人材紹介における手数料とは?相場や計算方法手数料を抑えるポイントまで徹底解説
人材採用において、人材紹介サービスの利用を検討する企業は多いでしょう。しかし、その際気になるのが「人材紹介手数料」です。相場はどれくらいなのか、内訳はどうなっているのか、費用を抑える方法はあるのかなど、疑問や不安を抱えている採用担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、人材紹介手数料に相場や計算方法、費用を抑えるためのポイントなどを詳しく解説しています。
人材紹介手数料とは?
人材紹介手数料とは、人材紹介会社を通して人材を採用した際に、企業が人材紹介会社に支払う費用です。成功報酬型が一般的で、紹介された人材の採用が決定した時点で発生します。
なお、実際に手数料を支払うのは採用決定者の入社後です。人材紹介会社が入社を確認し、そのうえで請求書を発行します。
人材紹介会社とは
人材紹介会社は、企業の採用ニーズをヒアリングし、それに合致する人材をデータベースや独自のネットワークから探し出し、企業に紹介します。企業は、紹介された人材の中から面接などを経て、採用を決定します。
人材紹介会社を利用するメリット
人材紹介会社は手数料が発生しますが、以下のようにさまざまなメリットがあります。
・初期費用がかからない ・採用にかかる社内の人的コストや工数を削減できる ・急ぎの人材確保にも対応できる ・非公開で求人募集できる ・採用要件にマッチした人材の紹介が受けられる |
人材紹介会社は成功報酬型が多く、費用が発生するのは基本的に採用が成立した場合のみです。採用コストは手数料だけで済み、さらには採用にかかる社内のリソースやコストを削減できるメリットがあります。
人材紹介会社が抱える独自のデータベースやネットワークから要件にマッチした人材を探して紹介してくれるため、リードタイムが短いのも利点です。採用工数やコストを削減しつつ、人材のミスマッチも軽減したい場合におすすめのサービスといえます。
人材紹介手数料の相場
人材紹介手数料の相場は、紹介する人材の年収の30〜35%程度です。ただし、紹介する人材の職種や経験、スキルや採用難易度などによって変動します。
たとえば、高度な専門知識やスキルを持つ人材や、採用難易度の高いポジションの場合、手数料が高くなる傾向があります。一方、未経験者や第二新卒など、比較的採用しやすい人材の場合は、手数料が低めに設定されるケースもあるでしょう。
人材紹介手数料の種類・仕組み
人材紹介手数料には、主に以下2種類の仕組みがあります。
届出制手数料 | 上限を50%とし、事前に届け出た範囲内で金額を設定できる 【相場:30〜35%】 |
上限制手数料 | 紹介された労働者の賃金の一定割合を手数料とする 【上限:紹介された労働者の6ヶ月間の賃金の10.8%(免税事業者は10.3%)】 |
一般的なのは、市場の状況や人材の専門性などに応じて柔軟に手数料を設定できる「届出制手数料」です。現在、上限制手数料を採用している企業はほとんどありません。
人材紹介手数料の決め方・計算方法
前述したように、現在採用されている手数料の仕組みはほとんどが「届出制手数料」です。届出制手数料は採用が決定し、入社した際に企業が人材紹介会社に支払います。
なお、この人材紹介手数料は理論年収に基づいて算出されます。
人材紹介手数料の決め方|理論年収の算出方法
人材紹介手数料の計算のベースになるのが、理論年収です。理論年収とは、採用決定者の1年間の総支給額のこと。理論年収は、以下の計算式で算出されます。
理論年収=月給×12ヶ月+賞与 |
理論年収の計算で加味されるのは月給と賞与のみで、交通費や変動費となる残業代、インセンティブなどは含まれません。なお、月給には、基本給や毎月固定で支払われる諸手当が含まれます。
理論年収といわれるように、実際の年収とは異なります。理論年収は求人票にも記載される数字であり、実態と大きく乖離しないよう注意が必要です。
人材紹介手数料の計算方法
採用職種の理論年収が500万円、手数料率が35%の場合、人材紹介手数料は以下のように算出します。
500万円×35%=175万円 |
理論年収と手数料率が高いほど、人材紹介会社に支払う手数料も高額になります。
手数料率は人材紹介会社や人材の需要、人材要件によって異なる
30~35%程度の手数料率が一般的ですが、手数料率は以下のように条件や状況によってさまざまです。
・人材紹介会社の種類 ・求める人材のスキルや専門性の高さ ・職種の採用難易度 ・紹介する人材の年齢 など |
優秀な人材を採用したい場合には、手数料も高額になる点を押さえておきましょう。
人材紹介手数料について知っておくべきこと
人材紹介会社を利用するにあたって、手数料について知っておくべき以下のポイントを解説します。
・返金規定の有無 ・着手金の有無 ・理論年収の認識 ・請求タイミング |
返金規定の有無
