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転職の決め手ランキングから見る、転職者が企業に求める条件とは?転職者のニーズを理解し、採用につなげよう

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転職志望者は、さまざまな理由から転職を決意します。この転職理由は、見方を変えれば「転職先に求める条件」でもあります。では、実際にどういった理由から転職を決め、どういった条件が決め手となって転職先を決めるのでしょうか。


本記事では、転職理由や転職の決め手ランキングをふまえ、転職者が企業に求める条件・転職時に重視するポイントをご紹介します。


中途の転職率は上昇傾向にある

新型コロナウイルスを機に有効求人倍率や求人数が一時低下しましたが、近年は徐々に復活しており、転職市場は引き続き売り手市場となっています。一方で、同様に一時は低下した離職率は、再び増加傾向にあります。


新型コロナウイルスの感染が確認される前の2019年の離職率は15.5%と、数年間のなかでも最も高い数値を記録しました。その後、2020〜2021年にかけては離職率が低下し、最低で13%台でした。


しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き始めた2022年からは徐々に離職率が上昇し、2023年にはコロナ禍と同水準の15.4%に逆戻りしてしまっています。


参考:厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況-

転職者が前職を辞めた理由

では、どのような理由から離職を決めるのでしょうか。転職者の転職条件や決め手は、転職理由が大きく関係しています。


下記は、厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況-」による、転職者が前職を辞めた理由TOP5です。



男性

女性

1.

職場の人間関係が好ましくなかった

職場の人間関係が好ましくなかった

2.

給料等収入が少なかった

労働時間、休日等の労働条件が悪かった

3.

労働時間、休日等の労働条件が悪かった

給料等収入が少なかった

4.

仕事内容に興味を持てなかった

能力・個性・資格を生かせなかった

5.

会社の将来が不安だった

仕事内容に興味を持てなかった


男女ともに職場の人間関係が最も大きな転職理由でした。女性は圧倒的にこの割合が高く、職場の人間関係を重視していることがわかります。


そのほか、男女ともに給料や労働条件が主な転職理由となっています。4位以降になると、仕事内容への関心や会社の将来性、やりがいが主な転職理由です。


男女で多少の違いはあるものの、基本的な転職理由はほぼ共通しています。


転職の決め手ランキング

転職の理由はさまざまですが、具体的にどういったポイントが決め手となって入社を決めるのでしょうか。ここでは、さまざまな企業が実施しているアンケート調査から、転職の決め手ランキングをご紹介します。

マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2024年版(2023年実績)」

株式会社マイナビは、2023年に転職した20〜50代の男女1,500名を対象にアンケートを実施。本調査でわかった転職先の決め手となった理由は、以下のような結果となっています。


1.

給与が良い

2.

休日や残業時間が適正範囲内で生活にゆとりができる

3.

希望の勤務地である

4.

新しいキャリア・スキルを身につけることができる

5.

福利厚生が整っている

6.

会社に将来性、安定性がある


男女ともに上位となったのは、転職先が前職よりも「給与が良い」というポイントです。さらに、「生活へのゆとり」「希望の勤務地」であるかも主な決め手となったポイントであり、女性は男性に比べてそこが決め手となった割合が多いです。

株式会社ベクトル「転職の決め手に関するアンケート調査」

人材サービスを展開する株式会社ベクトルが2022年12月に転職経験がある男女500人に実施した「転職の決め手に関するアンケート調査」の結果は、下記のとおりです。


1.

希望する仕事内容

202人

2.

休日休暇が希望にあっている

192人

3.

勤務時間が良い

187人

4.

給与、年収が高い

170人

5.

希望の勤務地

144人

6.

経験やスキルを活かせると感じたから

103人

7.

希望の雇用形態

87人

8.

希望の業界

71人

9.

安定性がある

63人

10.

新しいキャリアを身につけられると感じたから

59人

11.

福利厚生が充実している

57人

12.

社風に魅力を感じる

19人


本調査で最も転職の決め手となったのは「仕事内容」でした。マイナビの調査では仕事内容についてはランクインしていませんでしたが、こちらの調査では決め手の第一位となっています。


この違いから、「希望の仕事内容はできているが、その他の条件で不満があり転職した」という人も多く存在することがうかがえます。


なお、共通する理由には「休日休暇の条件」や「給与の高さ」「希望の勤務地」などが挙げられます。


転職者が企業に求める条件とは?転職先選びで重視するポイント

調査結果を元に、転職者が企業に求める条件として優先的なものを具体的にみていきます。

給与の高さ

給与に不満がある人は、給与の高さ・上がり幅を軸に転職活動するでしょう。もちろん、転職者本人のスキルの高さや実績、経験によってどれくらいの給与になるかは異なります。転職した時点で給与が十分に上がらなくとも、転職後のキャリアパスや評価制度によっては昇格や昇給のペースが早く、早期に給与が上がるといったケースもあるでしょう。


現時点の給与の高さに加え、入社後の昇格・昇進スピードや評価制度、インセンティブや手当といった条件も転職者は重視しています。


給与に関して転職者がチェックする条件

・年収(年俸)

