副業・業務委託人材の採用ノウハウ

中途の採用単価は一人当たりどれくらい?職種別・企業規模別の平均値や採用単価を抑える方法を解説

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中途は採用単価が高くなりやすい傾向にありますが、実際一人当たりの採用単価はどれほどなのでしょうか。採用単価が高いからと即戦力となる優秀な人材であるとは限らないため、状況によっては採用単価を抑えるための取り組みが必要です。


本記事では、採用単価とは何かをふまえ、中途の採用単価の現状や採用単価を抑える方法について解説していきます。

採用単価とは

採用単価とは、一人当たりの採用にかかったコストのことです。採用単価が高いほど、一人当たりの採用に費やしたコストが高いということです。


まずは、採用単価の内訳や算出方法についてみていきましょう。

採用単価の内訳

採用単価に関係してくるコストには「外部コスト」と「内部コスト」の大きく2種類があります。その内訳は、下記のとおりです。


外部コスト

内部コスト

・求人広告費

・人材紹介費

・会社紹介動画の制作費

・採用パンフレットの制作費

・採用サイトの制作費

・採用系ツールの利用料

・会社説明会等の会場費用

・内定者研修の外部委託費 など

・採用担当者の人件費

・選考に関わる人の人件費

・リファラル採用のインセンティブ

・応募者や内定者への交通費

・内定者懇親会・入社歓迎会などの交際費 など


外部コストは、外部サービスの利用料や委託料であり、何にどれくらい使ったかを可視化しやすい点が特徴です。内部コストは、社内の採用活動で発生するコストであり、主に人事担当者や選考に関わる従業員の人件費、採用者にかけたコストが該当します。人件費の割合が大きく、コストの可視化が難しい点が特徴です。

外部コストは実際どれくらいかかってる?

株式会社マイナビ「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」では、各採用ツールに関する予算と実際のコストについてのデータを公表しています。



利用したサービス・手法

予算

実際に使ったコスト

人材紹介

503.7万円

400.3万円

求人広告

155.5万円

142.1万円

ダイレクトリクルーティング

226.6万円

178.9万円

求人検索エンジン

150.5万円

139.0万円

合同企業説明会

166.5万円

140.9万円

採用ブランディング

114.6万円

88.0万円

その他経費

121.3万円

92.8万円

合計

770.4万円

629.7万円


最もコストがかかっているのは、人材紹介です。人材紹介はダイレクトに採用につながるため効率的な採用が可能となりますが、紹介手数料が発生する点で高額になりやすい採用手法です。


一方、予算の割合から、中途採用で力を入れている採用手法がうかがえます。このデータでいえば、多くの企業が人材紹介、ダイレクトリクルーティング、合同企業説明会に力を入れていることがわかります。

採用単価の算出方法

採用単価=採用コストの総額 ÷ 採用人数


採用単価を算出するには、採用活動にかかったコストの総額を知る必要があります。内部コストは正確なコストが算出できない場合もあるため、採用単価はおおよその数字となります。


株式会社マイナビが運営するマイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」によると、2023年の中途採用活動の実績は、下記のとおりでした。


中途採用人数(年間平均)

21.8人

中途採用の年間費用

629.7万円


このデータを元に中途採用の一人当たりの採用コストを計算すると「629.7万円÷21.8人」の計算から、採用単価は「28.8万円/人」となります。


中途の採用単価はどれくらい?

リクルート株式会社が運営する就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、2019年度の中途採用一人当たりの採用コストは「103.3万円」でした。2018年度の中途の採用単価は83万円であり、増加傾向にあることがわかります。


マイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」によると、中途の年間採用人数の平均は約22人です。これらの数値を単純計算すると、中途の採用コストの総額は、2,200万円ほどとなるでしょう。

即戦力となる中途ほど採用単価が高くなる

中途では即戦力の採用を求めている場合が多いですが、即戦力ほど採用単価が高くなりやすい傾向にあります。


というのも、即戦力となる優秀な人材は不足しているためです。また、高いスキルと実績を持つ人材は即戦力として早期に活躍が期待できるため、採用単価が高くなっても企業は採用したいことから、採用単価も高くなりやすいと考えられます。


少子高齢化による労働人口の減少により、即戦力となる優秀な人材の母集団も少なくなっているため、需要の高さから採用単価も高くなりやすい状況にあります。

職種別、企業規模別にみる中途の採用単価

マイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」では、職種別や企業規模別の採用単価を公表しています。このデータをもとに、職種別・企業規模別の中途の採用単価をみていきましょう。

【職種別】中途の採用単価


営業

33.7万円

企画・経営

33.9万円

管理・事務

32.3万円

販売・フード・アミューズメント

27.3万円

美容・ブライダル・ホテル・交通

26.4万円

医療・福祉

28.4万円

保育・教育・通訳

26.2万円

クリエイティブ

32.9万円

WEB・インターネット・ゲーム

38.0万円

コンサルタント・金融・不動産専門職

35.0万円

公共サービス

52.6万円

ITエンジニア

38.8万円

電気・電子・機械・半導体

29.9万円

建築・土木

33.1万円

医薬・食品・化学・素材

31.6万円

技能工・設備・配送・農林水産

31.7万円


公共サービスに該当する職種は、教師や警察官、消防士などの公務員です。もっとも採用単価が高い公共サービスを除き、一般企業の中途の採用単価は概ね20〜30万円台が相場となります。

