スポットメイト株式会社は、2017年末に誕生したHR Techのスタートアップ。恒常的に人材不足が続く飲食業やサービス業などの店舗ビジネス事業者と、非正規雇用労働者をアプリ一つでマッチングするサービス『スポットメイト』を開発しています。
同社はこれまで、Workshipを通して、デザイナーやエンジニアといったクリエイティブ職からビジネス、コーポレート職まで、数多くのフリーランスを効果的に活用。事業のグロース体制を構築しています。
今回は、スポットメイトの共同創業者であり、CDO(Cheaf Design Officer)の三澤さんに、お話を伺いました。
飲食業とサービス業を中心に採用課題を解決し、働き手にとってもっと働きやすく、選択肢を広げられる仕組みづくりを
ー 事業内容について教えてください
スポットメイトは、「店舗ビジネスの事業者」と「アルバイトなどの非正規雇用のワーカー」をマッチングするマーケットプレイスです。
事業者とワーカーのどちらの課題にとってもメリットがあるサービスであろうと思っています。事業者は店舗の従業員不足を解決できて、ワーカーは働き方を柔軟に選択できる。
どちらにとっても良いサービスを提供するために、ミスマッチがないように最初はトライアルの形で働けるような仕組みを用意するなど、顧客の声を聞きながら、常に改善を続けています。
ー どうして飲食業とサービス業に絞り込んだのですか?
一番の理由は、さまざまな業界を見たときに、採用課題が最も大きいことです。慢性的に人材不足が続いており、店舗の運営者が多忙なことも多く、なかなか腰を据えて採用活動に注力できていない状況です。
この状態を解消するために、他社も同様に飲食業界向けの採用サービスを展開していますが、サービスの作り方として、色々な仕事を並べてマッチさせる形になっています。
しかしながら、それだと飲食業やサービス業の人材不足の本質的な解決には繋がりにくい。というのも、掲載量が多い方が人気になってしまい、結局条件偏重になり、「楽な方」や「稼げる方」に人材が流れてしまうからです。
そこでスポットメイトは、業界の魅力を引き出すサービスづくりを心がけ、ワーカーにとってもっと働きやすい仕組みを作ろうとしています。ちゃんと稼げて、自分により合う環境に移動できるような、選択肢を広げられる世界を実現していきたいです。
ー サービスを利用する企業にはどのようなメリットがありますか?
まず、応募がたくさんくることです。今まで長期契約だとなかなか応募がこなかったところも、スポットメイトを通して人材を獲得しています。さらには、そこから長期のアルバイト雇用に繋がっている事例もあります。
業界の採用事情として、「高い時給を提示しても集まらない」「人が定着しない」といった課題がありますが、現時点でも、スポットメイトはソリューションとして機能していると実感しています。
2人であらゆるタスクをこなす日々。新規事業を作る上で最も重要な仕事に注力できなかった
ー Workshipをご利用いただいておりますが、どのような課題があったのでしょうか
CEOの田中と私で、スポットメイトを創業しました。スタートアップにはよくあることかもしれませんが、経営に必要なすべての業務を2人でまわしていたので、凄まじい忙しさでしたね。
デザインはもちろん、ビジネスモデルの構築、マーケティング、採用、資金調達に関わる業務……本当に全てです。事業とサービス成長のために本来注力すべき「市場を見て、競合他社を分析し、戦略立案する」「課題を分析し、サービスを改善する」などの仕事に注力しきれない状況でした。
ー 最初どのようにその課題を解決しようとしていましたか?
最初は、ある採用サービスで採用を試みましたが、全然エントリーがなくて。そのサービスの特性上、人を集めようと思うとまず認知される必要があり、認知されるには運用にかなりコミットする必要がありました。
しかし、それだと労働集約になってしまう。何か他に方法はないかとTwitterや、紹介経由でも採用を試みましたが、結局採用コストがかかってしまい……私たちにフィットする方法を、なかなか見つけられずで。
社会が働き方に対して柔軟になりつつある一方で、フリーランスやパラレルワーカーに効率良くリーチできる採用サービスがあまりなく、困っていたところ、Facebook広告でWorkshipを見つけて登録しました。
タスクを分散させ、開発とグロースに集中できるように。多様な人材と出会い、新たな発見も
ー Workshipを利用してみてどうでしたか?
