【企業向け】副業人材を採用するメリット・デメリットと注意点。採用のコツも紹介
働き方の多様化が進み、本業を持ちながら複数の企業で活動する「副業人材」が増えています。企業においても、「副業人材」を活用する動きが盛んになってきました。
この記事では、企業が副業人材を採用するメリット・デメリットを解説します。注意点や採用手法、採用のコツも合わせて説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
副業人材と正社員の違い
副業人材を効果的に活用するには、まずその特徴を把握することが大切です。
正社員と副業人材の勤務形態は、大きく異なります。なかでも、特筆すべきポイントは、以下の通りです。
この違いを詳しく解説していきます。
副業人材の勤務時間と契約期間
副業人材は「本業」を持っているため、勤務時間は本業以外の空き時間となります。
平日に本業の仕事をしている人であれば、平日の夜間や土日祝に働く「平日休日分散型」の働き方になるでしょう。
また、正社員が「雇用契約」であることに対して副業人材は「業務委託契約」を結びます。そのため、正社員とは違い有期での契約となり、気軽に採用できるメリットに繋がります。
一方で制約もあり、たとえば以下のことができません。
- 労働時間、場所の指定
- 指揮監督
- 専従業務の強制
こうした業務委託での注意点を詳しく知りたい場合は、「雇用形態が業務委託とはどういうこと?その手続き方法や指揮命令権などの注意点を紹介」の記事をご覧ください。
副業社員に任せる業務
副業人材に任せられる業務は、正社員とはやや異なります。
労働時間や契約条件などの特性からして、職種としては「幅広い業務に対応するゼネラリスト」よりも「専門的な知識やスキルとそれに特化した経験を持つスペシャリスト」が向いていると言えるでしょう。
また、副業人材も、自身の専門的なスキルを活かせる場を求めている傾向があります。そのため、副業人材を募集するときは、その職務を明確に規定しましょう。
具体的には、以下のような職種が挙げられます。
- エンジニア
- デザイナー
- マーケター
- HR(人事担当)
- 広報
- 経営企画 など
副業として採用した場合のメリット・デメリット
副業人材は会社の事業運営・プロジェクト進行にとって大いに役立つ存在です。しかし、その特性上、メリットだけでなくデメリットもあります、どちらも把握した上で、活用を検討しましょう。
ここでは、副業人材を採用した場合のメリット・デメリットをご紹介します。
企業からみた副業社員のメリット
企業側から見て、副業人材の採用には以下のようなメリットがあります。
- 採用のミスマッチを軽減できる
- 必要な時だけ必要な人材を確保できる
- 即戦力としての活躍が期待できる など
・採用のミスマッチを軽減できる
会社で正社員を採用して後からミスマッチが発覚すると、影響範囲は大きく、長期的な損失につながります。しかし、副業人材は有期契約のため、影響は最小限。そのため、ミスマッチのリスクが低いといえます。
・必要な時だけ必要な人材を確保できる
業種によっては、繁忙期と閑散期が存在します。その際、正社員だけだと人が足りなくなったり、反対に余ったりする場合も。しかし、柔軟に契約できる副業人材を活用すれば、繁忙期のみ働いてもらうなどの対応が可能です。人材を長期的に固定給で抱える必要がないというのは、副業人材の採用における大きなメリットの一つでしょう。
・即戦力としての活躍が期待できる
副業人材は本業で既にスキルを得ているため、教育コストがかかりません。特定のスキルに長けたスペシャリストを低コストで活用できるのは、正社員採用にはないメリットです。
企業からみた副業人材のデメリット
反対に、副業人材を採用するデメリットは以下のようなものがあります。
- 所属意識の低さから派生するコミュニケーション不全
- 勤務時間が限られているため依頼できる仕事も限定的
・所属意識の低さによるコミュニケーション不全
副業社員の場合、正社員雇用・専従契約の従業員と比較して所属意識が根付きづらいというデメリットがあります。この所属意識の低さから派生するコミュニケーション不全や、社員とモチベーションの差などの影響が出る恐れがあります。
そのため、副業人材の場合はこのような部分での人事的な管理やサポートが企業側にとってひとつの課題となることでしょう。
・勤務時間が限られているため依頼できる仕事も限定的
副業人材の月間勤務時間はおおよそ正社員の1/4程度と言われています。そのため、社員と同等の働き方を期待することは難しいのです。スペシャリストであっても、副業人材だけで事業を発展させるのは不可能に近いでしょう。
過度に期待しすぎないことも重要です。
副業人材の採用を成功させるポイント
副業人材の採用で、気をつけるべきポイントをまとめました。副業人材の採用を企業の成長に直結させるためにも、以下を参考にして採用活動を進めてみてください。
1. 自社のフェーズを知る
