即戦力が取れない原因と対策!即戦力人材を見極める方法や活躍してもらうために必要なこととは
即戦力とは、入社後早期に戦力となってくれる人材のことです。中途採用では即戦力を求める傾向にありますが、即戦力が取れないと悩んでいる企業も少なくありません。即戦力が取れない企業には、一体どういった課題があるのでしょうか。
本記事では、即戦力が取れない原因と対策、即戦力を見極める方法などを詳しくご紹介します。
即戦力が取れない原因と対策
中途採用で即戦力が取れない主な原因として、下記3つが考えられます。
・採用条件が厳しすぎる ・給与や待遇が見合っていない ・企業の認知度やブランド力が低い |
とくに、中小企業では給与や待遇、企業の認知度・ブランド力に課題を感じている場合も多いでしょう。ここでは、原因とあわせて対策もご紹介します。
採用条件が厳しすぎる
即戦力を求めるあまり、高すぎる採用条件を設定している企業も少なくありません。採用条件が厳しいと、そもそもマッチする人材がほぼおらず、応募がこないといった事態になってしまうでしょう。たとえ、エージェントや人材紹介会社から紹介を受けられたとしても、内定に至らないといったケースも少なくありません。
また、採用条件を厳しくする場合には、そこに見合った報酬や待遇も必要です。マッチする人材がいたとしても、報酬や待遇と見合わない場合には、応募には至らないでしょう。
対策
対策として、採用条件に優先順位をつけることが有効です。まずは、中途人材に求める条件を整理し、その中で「必須の条件」と「あったら良い条件」に分類します。
業務を遂行するにあたって必須のスキルや経験は優先順位を高くし、求人票には「必須スキル・経験」として詳細を記載しましょう。
「どんなスキル・経験を持つ人材を求めているか」「どういった人に向いている求人なのか」がわかるような求人票を作成することが大切です。
給与や待遇が見合っていない
給与や待遇が見合っていないと、条件にマッチする人材がいたとしても応募に至らなかったり、内定を辞退してしまったりする可能性が高いです。
即戦力となる人材は、他社も取りたい優秀な人材です。ただでさえ売り手市場となる中、他社と比較して給与や待遇面で劣ってしまうと、なかなか応募者が集まらないでしょう。
たとえ給与や待遇が相場であったとしても、求人票からその点が把握できないと応募者を取り逃してしまうおそれがあります。
対策
即戦力に求めるレベルが高いほど、相応の給与や待遇が求められます。まずは、自社の採用条件の高さを把握し、その上で競合他社の給与や待遇の相場、市場の相場を調査しましょう。
ただし、中途採用の給与や待遇だけが良いと既存従業員の不満につながるおそれがあります。福利厚生の充実や多様な働き方の導入、残業の削減など、社内の労働環境や待遇も整備していきましょう。こうした取り組みが、結果的に中途採用で即戦力となる優秀な人材を獲得することにも直結します。
企業の認知度やブランド力が低い
給与や待遇に申し分がない場合でも、企業の認知度やブランド力が低い場合には、応募者が集まらずに即戦力が取れないといった事態に陥っているケースもあります。
優秀な人材は、企業ステータスを気にする場合も少なくありません。高いスキルや経験があれば、大手企業からも需要があるでしょう。大手企業と遜色ない条件を提示していても、知名度やブランド力の面で差がつき、大手企業に即戦力を取られてしまっている可能性も考えられます。
そもそも、知名度がないことで求人が見られない、見つけてもらえていないおそれもあります。
対策
ブランディングに取り組むことも有効な対策です。ブランディングは企業の魅力を醸成し、外部に発信する取り組みです。知名度はなくとも、求職者にとって魅力的な企業であることが伝えられれば、転職を希望する人も徐々に増えていくでしょう。知名度は、その過程と企業の成長に伴い後付けされていくものです。
また、採用チャネルを増やすことも対策の一つです。大手転職サイトでは、どうしても知名度が高い企業が有利になりやすいです。そのため、SNSや自社の採用ページ、リファラル採用など、大手転職サイト以外の採用チャネルも活用してみましょう。
「中途人材=即戦力」の思い込みが原因となっている場合もある
中途人材だからと、必ずしも即戦力とは限りません。たとえ、同業種・同職種であっても、企業の教育レベルや経験してきた業務内容・範囲、個人のスキルレベルや仕事への姿勢は、人によってさまざまであるからです。
また、求職者は採用確度を高めるため、面接では自身が即戦力である点をアピールするでしょう。しかし、求職者が自覚する即戦力と企業が期待する即戦力では、その認識が一致するとは限りません。
企業側は応募者のバックグラウンドや即戦力のレベルを把握するため、面接では「これまで学んできたこと」と「それを自社でどう活かせるか」をしっかりと深掘り、評価する必要があります。
応募書類や面接での内容を鵜呑みにしないこと、「中途人材だから即戦力だろう」という思い込みをなくすことも、即戦力が取れない課題を解消するための対策の一つです。
即戦力として活躍できる人材を見極める際のチェックポイント
即戦力が取れないと悩んでいる企業には、即戦力として活躍できる人材が見極められていない可能性が考えられます。ここでは、即戦力となる人材を見極めるための4つのチェックポイントをみていきます。
実務経験の詳細