これまで2人でまわしていたタスクを分散できました。Workshipを通じて、これまで30人は発注しましたね。エンジニア、デザイナー、あとマーケターやセールスなどのビジネス職、さらに人事などのコーポレートスタッフも採用しています。
当時、弊社には特にビジネス系職種の人材が不足していたんです。他のサービスでも探していましたが、獲得が難しかったし、そもそも副業がまだあまり一般的ではない中、ビジネス職やコーポレートスタッフの優秀な人材も採用できるWorkshipにとてもメリットを感じています。
ー 他にWorkshipの良いと思うところはありますか?
実は、私たちとしては、自社に合う人材を知れたことが一番大きいです。制作会社、コンサルティングファーム、公認会計士など、多様なバックグラウンドをもつ方とお話したことで、「こういう人とも相性が良いんだ!」と発見がありました。
例えば、正直なところ、以前は「コンサルティング会社出身の方とは合わないのではないか」という仮説がありました。しかし、セールスとして稼動してもらう中で、意外とお互いに生産性高く仕事を進められましたね。他のサービスでは得難い体験で、とても興味深いです。
ー 体験面でよかったと思ったところありますか?
会社の知名度に関わらず、フラットに人材にリーチできるのもかなり魅力に感じています。マッチング成立してすぐにメッセージを送れるのも良いですね。人材獲得に多くのリソースを割かなくてはならない他の採用方法と比べて効率的です。
フリーランスの質という点でも、募集の作り方を工夫し、面談で認識をしっかり共有することで、良い人と巡り会える可能性も高い。私たちのように、まだこれからのスタートアップにとっては、とても価値の高いサービスだと感じています。
フリーランス活用のポイントは「会社や事業について、しっかり理解してもらうこと」と「管理」しないこと
ー 現時点で30人も発注されているということでしたが、採用を進める上でコツは何かありますか?
セールス、マーケティング、エンジニアなど、広く募集しています。エンジニアであれば技術要件はありますが、業務をあまり明確に決めてはいませんね。ひとまずマッチング成立した方とやりとりをして、お会いしてみる方針をとっています。
面談の際には必ず一人一人、対面で「思い」を伝えています。「スポットメイトはこういう会社、文化で、こういうところが良くて、反対にまだこんな改善の余地があって……」と。伝えた上で稼動してもらうので、マッチング精度が高く、採用に伴う問題も未然に防げていると思います。
ー フリーランスのマネジメントに課題を感じている企業もあります。貴社ではどのように行なっていますか?
「管理」という意味では、全くマネジメントしていないに等しいです。「これいつまでに終わるの」といった、細かいタスクの管理などのコミュニケーションは、ほとんどしないです。
私たちとしては、マイルストーン、ビジョン、その業務に取り組む理由を提示するのみで、あとは汲み取って進めてもらいます。パフォーマンスの高い方であれば、それで自走してくれていますね。Workshipにはそのような優秀な人材が多いようにも思います。
Workshipには、新しい働き方をつくっていくサービスであってほしい
ー 今後Workshipに期待することは何かありますか?
Workshipには多様な人材がいて、しかも彼らとフラットにマッチングできるところがすごく良いなと思っています。これからさらにグロースしていっても、引き続きその状態であれば嬉しいですね。
あとは、働き方の啓蒙を、ある程度プラットホーム内でできる仕組みがあると良いのかなと、採用サービスを開発している一人としては思っています。やっぱりまだ、ベンチャーならではの環境に馴染んでいない方も多いのかなと。
「やりたいことベースで、仕事にコミットする」といった価値観が、もう少し働く側に浸透すると、企業にとっても働き手にとっても、さらに働きやすくなる社会になると考えていますし、Workshipにはそういった新しい働き方をつくっていくサービスとしての期待もあります。
ー 貴社も採用サービスを展開していくと思いますが、これからの働き方を作っていくというところで、何かありますか?
私自身、色々と渡り歩いてきましたが、会社の中に長くいる人はどうしても特有のカルチャーに染まっている。それがゆえに、他の場所に行きづらいと感じている人もいます。
今、その状況を変えられるチャンスだと思っていて。自分でも気づけないくらい染まってしまった色を、客観視できるきっかけになるのが、Workshipのようなサービスじゃないかなと。
働く人たちが、自分の可能性に気づいてキャリア選択に活かせる、自分にもっと合う場所に気軽に行ける。Workshipには、そんな社会をつくっていくサービスであってほしいですね。