副業・業務委託人材の採用ノウハウ

一人当たりの採用コストは平均どれくらい?コストの内訳や職種別の採用コスト、採用コストを抑える方法を紹介

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労働人口の減少により採用が難しくなりつつある現代では、一人当たりの採用コストが高くなりやすい状況にあります。採用にコストをかけることはもちろん重要ですが、高いコストをかけたからと良い人材を採用できるとは限りません。一人当たりの採用コストを抑えるには、その相場や採用にかかっているコストの内訳を把握することがポイントです。


本記事では、一人当たりの採用コストの平均や採用コストの内訳、一人当たりの採用コストを抑える方法を解説していきます。


一人当たりに平均採用コスト

人材を採用するには、当然コストがかかります。では、実際に一人当たりどれほどの採用コストがかかっているのでしょうか。ここでは、新卒採用と中途採用の一人当たりの採用コストをみていきます。

新卒採用一人当たりの平均採用コスト

株式会社リクルートが運営する就職みらい研究所「就職白書2020」によると、2019年度の新卒採用の一人当たりの採用コストは「93.6万円」でした。2018年度と比較すると31%の増加となっています。


新卒一人当たりの採用コストが増加傾向にある背景には、少子高齢化に伴う学生数の減少が関係していると考えられます。企業間の採用競争が激しくなり、採用活動への動員数やPR費用の増加が一人当たりの採用コストの底上げにつながっているといえるでしょう。

中途採用一人当たりの平均採用コスト

就職みらい研究所「就職白書2020」によると、中途採用一人当たりの採用コストは「103.3万円」です。人材要件を考えると新卒採用よりはコストが高くなりますが、近年は新卒採用との差が縮まっている状況にあります。


とはいえ、より高度なスキルや経験、実績を持つ即戦力を求めるほど採用コストは高くなるでしょう。なぜなら、即戦力人材は転職市場で需要が高い存在であるため、より良い人材を確保しようと各企業がコストを投入するからです。


一人当たりの採用コストの算出方法

一人あたりの採用コストは、言い換えれば「採用単価」です。下記の計算式から算出できます。


一人あたりの採用コスト=採用コストの総額 ÷ 採用人数


採用にかかったコストの総額と採用が確定した人数が必要となるため、1年間の採用活動がすべて終了してから算出できます。


株式会社マイナビが運営するマイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」によると、2023年の中途採用活動の実績は、下記のとおりでした。


中途採用人数(年間平均)

21.8人

中途採用の年間費用

629.7万円


このデータを元に中途採用の一人当たりの採用コストを計算すると「629.7万円÷21.8人=28.8万円/人」となります。


【業種・職種別】一人当たりの採用コスト

では、業種や職種でみると一人当たりの採用コストはどうでしょうか。求人広告費からみた一人当たりの採用コストになってしまいますが、株式会社マイナビ「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」より、業種・職種別の一人当たりの採用コストをみていいます。

【業種別】一人当たりの採用コスト


IT・通信・インターネット

52.9万円

メーカー

39.9万円

商社

30.6万円

サービス・レジャー

39.1万円

医療・福祉・介護

32.6万円

流通・⼩売・フードサービス

31.8万円

マスコミ・広告・デザイン

29.5万円

金融・保険・コンサルティング

48.3万円

不動産・建設・設備・住宅関連 

34.9万円

運輸・交通・物流・倉庫

30.5万円

環境・エネルギー

26.3万円

公的機関

34.4万円


マイナビのデータによると、全業種の採用者1人あたりの求人広告費の平均額は38.5万円でした。うち、一人当たりの採用コストがもっとも高い業種は「IT・通信・インターネット」、次いで「金融・保険・コンサルティング」となります。

【職種別】一人当たりの採用コスト


営業

33.7万円

企画・経営

33.9万円

管理・事務

32.3万円

販売・フード・アミューズメント

27.3万円

美容・ブライダル・ホテル・交通

26.4万円

医療・福祉

28.4万円

保育・教育・通訳

26.2万円

クリエイティブ

32.9万円

WEB・インターネット・ゲーム

38.0万円

コンサルタント・金融・不動産専門職

35.0万円

公共サービス

52.6万円

ITエンジニア

38.8万円

電気・電子・機械・半導体

29.9万円

建築・土木

33.1万円

医薬・食品・化学・素材

31.6万円

技能工・設備・配送・農林水産

31.7万円


公共サービスの具体的な職種は、警察官や消防士、教師などの公務員です。公共サービスが圧倒的な採用コストとなる一方で、そのほかは概ね20〜30万円台が相場となります。


採用にかかるコストの内訳

一人当たりの採用コストには、採用コストの総額が関係してきます。では、具体的に採用にはどういったコストがかかるのでしょうか。ここでは「外部コスト」と「内部コスト」の2つからその内訳を詳しくみていきます。

外部コスト

外部コストは、外部に支払うコストのことです。主な内訳には、下記のようなコストがあります。


・求人広告費

・人材紹介費

・会社紹介動画の制作費

・採用パンフレットの制作費

・採用サイトの制作費

・採用系ツールの利用料

・会社説明会等の会場費用

・内定者研修の外部委託費 など


わかりやすくいえば、採用活動のために外注したコストです。


外部コストをかけたからと採用がうまくいくとは限りませんが、ここのコストが少なすぎてもうまくPRできずに応募がこないといった事態になりかねません。


株式会社マイナビ「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」では、各採用ツールに関する予算と実際のコストについてのデータも公表しています。