・月収

・賞与

・インセンティブ制度

・手当の有無 など

仕事内容

仕事内容を重視する人は、自分がやりたい仕事の具体的なイメージを持って転職活動しているはずです。ある程度の情報を調べた上で自分のやりたい仕事内容にマッチすると判断して応募に至っているため、転職者の持っている認識と企業側の実際の仕事内容に相違がないかを擦り合わせることが重要になってきます。



仕事内容に関して転職者がチェックする条件

・希望の業種、職種か

・これまでの経験が活かせるか

・資格やスキルを活かせるか など

労働条件・働き方

近年、労働者の働き方への意識も変化しており、プライベートを重視する人が増えています。その中で、転職者が企業に求めるのは、プライベートを重視・充実させる働き方ができるかというポイントです。


転職理由にも上位にあったように、労働条件に不満を持ち、その状況を改善すべく転職する人は多くいます。そうした人たちがとくに重視するのは、休日がしっかりと確保できるか、残業が少ないかといった条件です。


また、希望の働き方ができるか、希望の勤務地で働けるかといったポイントを重視している人の多くいます。


プライベートを充実させられるかが仕事のモチベーションや意欲にも関わってくるため、企業としてはそのための制度や環境を整えることも重要です。


労働条件・働き方に関して転職者がチェックする条件

・月の平均残業時間

・有給休暇取得率

・年間休日日数

・多様な働き方ができるか(リモートワーク、フレックスタイムなど)

・転勤有無 など

福利厚生

福利厚生の充実性は、働くモチベーションや働きやすさにも関わってくるポイントです。長くその企業で働くためにも重要な条件であり、企業によって福利厚生の充実性が異なるからこそ、重視するポイントの一つといえます。


ここで重視される福利厚生は、企業が独自に導入する「法定外福利厚生」の充実さです。とはいえ、どんな福利厚生を求めているかは、人によって異なります。企業側は転職者が判断しやすいよう、どんな福利厚生があり、どれくらい利用されているかを提示しましょう。


福利厚生に関して転職者がチェックする条件

・退職金制度

・企業年金

・財形貯蓄

・社宅、家賃補助

・持株制度

・育児・託児・介護支援制度

・食事手当

・有給以外の特別休暇制度 など



新しいキャリア・スキル

新しいキャリアを実現したり、スキルを身につけたりできるかも、転職者が企業に求める条件にランクインしていました。


とくに若手は、仕事へのやりがいや将来性も重視している傾向にあります。それゆえ、会社の将来性や自分のキャリアに不安が生じると転職を検討する人も少なくありません。


終身雇用制度が実質崩壊した時代だからこそ、自分のキャリアについて自律的に考える必要性が高まったことで、新しいキャリアやスキルを重視する人も増えていると考えられます。


新しいキャリア・スキルに関して転職者がチェックする条件

・キャリアパスが明確か

・スキルや資格を積極的に習得できる環境か

・育成が充実しているか

・資格取得などに対する企業の支援があるか など


転職活動中に企業に提示してほしい条件

実際に企業の提示条件や環境が転職者の希望にマッチしていたとしても、企業側がうまくアピールできないと転職者はその事実を知ることができません。応募に至った人材を逃さないためには、企業側が選考プロセスで十分な情報を提供することも重要です。


株式会社リクルートが実施した「転職活動者調査 第 3 弾」では、求職者に対して転職活動で企業に提示してほしいことについて調査。以下のような回答が得られています。


※回答率が高い順

・募集している職場の上司やメンバーの経歴

・募集している職場の具体的な仕事内容やミッション

・募集しているポジションの評価指標

・勤務時間や休日休暇、リモートワーク実施率等の働き方に関する詳しい情報

・入社後のキャリアパス

・募集している職場ならではの慣習やルール

・企業や組織が目指す戦略や目標

・教育制度や研修等の充実度

・企業からみた自分自身へのフィードバック(評価ポイントなど)


見方を変えれば、これらは企業が選考時に積極的に伝えていくべき情報といえます。

キャリア満足度が高い人は「誰」と働くかを重視

本調査では、キャリア満足度が高い人の回答も得ています。現職でのキャリア満足度が高い人は比較的優秀な人材と考えられ、転職先でも即戦力として期待できる貴重な存在です。そうした人たちは、「募集している職場の上司やメンバーの経歴や能力」を提示してほしいという割合が大きく、「誰」と働くかをより重視していることがわかります。


自分より優秀な人、あるいは同じくらいのレベルの環境で働いて切磋琢磨できるか、今以上のものを得られるかを重視しているからこその観点といえるでしょう。


まとめ

転職の決め手となるのは「給与の高さ」「休日休暇や残業有無」「希望の勤務地、働き方が叶うか」といった条件です。転職志望者がどういった理由から前職を辞めているかは、転職の決め手に大きく影響するでしょう。


そのため、企業側は転職志望者の退職理由を深掘りし、転職者が企業に何を求めているかを理解する必要があります。


とはいえ、転職志望者が求める条件と企業が提示できる条件が必ずしも一致するとは限りません。転職者が魅力に感じる部分を把握し、マッチすることをしっかりと伝えることが大切です。しかし、人材を獲得するために内容を盛ったり、嘘の情報を伝えることは厳禁です。


入社後のミスマッチを防ぐためにも、正確な情報を伝えましょう。









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