が義務付けられていないことをご存知でしょうか。
以下では、まず最初に「業務委託契約書」に関する法的な義務と作成すべき理由を解説します。
業務委託契約書は原則として作成の義務がない
業務委託契約を結ぶ際に作成する「業務委託契約書」は、法的に義務付けられていません。そのため、契約自体は「口約束」でも成立します。
ただし、契約書を作成することによりさまざまなトラブルを回避できるため、やはり契約書の作成が必須と言えるでしょう。
業務委託契約書の作成義務がある業種
業務委託契約では、原則として契約書の作成義務は生じません。しかし、一部の例外があります。
それは「下請法第3条」で、親会社に対して、下請け業者に交付する書面です。また「建設業法第19条」においても「書面での契約書」の作成が義務付けられています。
このように、契約書の作成には例外があるため、契約書を作らずに契約しようとお考えの方は、一度専門家に相談の上で決めると良いでしょう。
業務委託契約書を作成するべき理由
法律上で義務付けられていない業務委託契約書ですが、業務委託契約を結ぶ際は必ず契約書の作成をおすすめします。
その理由は、口約束による契約不履行のリスクを回避するため。そしてもう1つが、契約当事者同士の信頼関係を構築するためです。詳しい内容については、次の章で解説します。
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業務委託契約書は発注元が作成する
業務委託契約書を作成する際は、できるだけ発注元の企業による作成をおすすめします。以下で、その理由を解説します。
業務委託契約書を発注元が作成するべき理由
業務委託契約書を発注元が作成するべき理由には、主に次の2つがあります。それぞれ解説します。
トラブルを回避するため
業務委託とは、発注元の企業が業務の一部、または全部を社外の業者や個人に委託することです。この際に、委託する業務を明確にしておかなければ、委託先が思うような仕事ができない可能性があります。
もし納品された製品が、注文通りのものでなかったとしても、契約書がなければ指摘できません。また納期についても契約書に記載しておかなければ、約束通りに納品されない可能性があります。
このようなトラブルを避けるためにも、契約書に業務内容を明確に記し、納期や支払いに関する条件等を確認することが非常に重要です。
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信頼関係を構築するため
業務委託契約書の作成は、業務を委託する側とされる側の両者が、安心して業務を遂行するためにも重要な役割を果たします。
委託側(発注元)としては、委託する業務内容を明記することで、業務の進捗状況を把握しながら確認できます。一方業務を受託した側(発注先)も、報酬金額や支払い方法が明確であるため、業務に集中できるのがメリットです。
このように、契約書の作成によって両者に信頼関係が生まれ、より円滑に業務を遂行できるため、契約書の作成は必須と言えるでしょう。
業務委託契約に記載すべき13の内容
業務委託契約書に記載すべき13の内容は、次の通りです。
- 委託業務の内容
- 委託料(報酬額)
- 支払条件、支払時期、支払い方法など
- 成果物の権利
- 再委託の可否
- 秘密保持に関する条項
- 反社会的勢力の排除
- 禁止事項の詳細
- 契約解除の条件
- 損害賠償について
- 契約期間について
- 所轄の裁判所について
- その他の事項
それぞれ解説します。
1.委託業務の内容
まずはじめに、業務委託をする業務の内容や、成果物についての詳細を明記しましょう。この内容によって、次に紹介する「業務委託契約の種類」が変わるため、委託内容は非常に重要な項目です。
2.委託料(報酬額)
委託料とは、委託先に支払う報酬です。報酬額がいくらなのか、税抜きと税込み金額を明記しましょう。
3.支払条件、支払時期、支払い方法など
業務委託契約書に記載するのは、委託金額とともに支払い条件や、時期、方法なども明記します。請負契約では、契約書に記載した通りの製品を、納期までに納品しなかった場合、契約不履行となり報酬を支払わないケースがあるため、しっかりと記載しましょう。
4.成果物の権利
