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離職防止の施策とは?離職が起こる原因や兆候、離職防止をしないリスクや成功事例を紹介

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離職防止とは、人材の流出を防ぐことです。「リテンション」「リテンションマネジメント」とも言い換えられ、労働環境や給与、福利厚生やモチベーションなどさまざまな観点から離職につながっている原因に対してアプローチしていきます。


本記事では、離職防止のためにできる取り組みや成功事例、そもそも離職が起こる原因やその兆候などを詳しくご紹介します。


離職防止に取り組む前に原因を把握しよう

企業によって離職が起こっている原因はさまざまです。そのため、的確な離職防止対策を講じるには、まず原因を把握する必要があります。


厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」では、転職入職者が前職をやめた理由の統計を公表しています。男女別の離職理由のトップ3は、以下のとおりです。



男性

女性

1.

職場の人間関係が好ましくなかった

職場の人間関係が好ましくなかった

2.

給料等収入が少なかった

労働時間、休日等の労働条件が悪かった

3.

労働時間、休日等の労働条件が悪かった

給料等収入が少なかった

厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況


男女ともに主な離職理由は同じですが、女性はとくに「職場の人間関係が好ましくなかった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」の理由が多くの割合を占めていました。


上記のような理由から、人間関係や労働環境、給料の改善を求めて離職していることがわかります。

離職の実態を知るにはヒアリングが必要

的確な離職防止対策を講じるには、本当の離職理由を知る必要があります。


従業員が退職の報告をする際は、会社との関係を悪くしないためにポジティブな退職理由を伝えるケースが多いでしょう。しかし、表向きの離職理由を鵜呑みにして対策を講じても、本質的な改善にはつながりません。


そこでおすすめなのが、退職前面談の実施です。退職前面談で離職理由をヒアリングするのは、離職防止のアイデアの一つでもあります。


退職前面談は引き留めではなく、離職理由を聞き出し、企業の改善に繋げていくための取り組みです。しかし、従業員は「引き留めにあうのでは」「怒られるのでは」といった不安から、本心を伝えにくい場合が多いでしょう。


事前に「あくまで会社の実態を知るため」という目的を伝え、退職者の意思を尊重する姿勢を見せることが大切です。


離職防止に効果的な施策一覧

離職防止に取り組む際のポイントは、自社で課題となっている離職理由に対してアプローチすることです。ここでは、離職防止の施策を下記のジャンルにわけて紹介していきます。


・労働条件・環境の整備

・コミュニケーション活性化

・モチベーションアップ

・メンタルヘルス


【労働条件・環境の整備】離職防止の施策一覧


・多様な働き方の導入(リモートワーク、フレックスタイム、時短勤務など)

・福利厚生の充実

・ノー残業デーの導入

・労働環境の見直し

・労働時間の適正な管理

・子育て・介護支援制度の充実

・待遇の改善

・有給休暇の取得の推進


近年、ワークライフバランスを重視する人が増えています。プライベートを重視できない環境であり、その原因が制度の問題や人手不足の状況といった会社側の問題である場合、理想の働き方を実現するために転職を選択するおそれがあるでしょう。


まずは従業員の労働時間の現状を把握し、長時間労働が常態化していないかをチェックすることがポイントです。その上で、従業員それぞれが理想の働き方を叶えられるよう、リモートワークやフレックス制度など、多様な働き方の導入を検討することも有効なアイデアです。

【コミュニケーション活性化】離職防止の施策一覧


・1on1ミーティングの導入

・チャット・コミュニケーションツールの活用

・社内イベントの開催

・社内報、社内SNS、社内ブログの活用

・オープンスペースの設置

・飲み会やランチへの手当

・サンクスカードの実施

・ピアボーナスの実施

・社内アンケート


職場環境に問題がある場合、コミュニケーションの活性化が離職防止の対策となります。コミュニケーションが活性化できている職場は風通しがよく、悩みや不安を相談しやすい環境となるため、離職という決断に至る前に対処できるようになります。


このとき、上司と部下、部署・チーム、同僚など、さまざまなコミュニティに対してアプローチすることがポイントです。また、社員同士のコミュニケーションだけでなく、企業と社員のコミュニケーション機会も確保することも大切です。


社内イベントや社内アンケート、社内報などは、企業と社員のコミュニケーション活性化に効果的です。いずれも、双方向的なコミュニケーションがおこなえるかが重要となります。

【モチベーションアップ】離職防止の施策一覧


・評価制度、報酬制度の見直し

・インセンティブ制度の導入

・キャリアパスの明確化

・研修制度の整備

・スキル・キャリアアップの支援

・キャリア相談室の設置

・社内公募制の導入

・資格取得や書籍、外部セミナーの受講にかかる費用の補助

・適材適所な人材配置


モチベーションアップの取り組みとしては、主に報酬や評価、人材配置やキャリアといた点に着目しましょう。


「評価」「報酬」「チャレンジできる環境」「自らの成長」は、意欲やモチベーションの向上に欠かせない要素です。納得のいく評価や報酬が得られる環境では仕事にも納得して取り組め、企業への貢献意欲も高まるでしょう。


