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中小企業の新卒採用は難しい?課題や新卒採用の実情、成功のためのポイントや成功事例を紹介

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日本の全企業のうち、99.7%は中小企業です。しかし、学生から認知されており、新卒採用においても人気が高いのは、残りの0.3%に含まれる大手企業です。少子高齢化の進展により、労働人口が減少する中では、中小企業の新卒採用がさらに難しくなっている傾向にあります。

そこで今回は、中小企業の新卒採用における課題や実情、新卒採用に成功するためのポイントや成功事例などをご紹介します。

中小企業が抱える新卒採用の課題

新卒採用に課題を感じている中小企業は少なくありません。では、具体的にどういった点に課題を抱えやすいのでしょうか。主な課題として、下記のようなものが挙げられます。

  • 応募者が集まらない
  • 大手企業に条件面で劣る
  • 採用コストをかけにくい
  • 採用ノウハウが少ない
  • 内定辞退が多い

応募者が集まらない

理想の人材を見つけるには応募者の質が重要ですが、そのためには一定の応募者数を確保することが不可欠です。しかし、中小企業は大手企業に比べて知名度にハンデがあります。どんなに素晴らしい企業であったとしても、学生に知ってもらえないことには応募につながりません。「応募」という新卒採用の入口でつまずいてしまっている中小企業は少なくないでしょう。

大手企業に条件面で劣る

就職活動で企業を選ぶ軸には、給与や福利厚生、教育・研修制度の充実度などの条件面も含まれます。コストやリソースの関係から、どうしても中小企業は条件面で大手企業に劣ってしまう傾向にあるでしょう。

なかには、新卒時から高待遇な条件を提示する企業もありますが、インセンティブやみなし残業込みの給与額であったりするケースも少なくありません。

採用コストをかけにくい

採用コストをかけにくい点も、中小企業の新卒採用を難しくする原因の一つです。ここでいうコストは、お金だけでなく、時間や人員も含まれます。

知名度が低い点をカバーするには広告などの広報活動が有効ですが、多くの人の目につくような大々的な広告は莫大な費用がかかる場合がほとんどです。また、採用担当者が新卒採用だけに注力できる余裕がないことも中小企業の特徴です。

広告や求人掲載、その他の採用活動に多額のコストを投じられ、かつ新卒採用に数十〜数百人規模の専任担当者を用意できる大手企業と比較すると、中小企業の新卒採用活動の効率性や成果の差は明白でしょう。

採用ノウハウが少ない

新卒採用を効率的に進め、少ないリソースでも効果を高めるにはそれなりのノウハウが必要です。しかし、中小企業の新卒採用は専任担当でないほか、中途採用や人事・労務管理などマルチタスクを抱えている場合が多いです。新卒採用のノウハウがないだけでなく、蓄積もされないため、長年同じような課題を抱え続けてしまう傾向にあります。だからといって、新卒採用のノウハウを持った人材を採用するのも簡単ではありません。

内定辞退が多い

一定の応募者が集まり、良い人材に内定を出したとしても、内定辞退によって入社に至らないケースも少なくありません。

経団連に加盟している大手日系企業の多くは、一般的に6月から選考を開始します。中小企業はそれよりも前に選考を開始する企業も多いですが、大手企業の選考解禁に伴い、6〜8月にかけて内定辞退が増加しやすい傾向にあります。

また、数社から内定を獲得した場合、内定先を決める際に条件面を比較する人も多いでしょう。条件面を比較した結果、中小企業の内定を蹴る学生も少なくありません。

中小企業を取り巻く新卒採用の実情|学生からみた中小企業

新卒採用にさまざまな課題を抱える中小企業ですが、その実情は決して中小企業に不利というわけではありません。ここでは、マイナビが実施した「マイナビ 2024年卒大学生就職意識調査」のデータを中心に、中小企業を取り巻く新卒採用の実情をみていきます。

大手志向の学生は少しずつだが減りつつある

現代は終身雇用制度や年功序列といった、従来のシステムが実質崩壊している状況にあります。そうした流れからも、大手が安泰といった考えも変わりつつあるでしょう。

本調査では、大手志向の学生は過半数を割る48.9%でした。わずかながら大手志向の割合の方が多いですが、約半数は大手志向ではない結果となりました。なお、本調査の回答内容と回答の内訳は、下記のとおりです。

大手志向

絶対に大手企業がよい

8.0%

自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい

40.9%

中堅・中小志向

やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい

40.0%

中堅・中小企業がよい

7.1%


大手企業か中小企業かの括りで明確に志向しているというよりは、「やりたい仕事」や「やりがいのある仕事」を軸にした回答割合が多くなっています。

一方で企業の選択ポイントは「安定」

学生が企業を選択する際のポイントとしているのは、5年連続で「安定している会社」かでした。次いで、「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」「給料の良い会社」かを重視しています。「安定している」については3年連続の増加となり、学生の安定志向への関心が高まっていることがうかがえます。


これまでは、「安定」といえば大手企業の一択でした。しかし、現代は終身雇用制度の実質崩壊や社会情勢の急速な変化など、これまでとは環境が大きく変化しています。そうした中で大手企業だからと定年まで安定した給与をもらって確実に雇用されるとは限らなくなっており、突然の大規模リストラに遭う可能性も昔に比べると高まっている状況にあります。


安定志向が高まっている状況下で、大手志向の学生が急増しているわけではない点からも「安定=大手企業」の考えではなくなっていることがわかります。

学生が行きたくない会社の特徴

一方、学生が行きたくない会社の特徴として、上位3つには下記が挙がっています。


1.