利用したサービス・手法

予算

実際に使ったコスト

人材紹介

503.7万円

400.3万円

求人広告

155.5万円

142.1万円

ダイレクトリクルーティング

226.6万円

178.9万円

求人検索エンジン

150.5万円

139.0万円

合同企業説明会

166.5万円

140.9万円

採用ブランディング

114.6万円

88.0万円

その他経費

121.3万円

92.8万円

合計

770.4万円

629.7万円


最もコストがかかっているのは、人材紹介です。求める人材を確保しやすいですが、手数料が高額なためコストがかかりやすい手法です。


一方、予算額からはダイレクトリクルーティングに力を入れている企業が多いことがわかります。2023年の実績では、求人広告よりも力を入れていることがうかがえます。


なお、マイナビのデータによると、中途採用費用の合計は予算・実績ともに前年比で増加しています。



実績

予算

2023年

770.4万円

629.7万円

2022年

618.4万円

573.9万円

内部コスト

内部コストは、自社内で発生したコストです。主なコストは、採用活動に従事する従業員の人件費です。具体的には、下記のような部分のコストになります。


・採用担当者の人件費

・選考に関わる人の人件費

・リファラル採用のインセンティブ

・応募者や内定者への交通費

・内定者懇親会・入社歓迎会などの交際費 など


内部コストは、外部コストに比べて正確な費用や内訳を把握しにくいものです。各プロセスに費やした工数を記録し、時給換算できるようにしておくことである程度のコストは把握できるでしょう。


一人当たりの採用コストを抑える方法

一人当たりの採用コストを抑えることで、他の経営活動にコストを割けるようになります。また、人材を採用してからも育成にコストがかかります。採用コストが抑えられた分、育成にコストをかけられれば、育成の質を高めたり、育成手法を充実させたりすることも可能になるでしょう。


ここでは、具体的な方法をご紹介します。

採用コストの最適化を図る

単にコストを削減するのではなく、採用活動にかかっているコストを定期的に見直し、最適化を図ることが有効です。外部コストは可視化しやすいため、まずは外部コストから見直していくと良いでしょう。


外部コストは内部コストよりも高額になりやすいですが、自社のリソースではまかなえない部分でもあります。そのため、むやみにコストを抑えるのではなく、本当に必要な部分を見極めることがポイントです。


内部コストはコストの定量化が難しいため、最適化を図るのは難しいでしょう。ただし、採用担当者を必要以上に減らすなどしてコストを抑える方法は注意が必要です。担当者一人当たりの負担が増えてしまい、採用の質が低下してしまうおそれがあります。

コストが低い採用手法を活用する

採用手法によって、一人当たりにかかる採用コストも変わってきます。厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査結果の概要」によると、採用手法別に採用1件あたりにかかる平均コストは、下記のようなデータがでています。



正社員

非正社員

民間職業紹介事業者 

85.1万円

19.2万円

求人情報誌・チラシ 

11.2万円

7.7万円

インターネットの求人情報サイト

28.5万円

10.8万円

インターネットの求人情報まとめサイト

6.4万円

3.2万円

スカウトサービス

91.4万円

44.0万円

新聞広告・屋外広告

7.1万円

4.5万円

SNS

0.9万円

0.2万円

知り合い・社員等からの紹介(縁故)

4.4万円

3.4万円

自社HP等からの直接応募

2.8万円

2.7万円


外部サービスを利用した採用手法は、一人当たりの採用コストも高くなります。一方で、SNSやリファラル採用、自社HPといった内部リソースを活用した方法は、採用コストが低いことがわかります。


母集団の形成には外部サービスの活用も有効ですが、採用コストが抑えられる手法も活用していくことがポイントです。

選考プロセスを見直す

内部コストの削減に有効なのが、選考プロセスの見直しです。人事をはじめ、選考プロセスに関わる人と時間が多くなるほど、内部コストが膨らみます。下記のような施策から、採用プロセスの最適化を図ってみましょう。


・選考回数の見直し

・採用ツールの活用

・採用評価基準の統一化 など

ミスマッチを軽減する

内定辞退や入社後の早期離職が発生すると、採用にかかったコストがすべて無駄になってしまいます。そうならないためには、ミスマッチの軽減が有効です。ミスマッチを軽減するには、以下のようなポイントを意識して採用に取り組みましょう。


・企業の実態や課題なども含め、リアルな情報を伝える

・インターンシップやカジュアル面談の機会を設ける

・カルチャーフィットを重視する など


まとめ

少子高齢化により労働人口が減少する現代では、一人当たりの採用コストも高騰傾向にあります。とくに、中途採用で即戦力人材を求める場合、採用競争が激しいこともからも一人当たりの採用コストは高くなりやすいでしょう。


しかし、採用コストは求める人材を採用するために必要なものです。無理にコストを削減し、採用の質が低くなっては本末転倒です。


まずは自社の採用にかかっているコストの総額から一人当たりの採用コストを算出し、平均・相場と比べて高いのか、低いのかを判断しましょう。その上で、高すぎる場合は採用コストの見直しと最適化を行ってみてください。





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