また、自分の将来がイメージできること、そのために必要な成長を企業が支援してくれるかもモチベーションに関わるポイントです。

【メンタルヘルス】離職防止の施策一覧


・メンター制度の導入

・ストレスチェックの実施

・相談窓口の設置、カウンセリングサービスの提供

・セルフケア研修の実施

・ハラスメント防止対策の実施・強化


メンタルヘルスは、離職の原因にもなる重大なポイントです。従業員のメンタルヘルスは定期的に把握し、危険な状態にある人やその兆候がある人に対してアプローチしましょう。


何かあった時に相談できる場所を用意したり、メンター制度によって年齢の近い社員との信頼関係を築くことは、心理的安全性の向上にも有効です。


また、近年はハラスメントも大きな問題となっています。無自覚にハラスメントをしてしまっている人も一定数いるため、ハラスメント防止に向けた研修を実施するなどして、対策を強化することも離職防止につながります。

従業員の離職の兆候

なんの前触れもなく、サイレント退職する人も存在しますが、兆候が見つかる場合もあります。離職の兆候がある従業員には、下記のような特徴がみられる場合が多いでしょう。


・遅刻や欠勤が増える

・コミュニケーションが減る

・新しい業務やプロジェクトへの参加を避ける

・仕事への意欲が低下している


退職したいと考えている状態では、仕事への意欲はわきません。また、どうせやめるからと遅刻や欠勤が増えるなど、就業態度に良くない点が出てくる人もいるでしょう。


一方、そうした点に変化がなくとも、新しい業務に取り組むのを避けたり、会社の人とのコミュニケーションが減ったりしている場合は要注意です。


とはいえ、必ずしもそうした兆候があるからと、離職するとは限りません。気になる点がある場合には、面談を行うなどして、慎重かつ丁寧に従業員の気持ちを聞き出すことがポイントです。


離職防止をしないリスク

離職防止をせず、離職者が増えている状況を放置していると、企業には以下のようなリスクが発生する可能性があります。


・優秀な人材が流出する

・現場の負担が大きくなる

・採用・育成コストが新たにかかる

・企業イメージが低下する


リスクを詳しくみていきましょう。

優秀な人材が流出する

優秀な人材は引く手数多な人材であるため転職しやすく、現状に不満がありそれが改善されないと、見切りをつけるのも早い傾向にあります。


優秀な人材の流出は、事業や企業の成長を停滞させてしまうおそれがあります。競合企業に流出してしまっては、企業競争力の低下にもつながるでしょう。ただでさえ労働人口が減少している中、新たに優秀な人材を獲得するのは簡単ではありません。

現場の負担が大きくなる

離職者が出たら、その業務の穴を埋めるのは残った従業員です。人手不足の現場では、従業員一人当たりの負担がさらに増加するでしょう。その結果、生産性やサービスの質が低下するリスクに加え、労働環境の悪化によりさらに離職者が増える可能性も考えられます。


また、離職者が連鎖的に出てしまうと、残った従業員のモチベーションが低下するリスクもあります。

採用・育成コストが新たにかかる

これまで採用や育成にかかったコストが無駄になるだけでなく、新たにコストが発生する点も企業にとって大きなリスクです。早期離職であるほど、とくに採用にかかったコストの損失が大きいでしょう。


近年は労働人口の減少により、一人あたりの採用コストも高くなっています。離職が増えると比例して新たにかかるコストも増えるため、連鎖的な離職が発生しないよう工夫が必要です。

企業イメージが低下する

離職率の低い企業は、なんらかの問題があるとして求職者に不安視される傾向があります。転職時に離職率をチェックする人も少なくなく、離職率が高いことで応募を避けられる可能性も考えられるでしょう。優秀な人材はおろか、求人に応募がこないといった事態になりかねません。


離職防止の成功事例

離職防止に取り組み、離職率の改善に成功している事例も多くあります。ここでは、3社から離職防止の成功事例をご紹介します。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、以下のような取り組みにより離職率を28%から4%に改善した成功事例があります。


・多様な働き方の選択肢を提供

・副業の認可

・自主参加可能な勉強会ポータルの立ち上げ

・部活動への手当

・仕事について語れる「仕事Bar」の設置


「100人100通りのマッチング」という人事ポリシーのもと、多様な個性、価値観を尊重した取り組みをおこなったことが離職防止につながりました。

株式会社ビースタイル

同社では、社員同士のコミュニケーション量や質に偏りが生じていることを感じ、この点が離職につながっているのではと考えました。とくに経営ビジョンの浸透や社員への伝わり方に課題を感じ、離職率改善のために下記のようなさまざまな施策を実施しました。


・バリューズ・パワーランチ

・パリューズアワード

・全社日報 など


たとえば、バリューズアワードは、同社が設定している「バリューズ10ヶ条」に基づいた行動を行えたかをチーム対抗で競い合う制度です。上位3チームにはインセンティブが送られるため、行動につなげるための仕組みづくりもなされています。


まとめ

離職防止は、企業の成長を停滞させないため、従業員のモチベーションを低下させないためにも重要な取り組みです。離職防止に取り組まないと、現場の負担が増加し続けるだけでなく、採用や育成にもコストがかかり続けてしまいます。


離職防止に取り組むにあたって、離職の原因を明確にすることがポイントです。離職につながっている原因を特定し、影響度の大きいものから優先的に対処していきましょう。




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