ノルマのきつそうな会社

2.

転勤の多い会社

3.

暗い雰囲気の会社


中小企業は「ノルマのきつさ」という点では、大手企業に比べると不安視される可能性があるかもしれません。というのも、大手企業は知名度や市場規模の大きさから、ノルマが課せられるほどの営業する必要は少ないといえます。


しかし、成長過程にある中小企業ではそれなりの営業が必要な場合もあり、ノルマを課している企業もあるでしょう。企業説明などでノルマやそのきつさについて言及されることはありませんが、口コミなどにそうした声があると学生から避けられてしまう可能性は否定できません。


一方、転勤の多い会社でいえば、大手企業の方が当てはまるでしょう。大手ほど国内外に多くの支社や営業所などを構えているため、転勤を要請される確率も高まります。とくに、新卒〜若手のうちは本社配属になるケースは少ないため、転勤が多くなる可能性が高いでしょう。この点でいえば、中小企業の方が転勤の可能性が少なく、学生にとって魅力となるポイントになり得ます。


中小企業が新卒採用を成功させるためのポイント

大手志向の学生ばかりではない点で、中小企業の新卒採用にも希望はあります。ただし、正しくアプローチできないと、中小企業を魅力に感じてくれている学生と接触するのは難しいでしょう。


ここでは、中小企業が新卒採用を成功させるためのポイントをお伝えします。

ターゲットを明確にする

「良い学生に出会えない、採用できない」と悩む中小企業も多いですが、「良い学生」を定義できていないがゆえにそう感じている可能性もあります。そのため、まずは自社にとって「良い学生」とは何かを明確にすることがポイントです。


採用基準が曖昧では、どういった学生にアプローチすべきかの方向性も定まりません。ターゲットを明確にすることで、そこに向けた訴求が打ち出せ、ターゲット学生が求める魅力や情報などにあわせて必要な施策を実行できます。

早期から学生に接触する

就職活動は、必ずしも情報解禁となる3月から開始するとは限りません。大手企業と同じ採用スケジュールで新卒採用に取り組んでいたり、採用スケジュールが遅かったりすると、出会える学生の数も減ってしまいます。


通年採用を実施したり、インターンや就職イベントを開催したりと、早期から学生に接触し、応募者の母集団形成に注力することも有効です。

アプローチ方法を多様化する

新卒採用の王道手法は、就職サイトの利用です。しかし、就職サイトでは大手企業の求人に埋もれてしまったり、他社との比較が容易になるため、企業そのものにしっかりと目を向けてもらうことが難しいでしょう。


近年は、SNSを活用した採用方法も増えており、リファラル採用やダイレクトリクルーティングといった新しい手法も登場しています。従来の方法も活用しつつ、各手法の費用対効果なども検証し、自社にあったアプローチ方法を見つけてみましょう。

魅力的な情報を発信する

中小企業には、大手企業にはない魅力がたくさんあります。魅力を理解してもらうためには、伝え方や見せ方を工夫することもポイントです。


採用サイトが現代的なデザインで情報が見やすく整っているか、採用動画から社風や事業内容などが魅力的に伝わっているかなど、採用ツールが充実しているかも着目しましょう。


中小企業の新卒採用の成功事例

厚生労働省「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」より、中小企業における新卒採用の成功事例をご紹介します。

株式会社九州パール紙工|SNSを活用したアプローチ

SNSでの発信を開始し、高校生の採用拡大につなげた成功事例です。新卒採用には高卒者も含まれ、同社では「高校生の採用にはSNSの活用が必須」との声からSNS運用を開始。結果、応募者が増加し、毎年3〜4名の高校生を順調に採用できるようになりました。


さらに、求人資料にもSNSのQRコードを掲載したことで若者の認知度が向上。高校では事前に校内選考が行われるほど、地元で人気の就職先となりました。

株式会社シアンス|企業の魅力を体験してもらう

同社の新卒採用では、入社後のミスマッチを防ぐために最終選考で数日間の職場体験を実施。応募職種の先輩従業員と一緒に業務を体験する機会を設けることで、入社後を具体的にイメージできるよう工夫しています。学生側も会社側もお互いの人となりをわかった上で最終判断が可能です。現在、同社は地方の働きやすいIT企業として認知され、毎年複数名の継続的な採用がおこなえています。


まとめ

新卒採用に課題を抱える中小企業は少なくありません。しかし、現代は大手企業のあり方や雇用制度が変化しており、かならずしも大手企業が安泰という考えは薄れてきました。中小企業であっても、大手企業に劣らない安定性や魅力を持っている企業はたくさんあります。中小企業の新卒採用ではいかにして自社を認知してもらい、魅力を伝えられるかが重要です。










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