【企業向け】デザインの著作権ガイド|外部デザイナーと協業する際の注意点
「このデザイン、自社のものとして自由に使っていいのだろうか?」と迷ったことはありませんか。外部デザイナーに制作を依頼する機会が増える一方で、著作権の取り扱いを曖昧なまま進めてしまい、後からトラブルに発展するケースは少なくありません。特に、ロゴの改変や別媒体での利用、AIデザインの扱いなどは判断が難しいポイントです。
本記事では、デザインの著作権の概要から、財産権と著作者人格権の違い、著作権侵害の判断基準、トラブルを防ぐポイントまで解説します。外部デザイナーとの協業を安心して進めるため、押さえておきたい知識を網羅的に整理しました。
デザインの著作権は、原則制作したデザイナーにある

著作権は原則、作品を創作した時点で自動的に制作者であるデザイナーに帰属します。企業が外部のデザイナーに制作を依頼した場合でも、この点は変わりません。デザインの改変や別媒体での利用などを無断で行うと、著作権侵害となる可能性があるため注意が必要です。
また、複数人で制作したデザインは「共同著作物」となり、関係者全員の合意が必要になります。トラブルを防ぐためにも、契約時に著作権の帰属や利用範囲、共同著作物の権利処理などについて取り決めておくことが重要です。
出典:①著作権とはどんな権利?|学ぼう著作権|KIDS CRIC /参考:チームで作った作品の著作権は誰のもの?【弁護士直伝】 - 日本最大級のHR・フリーランスメディア Workship MAGAZINE
財産権と著作者人格権の違い
著作権は大きく「財産権」と「著作者人格権」に分かれます。

出典:①著作権とはどんな権利?|学ぼう著作権|KIDS CRIC
財産権とは、作品を利用して経済的な利益を得る権利のこと。企業が外部デザイナーに制作を依頼する際に「著作権譲渡」または「利用許諾」を受けていれば、企業側はデザインの改変や複製をすることが可能です。
一方、著作者人格権は作者の意図や名誉を守る権利のことで、主に以下の3つから成り立っています。
著作者人格権の場合、仮に財産権を譲り受けたとしても著作者人格権はデザイナー本人に残るため、企業側がすべてを自由に扱えません。
たとえば、「デザインの一部を無断で修正」「意図と異なる形に改変」といった行為をすると、著作者人格権の侵害とみなされる可能性があります。そのためあらかじめ契約で改変の可否や範囲などを取り決めておきます。
出典:公益社団法人著作権情報センター-著作者にはどんな権利がある? | 著作権って何?
著作権譲渡と利用許諾の違い
著作権には「著作権譲渡」と「利用許諾(ライセンス)」という2つの考え方があり、外部デザイナーへ業務委託する企業は、どちらを選ぶかによって制作物の扱いやすさが変わります。それぞれの意味は以下の通りです。
著作権を譲渡された企業は、デザインを自由に利用できます。広告クリエイティブの改善や、サービスの成長に合わせたデザインの調整など、著作権の譲渡は、継続的な活用を前提とした場合に適しています。
これに対して利用許諾は、企業側はあくまで「使う権利」を得るだけで、利用範囲は契約で定めた条件に限定されます。たとえば、「Webサイトのみで使用可」「1年間のみ利用可」といった形です。期間限定のキャンペーンバナーやSNS投稿用素材など、一時的な利用にとどまるものは、利用許諾を選択する場合が多いです。
また実務上、企業がつまずきやすいのは「利用範囲の認識ズレ」です。そのため利用許諾を選択する際は、事前に以下のような点を具体的に定めておきましょう。
- 使用可能な媒体(Web、印刷、SNS、広告など)
- 使用期間(期間限定か、無期限か)
- 改変の可否(テキスト変更、サイズ調整などを含むか)
- 二次利用、他媒体展開の可否
特にマーケティング施策では、後から修正や横展開が発生しやすいため、想定する利用シーンの洗い出し・契約内容の設計が、トラブル防止と運用効率の両面で重要です。
参考:文部科学省-著作権の譲渡契約の書面化について
どこまでならOK?著作権侵害にデザイン利用の判断基準
デザインを扱ううえで悩むのが、「どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか」という判断基準です。ここでは、著作権侵害とみなされる判断の考え方と、実務で押さえておきたいチェックポイントを整理します。
著作権侵害の判断のポイント
一見似ているデザインでも、それだけで直ちに著作権侵害になるわけではありません。著作権侵害の判断では、主に以下の2つの観点が重視されます。
上記2つがそろった場合、はじめて著作権侵害と判断される可能性が高まります。
たとえば、他社のデザインを参考にして制作し、見た目も似ている場合は、著作権侵害と判断されやすいです。一方、参考にしていない場合や、似ていても表現として一般的な範囲にとどまる場合は、直ちに侵害とはいえないケースもあります。
ポイントは、「デザインのどの要素にオリジナリティがあるのか」という点です。独創性の高い部分に注目し、著作権侵害のリスクを防止しましょう。
参考:Vol.122 著作権侵害と非侵害、その境界とは | デザインの権利と保護 | JPDAライブラリ
デザインの著作権の調べ方
トラブルを未然に防ぐには、デザインを公開・利用する前に一定の基準でチェックします。
たとえば、 手元にあるデザインファイルをアップロードして、Google 画像検索 / Google レンズでデザインを探すと、Web上に似たものがないかを調べられます。他にも、Pinterestの視覚探索ツールもおすすめ。世界中のWebサイトから視覚的に似たデザインを見つけられます。
商標や意匠(形・模様)として登録されているデザインに似ていないかを、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)などで確認するのもいいでしょう。J-PlatPatでは、以下のようなことを検索できます。
もし似ているものが見つかった場合、角を立てず、デザイナーへ直接事実を確認することをおすすめします。
たとえば、「このデザイン、〇〇社のものと雰囲気が近い気がして……商標登録を検討したいので、モチーフの由来や制作過程を教えていただけますか?」と聞くとスムーズです。判断に迷う場合は、専門家(弁護士・弁理士)への相談も検討しましょう。
関連記事:デザイナーの種類と業務内容・採用費用の相場とおすすめの採用サービス5選を紹介
デザインの著作権トラブルに発展するとどうなる?企業が被るリスク
デザインの著作権への正しい理解がないまま運用すると、以下のように、事業やブランド全体に影響が及ぶ可能性があります。