業務委託契約では、委託した業務が成果物の納品を目的としていた場合に、その成果物の権利が発注先から発注元に移るのか否かも記載しましょう。このようなケースでは、著作権や商標権などが絡む取引となるため、事前に弁護士などに相談した上で契約書を作成すると安心です。
5.再委託の可否
業務委託では、委託した仕事をさらに2次下請けや3次下請けに回すこともあります。このようなケースでは自社の機密事項などが漏れやすくなるリスクがあるため、禁止する場合には、契約書にしっかりと明記しておきましょう。
6.秘密保持に関する条項
業務委託契約において、最も注意したい項目の1つが、この「秘密保持」に関する条項です。近年は個人情報の管理や企業のコンプライアンスを重視する傾向が強く、自社だけでなく、顧客情報などの取り扱いにも十分な注意が必要です。
もし委託する業務に自社の機密事項や取引先、顧客の情報がある場合には、別途秘密保持契約を交わし、万一に備える必要があります。
7.反社会的勢力の排除
こちらも企業のコンプライアンスに違反しないために注意すべき項目です。自社はもちろんのこと、相手先にも反社会的勢力とのかかわりがないか確認しましょう。
8.禁止事項の詳細
業務委託契約を結ぶ際に、上記以外の禁止事項があれば記載しましょう。できるだけ詳細に明記することが大切です。
9.契約解除の条件
契約書に記載した内容に違反があった場合などに、契約を解除できる条件を記載しておきます。万一の際に自社を守るための切り札となる条項ですので、あらゆるトラブルを想定して内容を決めましょう。また、契約解除は委託先にとっても一番厳しい条件となるため、常識の範囲内で設定すること。また、契約先と内容をすり合わせながら決めることが重要です。
10.損害賠償について
損害賠償についての項目も、万一の際に有効です。成果物の不備や欠陥、納期の遅れが許されない業務委託契約の場合には、損害賠償に関する条項を設けておきましょう。
11.契約期間について
契約期間を定めた取引を行う場合には、しっかりとその期間を明記します。契約期間の詳細によっては、契約書にかかる印紙税額が変わるため、こちらにも留意しながら記載しましょう。
12.所轄の裁判所について
業務委託契約書には、万一のトラブルで裁判となった場合に、所轄の裁判所がどこになるかを明記することが大切です。
特に遠方の業者や個人と契約を結ぶ際には、トラブルが発生した際の所轄の裁判所を明記しておかなければ「両者の中間の裁判所」を指定されるケースもあります。
そこで、あらかじめ発注者の最寄りの裁判所を明記しておき、委託先の合意を得ておきましょう。
実際に裁判に発展するトラブルは少ないものの、裁判所を記載しておくことがトラブルの抑止にも繋がります。
13.その他の事項
その他の事項には、上記以外で記載すべき内容があれば明記しましょう。
業務委託契約書の作り方
以下では、業務委託契約書の作り方を解説します。
業務委託契約書は2通作成する
業務委託契約書は、必ず2通作成し、発注元と発注先の両者が保管します。
それぞれに印紙を添付して消印する
業務委託契約書を紙媒体で作成した場合、契約書は「課税文書」となり、印紙税の課税対象となります。後で解説する印紙税額相当の印紙をそれぞれで購入し、契約書に貼付後に消印しましょう。
それぞれに署名・押印して保管する
業務委託契約書を2通作成し、印紙を貼付・消印したら、最後に両者で署名・押印して1通ずつ保管します。
業務委託契約書の種類
業務委託とは、社外の個人や企業に自社の業務を委託することの総称です。
業務委託では、業務を委託する者と受託される者が対等な立場となり、その間に雇用関係はありません。
業務委託契約はあくまで通称であり、正確名称として「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つの種類の契約形態の総称となっています。
以下で、それぞれの特徴を解説します。
請負契約
請負契約とは、成果物の納品によって業務が完了する業務委託契約です。
業務を委託した発注者に対し、受託した者は契約内容のとおりの仕様、品質の成果物を期日までに納品する義務を負います。そして納品された成果物に対して、報酬が支払われる仕組みです。
そのため、請負契約では、成果物の内容について契約前に明確にしておくことが重要です。
委任契約