企業の成長フェーズは大きく3つに別れています。
フェーズによって、企業の成長に効果的な人材の種類は変わってきます。まずは副業人材を探す前に、以下を参考にして自社のフェーズを知りましょう。
▲出典:HRog
創業期(0→1フェーズ) | プロダクトやサービスが定まり検証を重ねていくフェーズ。事業の形を都度変容させていく必要があるため、経営的視点も兼ね備えた人材のニーズが高い。スピーディにPDCAを回して課題解決できるスキルが求められる。 |
成長期(1→10フェーズ) | 事業としての形がほぼ完成し、より拡大することを目指すフェーズ。組織が大きくなっていく中で、各部署の中核を担える優秀な人材のニーズが高い。また、長期的に活躍してもらえるように副業人材→正社員にしようとする動きが出てくる。 |
成熟期(10→100フェーズ) | 事業の柱が完成し、新たな事業領域でのイノベーションを目指すフェーズ。自社にない知見やスキルを持ったメンターの立ち位置である人材のニーズが高い。副業人材として活用することで、採用しづらい人材の力を借りることができる。 |
2.副業人材がパフォーマンスを発揮しやすい体制を整える
副業人材は限られた稼働時間で、高いパフォーマンスをだす必要があります。そのため、副業人材が働きやすく、能力を発揮できる社内での環境づくりが重要です。
以下の体制が不十分の場合、改善することを考えてみてはいかがでしょうか。
- リモート環境の整備
- タスク管理システムの導入
- 社内の情報にアクセスできるシステムの導入
- PM(プロジェクトマネージャー)の導入
特にPMの導入はおすすめです。プロジェクトを管理する役割がいることで、副業社員の業務が明確化され、生産性の向上につながります。
副業人材の採用手法とその過程
実際に副業人材を採用する際の手法と具体的なステップについて解説していきます。
副業人材のペルソナを策定
中途で社員を採用する際と同じく、まずは求める人物像を明確化するためにペルソナを定めます。ペルソナとは、求める人物像の経歴や業務内容、求めるレベルなどを具体的に定めたものです。
▲出典:note:高谷 匠 Ⅰ HeaR
具体的な業務内容やキャリアパスなどに加え、経歴なども想定して追記していけると良いでしょう。
業務委託の内容を定める
副業人材への仕事の依頼は業務委託契約です。業務委託契約は大きく以下の2種類に分けられます。
請負契約 | 成果物に対して費用を支払う契約です。「〆切までに指定のイラストを提出」といった形で依頼します。 |
準委任契約 | 業務を行うことを委任する契約です。業務を遂行してもらうことを任せる契約であって、成果物の提出を目標にはしません。費用も労働自体に対して支払います。 |
記事執筆を行うライターや、イラストやデザインを担うクリエイターの場合には請負契約になる傾向があります。一方、事務的な作業を依頼する場合には準委任契約となります。
自社の依頼がどちらか整理し、依頼する職務をより具体化しておきましょう。
副業人材の採用手法4選
ペルソナと依頼内容を明確化した後、手法を決めて実際に採用に取り掛かります。以下の4つが代表的な副業人材の採用手法と言えるでしょう。
リファラル採用
内容 | 社員の紹介や知り合いから人材を採用する手法 |
メリット | ・コストがほとんどかからない ・自社に適正のある人材と出会える可能性が高い |
デメリット | 応募の確実性が低い |
自社との相性が良い人材を採用できる可能性が最も高い手法。ただし、社員の繋がりに依存する手法のため、リファラル採用だけを用いるケースは稀です。
アウトソーシング
内容 | 自社の業務の一部を外部へ委託する |
メリット | ・社員が中心の事業へ集中できる ・自社が肥大化することを防げる |
デメリット | ・外部からの情報漏洩のリスクがある ・業務分担がかえって複雑になり、業務量が増える |
副業人材の採用に限らず、外部の企業へ委託する際にも用いられる手法です。自社で採用するというより、外部の人材に仕事を任せるイメージの方が近いかもしれません。
自社HPの活用
内容 | 自社のHPで副業人材の募集を掲示する |
メリット | ・コストがかからない ・自社に対する理解が深い人材である可能性が高い |
デメリット | 自社の知名度がないと応募が集まらない |
最もシンプルな手法。しかし、自社の知名度に大きく左右されるためハードルの高い方法でもあります。
人材エージェントの利用
内容 | エージェントに希望する人材の条件を伝え、候補者を提案してもらう |
メリット | ・採用の確実性が高い ・優秀な人材に出会いやすい |
デメリット | ・費用が高い ・エージェント選出の候補者の中からしか選べない |
費用は高いものの、採用経験が少ない会社にとってはメリットが大きい手法です。相談に乗ってもらえるなどサポートの充実も魅力の1つでしょう。
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