ここでは具体的に、デザインの著作権トラブルに発展した際に被るリスクを紹介します。
損害賠償・使用差止のリスク
著作権を侵害した場合、デザイナーや権利者から損害賠償を請求される可能性があります。たとえば、契約で認められていない媒体への掲載や、無断でのデザイン改変などが該当します。広告やプロモーションで広く使用した場合、その利用期間や露出規模に応じて、請求額が大きくなるため注意が必要です。
さらに実務上インパクトが大きいのが、使用差止です。問題となるデザインの使用停止を求められた場合、公開中のWebサイトや広告、印刷物などを急遽差し替えなければいけません。これにより、クリエイティブの再制作コストや、広告配信の停止が発生し、売上面でもマイナスです。
ブランド毀損・炎上リスク
著作権トラブルは、企業イメージにもマイナスです。近年はSNSを通じて情報が拡散されやすく、「無断使用」「クリエイター軽視」といった指摘が広がると、短期間で炎上します。
一度ネガティブな印象が広まると、ブランドイメージの低下や採用活動への悪影響、取引先からの信頼低下となりかねません。こうしたリスクを未然に防ぐためにも、契約段階での権利整理や、利用前のチェック体制を整えておきましょう。
デザインの著作権侵害となりやすいケース・ならないケース
以下では、著作権侵害となりやすいケース・ならないケースをまとめました。
▼著作権侵害となりやすいケース
▼著作権侵害にならないケース(原則)
デザインの著作権は一律に判断できるものではなく、制作経緯・表現内容・契約条件が組み合わさって総合的に判断されます。事前のチェックと契約内容を確認し、未然に問題を防いでいきましょう。
デザインの著作権でよくあるトラブル事例と対処法
著作権トラブルは、どれだけ注意していても完全に防ぐことは難しいものです。重要なのは「起きた後にどう動くか」です。ここでは、企業の現場で実際に起こりやすい3つのケースをもとに、適切な初動対応を整理します。
ケース1:公開後に「他社ロゴに似ている」と指摘された

公開済みのロゴやビジュアルについて、第三者や相手企業から「似ている」と指摘を受けるケースです。特にロゴはブランドの中核であり、商標とも関係するため、対応を誤ると事業や信用に大きな影響が出る可能性があります。
外部から指摘が入った時点ですでにリスクは顕在化しています。感覚的に「似ていない」と判断するのではなく、事実ベースでの冷静な切り分けが求められます。
また、対応が遅れるほど使用期間が長くなり、結果的に損害賠償や差し替えコストが大きくなる可能性があります。一度状況を整理し、被害を最小限に抑えます。
ケース2:社内でデザインを微調整してしまった