そもそも、即戦力とは入社後短期間で実務を問題なくこなせたり、成果を出せたりすることです。即戦力として早期に現場で力を発揮してほしいという場合、実務経験の詳細をしっかりと把握しておくことが重要です。
同業種・同職種であっても、企業によって経験する業務内容や範囲は異なります。中途人材に求める業務レベルを明らかにし、そこに対する実務経験があるかをチェックすることがポイントです。
ポータブルスキルの高さ
ポータブルスキルとは、業種や職種を問わず、どのような業務でも必要なスキルの総称です。以下のようなスキルが、ポータブルスキルに含まれます。
・コミュニケーションスキル ・課題設定・解決スキル ・情報収集スキル ・臨機応変な対応力 ・マネジメントスキル など |
ポータブルスキルの対義語は、業務遂行に必要なテクニカルスキルです。実務経験がそうであるように、テクニカルスキルのレベルも企業によってさまざまです。しかし、テクニカルスキルは入社後に新しいルールややり方を覚えたり、経験を積んでいくことですぐに発揮できるものです。
ポータブルスキルは、ビジネスパーソンとしてどんなシーンでも必要とされる基本的なスキルであるため、この点のスキルの高さをチェックすることも即戦力の見極めに有効です。
採用ポジションに必要な資格やスキルの有無
前述したテクニカルスキルに該当するのが、資格やスキルです。採用ポジションの業務を遂行するのに必要な資格やスキルがあれば、即戦力として早期に現場で活躍を期待できるでしょう。
ただし、書面上に記載されている資格やスキルを鵜呑みにしないことがポイントです。とくに、資格は形だけ取得し、実務に活かせていない人も少なくありません。資格の有用性やスキルの高さを見極めるには、必ず資格やスキルをどう実務に活かしていったかをチェックすることがポイントです。
社風とのマッチ度
どれだけ高度なスキルや経験を持っていても、社風とマッチしないと実力を発揮できないおそれがあります。なぜなら、社風やカルチャーにマッチしているかは、入社後のモチベーションに大きく影響するからです。
この点がマッチしないと仕事に取り組みにくかったり、モチベーションが低下したりして、思うような成果を出せないでしょう。社風とのマッチ度は、下記のようなポイントから見極められます。
・候補者のやりたいことと、経営方針やミッション・ビジョンとの方向性が一致しているか ・候補者の価値観や志向が社風や既存の従業員とマッチしているか |
即戦力を取るために企業に必要なこと
即戦力を獲得するために企業に必要なこととして、下記3つが挙げられます。
・求める人物像の明確化 ・リファレンスチェック ・面接スキルの強化 |
求める人物像の明確化
まず重要なのは、中途採用で求める人物像の明確化です。言い換えると、自社が求める「即戦力」の条件ともいえます。具体的には、以下のようなポイントを明確にしていきます。
・必要なスキル、経験 ・キャリアに対する考え方 ・人柄、適性 |
経営戦略やミッション・ビジョンといった上位概念と連動させるだけでなく、現場が求める人物像も把握した上で総合的に明確化することがポイントです。
求める人物像が明確になれば採用基準にブレが生じることがなくなり、一定の質を保った採用が可能となります。
リファレンスチェック
リファレンスチェックとは、候補者の前職の上司や同僚などに、その人の実態を問い合わせることです。選考だけでは、候補者の実力や経験、人柄といった情報は本人からしか得られません。実態を把握するには客観的な情報が必要であり、その際にリファレンスチェックが活用できます。
入社後、より適切な人材配置や割り当てる業務を検討する際にも、リファレンスチェックで得た情報が役立ちます。
面接スキルの強化
即戦力を見極め、自社が求める理想の人材を獲得するには、面接官のスキルが重要です。本来なら即戦力となる良い人材であったとしても、面接官の主観が影響して不採用を出してしまうおそれもあるでしょう。
面接は人事だけでなく、現場のマネージャーや管理職が担当するケースも多くあります。人事以外の人が担当する場合、面接のための研修やロールプレイングなどの機会を設け、面接官の育成を強化していきましょう。
入社後に即戦力人材に活躍してもらうためにはフォローが重要
即戦力を採用できたとしても、人材の実力やパフォーマンスを引き出せるかは企業側の問題です。即戦力だからとなんのフォローもせずにいきなり仕事を任せても、当然成果は出せません。
業務の進め方やルールは企業によって異なるため、経験がある業務だったとしてもすぐにはスムーズに取り組めないでしょう。また、企業文化や人間関係にもすぐには馴染めません。
フォローを怠るとモチベーションが低下したり、新しい仕事の進め方や人間関係に慣れず、早期離職につながるおそれがあります。
せっかく採用した即戦力人材を活用できないだけでなく、失うことにもなりかねないため、即戦力だからと放置せず、適切なフォローを実施することが重要です。
まとめ
即戦力が取れない原因は、企業によってさまざまです。まずは、即戦力が取れない原因を明らかにし、そこに対する必要な改善策や対策を検討しましょう。
ひとくちに即戦力といっても、企業が求める即戦力のレベルや条件は異なります。対策を講じるだけでなく、「企業が求める即戦力とは何か」を明確にすることも重要なポイントです。そして、企業側が即戦力を見極めるスキルを身につけ、採用後に即戦力として活躍できる環境を整えることも大切です。