委任契約は、受託者が法律行為を遂行することに対して報酬が支払われる契約です。弁護士や司法書士、税理士などの士業の方が法律行為を行う際に締結する契約で、請負契約とは異なり、一定の事務処理自体を目的とします。委任契約では、業務の遂行が受託者に任されており、受託者が善良な管理者意識をもって業務を遂行する義務を負うのが特徴です。
準委任契約
準委任契約は、委任契約と同様に、受託者が業務を遂行することに対して報酬が支払われます。準委任契約は、請負契約とは異なり、時間や日割り、回数などで費用を決めるのが一般的です。
委任契約が法律に関する業務である一方、準委任契約はエンジニアやコンサルタントといった法律以外の分野の業務が対象となります。
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業務委託契約書に必要な印紙税と支払い方
業務委託契約書に貼付る印紙の金額は、契約書の種類が2号文書か7号文書かによって異なります。
以下では、2号文書と7号文書の違いを解説します。
業務委託契約書の2号文書と7号文書
業務委託契約書には、2号文書と7号文書があります。2号文書とは一般的に請負契約を指し、7号文書は継続的に行われる業務委託契約の契約書を指します。
以下で、それぞれの特徴と印紙税額を解説します。
2号文書の特徴と印紙税額
2号文書の特徴は、次の2つです。
- 継続もしくは単発の請負契約で、契約金額に記載のないもの
- 契約期間が3ヶ月以内で、更新の定めがないもの
上記を満たす契約書には、下記の表にある契約金額(税抜)に応じた印紙税が必要です。
また、印紙税は契約書2通それぞれに契約金額に応じた額の印紙を購入し添付・消印する必要があるため、企業と営業代行者の双方で負担します。
印紙税額は、2022年8月現在以下の通りです。
請負契約金額(税抜)と必要な印紙税額 | |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上100万円未満 | 200円 |
100万円以上200万円未満 | 400円 |
200万円以上300万円未満 | 1千円 |
300万円以上500万円未満 | 2千円 |
500万円以上1千万円未満 | 1万円 |
1千万円以上5千万円未満 | 2万円 |
5千万円以上1億円未満 | 6万円 |
1億円以上5億円未満 | 10万円 |
5億円以上10億円未満 | 20万円 |
10億円以上50億円未満 | 40万円 |
50億円以上 | 60万円 |
契約金額の記載がない契約書の場合 | 200円 |
7号文書の特徴と印紙税額
7号文書の特徴は、次の3つです。
- 継続する請負契約で、契約金額の記載がないもの。
- 契約期間の定めがないまま、すでに契約期間が3ヶ月を超えている請負契約書。
- 請負期間に関係なく、契約更新の定めがあるもの。
上記の請負契約に関しては、一律で4,000円の印紙税が必要となります。
電子契約書は印紙税が非課税でおすすめ
上記のように、契約金額が大きくなると、印紙税も高額となります。しかし電子契約書を作成すれば、契約書にかかる印紙税が「非課税」となります。
これは印紙税が「紙媒体の課税文書」にかかる税金であるためです。そこで近年は、電子契約書の利用が増えています。
業務委託契約書作成のまとめ
このように、業務委託契約を結ぶ際は、契約書を作成することはもちろんのこと、発注元の企業が内容を精査した上で作成することをおすすめします。
発注元が契約書を作成することで、委託する業務を明確にでき、さまざまなトラブルを回避できるでしょう。
また、業務委託契約書の作成については、弁護士や行政書士に依頼することも可能です。特に機密事項や顧客リストなどを扱う案件は、専門家に契約書の作成を依頼することをおすすめします。
ただし専門家に契約書の作成を依頼すると、作成費用が高額になる可能性があります。重要事項を扱う割に契約金額が低いといった業務委託契約では「コストが割に合わない」ケースもあるでしょう。
そこで同じような内容の業務委託を何度も行う会社では、まずは専門家に依頼して自社の雛形を作成してもらい、その契約書を複製して活用するのも良い方法です。
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