納品されたデザインに対し、社内での認識共有が不十分なまま、担当者がテキスト変更や色調整などを行うケースです。
実務ではスピードが求められる場面も多いものの、無断改変は後からトラブルや関係悪化につながるリスクがあります。
あらかじめ「どこまでなら社内で修正してよいか」を契約や運用ルールとして明確にし、社内での認識を統一させておきましょう。
ケース3:別媒体・別用途に流用してしまった

Web用に制作したバナーを広告に転用したり、キャンペーン用のビジュアルを別案件で使い回したりするケースです。利用許諾の範囲を超えた使用は、意図の有無にかかわらず契約違反や著作権侵害に該当する可能性があります。
追加費用の徴収や、使用差止などが発生することもあるため、発注時点で「どこまで使う可能性があるか」をできるだけ具体的に伝えておくことが重要です。
フリー素材・AIデザインの著作権はどうなる?利用ルールと注意点
「フリー素材だから何でもOK」「AIが作ったから著作権は関係ない」と思っていると、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。そこでここでは、フリー素材・AI生成物・デザインツール、それぞれの利用ルールと注意点について解説していきます。
1.フリー素材の著作権
フリー素材は無料で使える素材ですが、「すべてのデザイン・素材に著作権がない」ということではありません。多くのフリー素材には著作権が存在しており、サービスごとに定められた利用規約の範囲内でのみ使用できます。フリー素材を使うときに確認すべきポイントは、以下のとおりです。
- 商用利用の可否(個人利用のみの素材も多い)
- 改変・加工の可否
- クレジット表記が必要か否か
- SNS・広告への使用可否
素材サービスによっては、無料プランと有料プランで利用範囲が異なるケースもあります。たとえば「著作権フリー」と「ロイヤリティフリー」を設定してる場合があり、それぞれ意味は異なります。
上記のように、言葉の意味を理解しつつ、規約の内容を確認していきましょう。
2.AI生成デザインの著作権
AI生成物の利用は、既存の著作物との「類似性」および「依拠性」がある場合、著作権侵害となるリスクがあります。そのため、納品物を利用する前に、既存作品と類似していないか画像検索等で確認することが不可欠です。
また、トラブルを防ぐため、デザイナーには「AIを利用したか否か」の事実確認はしておきましょう。「既存作品への依拠がない」と証明できるよう、生成過程の記録を共有・保管してもらうことが推奨されます。さらに、「他人の著作物をAIに入力して類似デザイン・画像を生成していないか」といった確認も重要です。
出典:文化庁-AIと著作権について- A I と著作権 Ⅱ資料
3.使用ツールの著作権
デザインツール・ソフトウェアを使って制作したデザインの著作権は、制作者(ユーザー)に帰属するのが一般的です。たとえばPhotoshopやIllustratorで作ったデザインの著作権は、ソフトウェアメーカーではなくデザイナーにあります。ただし、ツールごとに利用規約が異なるため、以下の点は確認が必要です。
- 商用利用の可否
- ツールに内蔵された素材・フォント・テンプレートの利用条件
- AI機能を使って生成した素材の扱い(ツールによってはAI生成素材の商用利用を制限している場合がある)
特にCanvaやAdobe Expressのようなテンプレートベースのツールは、「自分で作ったデザイン全体」と「ツールが提供する素材・テンプレート」の権利が混在しやすい構造になっています。納品されたデザインを商用利用する前に、使用素材・機能のライセンス条件を確認しておきましょう。
デザインの著作権に関する契約文の例
著作権トラブルの多くは「契約書がなかった」「範囲が曖昧だった」ことから始まります。ここでは、実務で使いやすい条文例を目的別に紹介します。