【企業規模別】中途の採用単価


3〜50名

21.4万円

51〜300名

404.万円

301〜1,000名

35.9万円

1,001名

44.6万円


企業規模が大きいほど採用単価も高くなる傾向にあります。一方で、51〜300名の中小企業は、1,001名以上の大企業に近い採用単価です。


大企業は資金が潤沢であり、優秀な中途人材を獲得するために採用コストを多く費やしているケースが多いでしょう。しかし、中小企業の場合は母集団形成がうまくいかずに応募人数や採用人数が少なくなりやすい点で採用単価が高くなっていると考えられます。


とはいえ、なかには成長段階にあり、あえて採用にコストをかけている、あるいは大企業のように資金に余裕があるケースもあるでしょう。


中途の採用単価を抑えるには?採用コストを最適化する方法

採用にかかるコストは、経営活動にかかるコストの中でも大きな割合を占めています。採用単価が高いからと必ずしも良い人材とは限らず、採用コストをかけたからと必ずしも採用に成功するとは限りません。


しかし、採用コストを無理に削減することは、採用の質低下の原因となり得ます。そこで重要なのは、採用コストの最適化です。採用コストが最適化できればコストの無駄をなくし、結果的に採用単価も抑えられるでしょう。


ここでは、採用単価を抑えるために採用コストを最適化する具体的な方法をご紹介します。

採用コスト全体の見直し

採用コストにどれくらいかかっているかを把握し、全体のコストを見直すことが有効です。あまり効果がない施策への予算を削減し、採用の効率や質を高めたい施策にコストを投下することで最適化を図りましょう。


外部コストと内部コストそれぞれの観点から見直しのポイントをみていきます。

外部コストの見直しポイント

外部コストは内部コストよりも高額になりやすいです。とくに人材紹介のような、直接的に採用につながるサービスほど高くなるでしょう。


しかし、外部コストを削減し過ぎてしまっては、採用の効果が大幅に低下するおそれがあります。そのため、ポイントはコストの削減ではなく、バランスの良いコスト設定です。


定期的に見直し、コストをかけ過ぎているものがないか、費用対効果がどれくらいかをチェックし、効果が高い施策にコストを投入できるようにしましょう。

内部コストの見直しポイント

内部コストは外部コストのように可視化しにくいため、明確なコストの見直しが難しい項目です。とはいえ、人件費がメインとなるため、採用担当者を減らせばコストは削減できます。しかし、無理に採用担当者を減らし、一人当たりの負担が増えてしまっては、採用の質が低下しかねません。


まずは人員の削減ではなく、選考フローを見直し、効率が悪い業務が発生していないかを確認してみましょう。外部コストはかかってしまいますが、採用ツールの導入や採用業務の一部委託により、社内の採用担当者がコア業務に専念できる環境を作ることも有効です。

採用単価が低い採用手法の活用

採用手法によって、中途の採用単価も変わってきます。厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査結果の概要」によると、採用手法別にみた採用1件あたりにかかる平均単価は、下記のとおりでした。



正社員

非正社員

民間職業紹介事業者 

85.1万円

19.2万円

求人情報誌・チラシ 

11.2万円

7.7万円

インターネットの求人情報サイト

28.5万円

10.8万円

インターネットの求人情報まとめサイト

6.4万円

3.2万円

スカウトサービス

91.4万円

44.0万円

新聞広告・屋外広告

7.1万円

4.5万円

SNS

0.9万円

0.2万円

知り合い・社員等からの紹介(縁故)

4.4万円

3.4万円

自社HP等からの直接応募

2.8万円

2.7万円


外部サービスを利用した採用手法は、紹介手数料もあるため、採用単価が高くなりやすいです。一方、SNSやリファラル採用、自社の採用サイトといった内部リソースを活用した採用手法は、採用単価はそれほど高くありません。


母集団形成のためには外部サービスの利用も必要であるため、外部サービスを効率的に活用しつつ、社内で採用が行える仕組みを構築していくことがポイントです。

ミスマッチの軽減

ミスマッチが増えると、採用単価が高騰する要因となります。。内定辞退は採用単価に直接影響し、ミスマッチは入社後の早期離職に直結します。さらに、早期離職は育成コストの損失にもなります。


ミスマッチを軽減するには、求める人物像の明確化と入社後のギャップを抑える工夫が必要です。


中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」では、自社と採用社のマッチング満足度についての調査も行っています。満足度が高い企業は、下記のような工夫や取り組みを行っています。



採用社と自社のマッチングに満足している理由

選考基準

・面接選考の基準を厳しくした

・書類選考の基準を厳しくした

・求人などの募集要項を厳しくした

選考手法

・対面での面接回数を増やした

・Webでの面接回数を増やした

採用コスト

・中途採用の予算を増やした

・採用担当人員を増やした

・入社初年度の年収額を上げた

・利用する求人サービスを増やした

社内制度

・入社後研修など、社内教育の機会を増やした

・人事評価制度を見直した(福利厚生、評価制度など)

・働き方改革を推進した(テレワーク・副業・兼業の認可など)

・企業理念・文化・トップのメッセージなどを積極的に発信した


まとめ

中途の採用単価は、年々増加しています。その背景には、少子高齢化による労働人口の減少が大きく関係しているでしょう。中途人材の母集団が減少する中、即戦力となる優秀な人材の割合はさらに少なくなり、採用競争が激化しています。その影響もあり、即戦力となる中途を採用するほど、採用単価も高額になりやすいでしょう。


採用単価が高くても、入社後に活躍し、かつ定着してくれればコストを回収できます。しかし、そもそも応募が来ないことで採用単価が上がってしまっている、採用できても内定辞退や早期離職が多い状況では、採用手法やコストの見直しが必要でしょう。


中途の採用単価は無理に削減せず、「良い人材を確保する」ことに主眼を置いて採用に取り組むことが重要です。






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