返金規定とは、人材紹介会社を通して採用した人材が、入社後一定期間内に退職した場合に、企業に対して紹介手数料の一部または全額を返金する制度です。返金規定の有無や内容は、人材紹介会社によって異なります。
企業にとってリスクヘッジとなるため、高額な手数料が発生する採用となる場合には、その有無や内容をしっかりと確認しましょう。
着手金の有無
着手金は手数料とは別に、人材紹介会社が採用活動を開始するにあたって、企業が支払う費用です。採用要件のレベルや採用難易度が高い場合に、着手金が必要なケースがあります。
着手金は手数料の一部として請求され、採用が決定したときに残りを請求されます。採用が成功しなかった場合でも、返金されないケースがほとんどである点に注意しましょう。
理論年収の認識
理論年収は、人材紹介手数料のベースとなる重要な数値です。人材紹介会社によって、計算方法が異なる場合があるため、自社の認識と大きく乖離しないかを事前に確認しましょう。ここの認識に違いがあると、「思っていたよりも手数料が高い」など、後々トラブルにつながる可能性があります。
請求タイミング
一般的な請求タイミングは、採用者の入社日、または入社後一定期間が経過した後です。人材紹介会社によって請求タイミングや請求日は異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう。支払いが遅延すると人材紹介会社との信頼関係を損ねる可能性があるため、要注意です。
人材紹介手数料を抑えるためのポイント
良い人材を採用するには、人材紹介手数料は必要コストです。しかし、できる限り手数料を抑えたいというのが採用担当者の本音でもあるでしょう。
ここでは、人材紹介手数料を抑えるためのポイントをみていきます。
複数の人材紹介会社から見積もりを取る
料金体系やサービス内容、得意分野などを比較検討し、自社のニーズに合った人材紹介会社を選びましょう。見積もりを取る際には、紹介手数料だけでなく、その他費用や返金規定なども確認することがポイントです。金額のほか、人材紹介会社が保有する人材の質も比較しておくとより見極めやすくなります。
料金体系を確認する
人材紹介会社によって料金体系が異なるため、事前に確認し、自社の予算に合った会社を選びましょう。一般的な料金体系は成功報酬型ですが、なかには「着手金+成功報酬型」や「定額制」もあります。
料金体系 | メリット | デメリット |
成功報酬型 | ・初期費用がかからないため、採用が成功するまで費用が発生しない ・コストリスクを最小限に抑えられる | ・高年収の人材を採用した場合に費用が高額になる |
着手金+成功報酬型 | ・難易度が高い採用に対応できる | ・採用が成功しなかった場合でも着手金が発生する ・採用者の年収に応じて手数料が変動する |
定額制 | ・採用人数に関わらず、費用が一定 ・大量採用を行う場合、費用を抑えられる可能性がある | ・採用人数が少ない場合、割高になることがある ・定額制を採用している人材紹介会社は少ない |
それぞれの料金体系のメリット・デメリットを理解し、自社の採用計画や予算に合わせて選択することが重要です。
紹介手数料の交渉を行う
人材紹介会社によっては、料金体系の交渉が可能な場合があります。少しでも安くしたい場合には、交渉するのも一つの手でしょう。
しかし、手数料を安くしたことで良い人材を紹介してもらえる可能性が減るリスクには注意が必要です。交渉する際は、こうしたデメリットも理解しておきましょう。
採用要件を明確にする
採用要件を明確にすることで、人材紹介会社が適切な人材を紹介しやすくなり、ミスマッチを防げます。早期離職が起こらないことで採用コストが無駄にならず、良い人材を採用できれば手数料以上の成果が出る可能性にも期待できます。
人材紹介手数料自体を抑える方法ではありませんが、中長期的な視点でのコスト抑制に有効です。
他の採用手法と併用する
人材紹介会社だけで採用活動を行うのではなく、コストを抑えやすい他の採用手法と併用することもポイントです。近年注目を高めている採用コストを抑えやすい手法に、以下のようなものが挙げられます。
手法 | 特徴 | メリット |
リファラル採用 | 自社の社員に友人や知人などを紹介してもらう採用手法 | ・企業文化や価値観にマッチした人材を採用しやすい ・ミスマッチを軽減できる ・定着率が高まりやすい |
ダイレクトリクルーティング | 企業側が積極的に求職者を探し、直接アプローチする採用手法 | ・手数料や求人掲載などのコストがかからない ・ミスマッチを軽減できる ・企業の魅力を直接アピールできる |
まとめ
人材紹介手数料は、人材紹介会社を通して人材を採用した際に発生する費用です。相場は紹介する人材の年収の30〜35%程度ですが、職種や経験、スキルによって変動する場合があります。
人材紹介サービスは、採用活動の効率化や、質の高い人材の確保に有効な手段です。しかし、手数料は決して安い金額ではないため、優良な人材紹介会社を利用すること、コストを抑えられる他の採用手法と併用して活用することがおすすめです。