著作権譲渡の条文例
著作権譲渡の条文は、デザインの著作権を企業側に完全に移転したい場合に使用します。以下がその条文例です。
トラブル防止のためにおすすめの一文
契約書の中に入れておくと、いざというときに役立つ条文を目的別に紹介します。
契約書は互いの認識を合わせるために重要です。企業とデザイナー双方が安心して仕事できる環境をつくっておきましょう。
関連記事:業務委託契約の注意点|契約書の作成方法や記載項目、禁止事項を徹底解説
デザイン著作権に関するよくある質問
Q1. 少しの改変でも著作権侵害になる?
結論からいうと、改変の量より「質」で判断されます。著作権侵害が問われるのは、「既存デザインの創作的な表現が使われているか否か」です。「色を少し変えた」「サイズを調整した」という程度でも、既存デザインの独自性が残っていれば著作権の侵害と判断される可能性があります。
逆に、参考にしたデザインと最終的な見た目が似ていても、アイデアや概念のレベルでの類似にとどまっていれば、著作権侵害にはなりません。著作権が守るのは具体的な表現であり、「アイデアそのもの」は保護の対象外となります。
Q2. デザインの著作権と意匠権の違いは何?
著作権と混同されやすいのが意匠権です。両者は別の権利で、以下のように保護の仕組みが異なります。
企業のロゴやパッケージデザインは、著作権と意匠権の両方で保護できる場合があります。 意匠権は登録が必要で、登録によって「アクセスしていなくても類似デザインは著作権侵害」となり、より強力に権利を主張できるため、ブランドの核となるデザインは意匠登録をおすすめします。
Q3. Canvaのデザインは自由に使える?レイアウトもNG?
Canvaで作成したデザインは、基本的に商用利用を含めて自由に使えます。ただし、それはあくまで一定のライセンスの範囲内での利用であり、完全に自分の著作物として扱えるわけではない点に注意が必要です。
Canvaのポリシーでは、「自分で作成したオリジナル部分については著作権を持つ」一方で、「テンプレートや素材(イラスト・フォントなど)は、Canvaまたは第三者の権利に基づくライセンス利用」としている点に注意が必要です。
出典:Canva-知的財産ポリシー
外部デザイナーに依頼する際の進め方・実務フロー
外部デザイナーとのやり取りは、「依頼前・契約時・納品後」の3つのフェーズで整理すると、著作権トラブルを防ぎやすくなります。 あらかじめ確認ポイントを押さえておくことで、認識ズレや想定外のリスクを未然に防げます。

1. 依頼前:利用目的・範囲を整理
まずは「そのデザインをどう使うのか」を具体的に整理します。ここがあいまいだと、契約内容も不明瞭になり、後からのトラブルにつながります。
▼チェックポイント
- 使用媒体(Web/SNS/広告/印刷物など)
- 使用期間(短期キャンペーン/継続利用)
- 利用範囲(自社内のみ/他媒体展開の可能性)
- 将来的な展開(リサイズ・文言変更・別用途流用など)
2. 契約時:権利関係を明文化
整理した内容をもとに、契約で権利関係を明確にします。口頭やメールだけで済ませず、必ず書面に残すことが重要です。
▼チェックポイント
- 著作権の帰属(譲渡 or 利用許諾)
- 利用範囲(媒体・用途・期間)
- 改変の可否(テキスト変更・サイズ調整など)
- 著作者人格権の扱い(不行使特約の有無)
- 二次利用・再利用の可否
3. 納品後:利用範囲内か確認
デザインを受け取った後も、運用段階でのチェックが重要です。知らないうちに契約違反になってしまうケースは少なくありません。
▼チェックポイント
- 契約範囲内の媒体で使用しているか
- 想定外の用途に流用していないか
- 改変内容が契約上問題ないか
- 社内で勝手な加工・修正が行われていないか
追加利用や変更が必要になった場合は、自己判断せず必ずデザイナーに確認することが重要です。
デザイナーへの業務委託は、Workshipがおすすめ!
デザインの著作権は、正しく整理されていないとトラブルに直結します。
- 利用範囲を明確にする
- 著作権の帰属を決める
- 著作者人格権の扱いを整理する
これらを押さえたうえで、外部人材と適切な契約を進めていきましょう。
とはいえ、「自社だけで対応するのは不安だ」という企業におすすめなのが、デジタル人材と企業をつなぐマッチングサービス『Workship(ワークシップ) 』の活用です。Workshipを通じてデザイナーに業務を依頼すると、著作権まわりの不安を最小限に抑えながらスムーズに業務を進められます。

Workshipを活用するメリット
1.権利関係が契約で明確になる
サービス上の利用規約や標準契約により、著作権の帰属や利用範囲が整理された状態でプロジェクトを開始できます。個別のやり取りで曖昧になりがちな権利関係を、最初からクリアにできる点が大きなメリットです。
2.即戦力人材が多数登録
登録者は実務経験のあるデザイナー・マーケター・エンジニアなど約60,000人以上。著作権や契約に対する理解がある即戦力人材とのマッチングが期待できます。
3.三者間契約でリスクを最小化
発注企業・フリーランス・Workshipの三者間契約により、責任範囲が明確化され、トラブルが起きにくい構造になっています。
万が一、納品後に著作権に関する問題が発生した場合でも、運営側のサポートが受けられるため、個人間のやり取りに比べて安心です。さらに、業務委託契約には賠償責任保険が付帯されており、万が一のリスクにも備えられます。

Workshipのように、契約・人材・サポートがセットで整っている環境を活用すると、トラブルを未然に防ぎながら、安心してプロジェクトを進められます。
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